実際にポップアップストアの出店を経験したブランドに、ポップアップストア出店の経緯や成功/失敗したこと、工夫したポイントなどを語ってもらうインタビュー。今回は、Wemake様に出店で得た成果や感想を伺いました。
ECやWebサービスなど、オンライン中心でお客様とつながっている事業の場合、「ひとつひとつの商品やサービスに対してお客様の反応がわかりづらい」といった悩みをもつところも多いのではないでしょうか。
とはいえそれほど事業規模が大きくない場合、いきなり常設店舗やショールームを出すには、コストがかかりすぎて現実的ではありません。
今回はまさにそんな悩みをもつWebサービス発のポップアップストア事例をご紹介いたします。
オンライン上で生活者と共にユニークな新商品をつくるプラットフォームWemakeで開発された新商品”Dplus“のポップアップストアにお邪魔してきました!
まずは今回のポップアップストアを開催されたWemakeについてご紹介いたします。
Wemakeは、技術力のあるメーカーと商品コンセプトとを結び、生活者とのコラボレーションでユニークな新商品をつくるプラットフォームです。
メーカーが自社の技術力をもとにプロジェクトを立ち上げ、それに対してWemakeのユーザーが商品コンセプトを投稿したり、投票したり、改善コメントを投稿したりして少しずつカタチになっていきます。
できあがった商品はWemakeショップや小売店に並び、売れた分だけ収益分配が行われます。
デザイナーやエンジニアなどの専門知識をもつ人々はもちろん、いち消費者のこんなものがほしい!というアイデアまで、それぞれの「ものづくりの能力」をつなぐことで、みんなが嬉しいものづくりをしていく。
そのプラットフォームとなるのがWemakeです。
そんなWemakeを利用して生まれたのが、王子産業資材マネジメント/王子インターパックとのプロジェクト「オープンデザインを活用した新しいダンボール家具」で生まれた新商品Dplusです。
Dplusは強化ダンボール「ハイプルエース」を使用したオープンデザイン家具で、かざるものを選び抜くことを通して自分を表現をする、自分の生活を少しづつ磨いていくための家具です。
5月に開始されたプロジェクトには70以上ものコンセプトアイデアが寄せられ、ユーザー投票の結果今回商品化になった靴の収納棚が選ばれました。
選定後もコメント投稿やミーティングを重ね、ブラッシュアップをしてできあがった商品への一般のお客様からの声をもらうため、今回ポップアップストアを開催することとなりました。
▲今回お話を聞かせてくださった外山さん(左)と川合さん(右)
お話を伺ったのはWemake運営会社 (株)A(エイス) の外山さんとDplusのコンセプト発案者である川合さん。
川合さんは普段お仕事でプロダクトデザイナーとして実際に商品づくりに関わっているものの、仕事とは別にプライベートでも自分自身の勉強も兼ねてものづくりに直接関わりたいという思いでWemakeへ参加。
今回アイデアが採用されたことで、ユーザーニーズの調査や試作品の作成など、商品化までのプロセス全体に関われたことで多くの学びがあったといきいきと話してくださいました。
▲たくさんの方が足をとめて説明に聞き入っていました。
– 今回初めてのポップアップストアを出店されたかと思いますが、ポップアップストアをやりたいと思ったきっかけは何だったのでしょうか?
外山さん:Wemakeではオンライン上の投票やコメントを通してニーズの可視化やユーザーさんからのフィードバックをいただいているのですが、商品化を進めていく上でやはり生のお客様の声を聞きたい、という気持ちが高まっていました。
そこで実際にDplusを担いで運び、表参道の路上でターゲットに近い層の方々に声をかけて意見を聞いたり、セレクトショップのバイヤーさんに見ていただいてフィードバックをいただいたりして生の声を集めてきました。
しかし、この方法では数を集めるのが難しいと感じ、より多くの方に商品を見て・触っていただいて意見をいただきたいと思ったのがポップアップストアを開催したいと思ったきっかけです。
川合さん:オンライン上でのやりとりも便利なのですが、やはり直接会って話を聞く方が商品を改善するポイントや売り出し方のヒントをより多く得られるのではないかという狙いが大きかったです。
また、Wemakeのユーザーさんたちからの投票やコメントに関しても全員がこの商品のターゲットに合っているかというと必ずしもそうではないので、より実際のターゲット層に近い人たちが集まる場所で意見を聞きたいと思いポップアップストアを開催しました。
– Wemakeは基本的にオンライン上で商品開発が進んでいくと思いますが、オンラインだけではカバーできない部分はどのあたりにあると思いますか?
川合さん:オンラインでのやりとりは時間も場所も選ばないので気軽に参加してもらったり知ってもらうきっかけとしてはよいのですが、一度にやりとりできる情報量はリアルの方が圧倒的に多いと思います。
ちょっとした表情の変化や声のトーンからも反応が推し量れるところも対面でのやりとりならではですよね。
ちなみに、商品化までの過程では私たち自身も何度も直に会ってミーティングを重ねています。
やはり直接会って話すことが一番密なコミュニケーションをとる方法に感じます。
外山さん:ここ数ヶ月は、川合さんとはオンラインでもオフラインでもかなり密なコミュニケーションをとってきましたね(笑)。
Wemakeのサービス自体もユーザーイベントを開いたり、リアルとの連動は意識しているのでこれからもオンラインとオフラインをうまく融合させていきたいと考えています。
▲Wemake ポップアップストア開催の様子。たくさんの人が集まる野外スペースで開催。- 今回はお客様からのフィードバックを得たいという狙いで出店されたかと思いますが、今回のスペースでの開催を決めたポイントはどこだったのでしょうか?
外山さん:まずは表参道・渋谷近辺のファッション感度が高いエリアを中心に探しました。
探している中でカフェの一角に置かせていただけるスペースも検討したのですが、フィードバックをもらうために私や川合さんが立ち会って接客をしたかったのでじっくり接客することも可能な今回のスペースに決定しました。
また、今回はWemakeやDplusのことを全く知らない方々の反応をいただきたかったので、自然に人が集まる場所というのもポイントでした。
おしゃれな人が多く集まる場所という条件が揃った場所で開催ができてとてもよかったです。
▲欲しい!という反応は意外と女性の方が多かったとのこと。
川合さん:もともと商品の特性として、万人受けではなく一部の人に熱狂的にウケるような見せ方をしたいと思っていました。
なので、全員から60点の反応をもらうよりも10人中1人でも90点をつけてくれる人がいるのかどうかということを検証する場として臨みました。
結果としては当初予想していたよりも多くの方からよい反応を得られたと思います。
私がお話した4、50人の中だけでも10人以上は強い興味をもってくださり、販売が開始したら教えて欲しいといったお声もいただきました。
ぱっと見の商品のイメージもそうですが、直接お話させていただく中でこの商品のテーマである「生きるをかざる」というコンセプトやダンボール家具という身軽でミニマルな商品の文脈も含めて気に入ってくださる方も多く、見せ方としてこの方向で間違いないという確証を得られたと思います。
外山さん:意外と男性よりも女性にウケがよかったのが印象的でしたね。
ひとめぼれしてくださったのは圧倒的に女性が多かったように思います。
以前製紙業界の展示会に出展した際、製紙業界の中ではダンボールの断面をお客様に見せることはタブーとされているそうで、どの担当者の方からも驚かれたんです(笑)。
すでに流通しているダンボール家具は、ファッション性ではなく機能性のみを訴求したものが多く、私たちが開発したDplusが売れるのか半信半疑という方が大半でした。
しかし今回接客した方々の反応を見てみて、「ダンボール家具だから売れない」のではなく、見せ方を工夫することで新しい市場を開拓できるという自信を改めて持てました。
また、たまたま通りがかった某世界的ファッションブランドのマネージャーからプロダクトデザインを褒められるといった嬉しい出会いもあり、今回のスペースならではの体験だったと思います。
もちろんよい反応だけではなく、フィードバックもたくさんいただいたのでそういった声をとりいれながら改善していきたいと思います。
▲使用イメージを持ってもらいやすいよう、Dplusに私物を並べて。
今回実施してみた中での反省点などはありますか?
外山さん:今回、その場で欲しいと言ってくださる方がいるとは思っていなかったので、販売に向けての案内の準備が足りていなかったのはひとつ反省点としてあると思います。
また、商品につけるPOPを用意すればよかった、という反省もあります。
使用イメージがわかりやすいようにDplusに私物を飾って展示したのですが、その商品が売り物だと思われていた方もいて、パンフレットとは別に商品自体に説明用のPOPがあったほうがわかりやすかったかなと思います。
川合さん:もう少し見てくださる方の動線を考えて陳列するべきだったなというのも感じました。
今回ポップアップトレーラーの中に上がってみていただくことを想定していたのですが、入り口部分にパンフレットやちらしを置いてしまったため土足で上がりにくい雰囲気にしてしまったかなと反省しています。
また、トレーラーの中にはいるのはよほどの興味がないと難しいかなと感じたので、トレーラーの中はモデルルームのようにちょっとした他の家具も配置して、自分の部屋に置いた時のイメージを膨らませてもらうための場所として活用してもよかったかなと思いました。
これから他の場所も含めてまたこういったポップアップストアを開催する際にはこういった反省点を生かしていきたいと思います。
外山さん:Dplusは今回フィードバックいただいた内容をもとに改善しながら、1月公開予定のWemakeショップで販売を開始する予定です。
また商品の特性上、見て・触って購入したい方も多いと思いますので、今回のようなポップアップストアをもう少し販売寄りの目的で開催していくことも検討しています。
より多くの方々にDplusをお届けできるようにがんばっていきたいと思います!
また、これ以外にも様々なプロジェクトが進行中ですので、今回のようなユーザー検証のためのポップアップストアを随時開催していきたいと思っています。
ある程度Wemake発の商品が揃ってきたら、Wemakeとしてのポップアップストアもだしてみたいと思います!
12月中旬という寒い時期の野外でのポップアップストアでしたが、オープンしている時間中たえず人が行き来し、たくさんの人が足をとめて商品を見たり話を聞いたりしていました。
ポップアップストア企画の時点で目的やターゲットがしっかり定まっていたので、今回のスペースはベストマッチだったと思います。
プレーンな状態のDplusは特に装飾のないシンプルな雰囲気の商品なのですが、ダンボールの特性を生かしてオリジナルの絵を描いたり印刷した商品も展示してあり、Dplusのよさが伝わるポップアップストアでした。
また、今回記事に使用した写真はWemake上でプロジェクトにも参加してくださっているユーザーさんが提供してくださったとのことで、たくさんの人を巻き込んで商品をつくりあげていくWemakeの力を感じることもできました。
今回ポップアップストアを実施したのは表参道のコミュニティスペース内にあるポップアップトレーラー。
卵の殻を思わせる有機的なルックスにあいまって、ルーメットの車内は曲面に覆われ印象的な雰囲気を醸し出します。
またテールゲートという開閉できるハッチによって搬入出は簡単! Mobile Showcaseならではなクリエイティビティを発揮できます。
様々な借り方が可能ですので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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■ポップアップストア概要
期間:2015年12月12日(土)
開催場所:表参道のコミュニティスペース内・ポップアップトレーラー。
「SHOPCOUNTER」は、ポップアップストア・催事・展示会などの出店/出展場所の予約がオンライン上でできるプラットフォームです。ショッピングモール、スーパーマーケット、百貨店、商店街、駅ナカ、オフィスビル、撮影スタジオ、展示会場など様々な商業スペースの検索・予約が可能です。
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