売れる売り場づくりのコツとは?行動経済学をもとにポイントを解説
売り場づくりで悩んでいる担当者の方も多いのではないでしょうか?この記事では、人間の行動のクセを解明する「行動経済学」をもとに、購買心理を活用した、お客様が思わず買いたくなる商品陳列・価格表示のコツをご紹介します。

どれだけ良い商品だったとしても、お客様に手に取ってもらえないことがあります。デザインも品質も自信があるのに、なぜかお客様から選ばれない。それは、商品のニーズがないのではなく、「目にとまる形で見せられていない」だけかもしれません。
とはいえ、どのように商品の魅力を伝えればよいのか、を経験や知識がない状態で考えるのは難しいものです。そこで役立つのが「行動経済学」です。
本記事では、行動経済学に基づき、実店舗やポップアップストアの売り場づくりにすぐ活かせるコツを紹介します。理論を知るだけでなく、実際に“売れる売り場”に変えていけるよう、例を交えてお届けします。
目次
自信のある商品がなぜ店頭で「選ばれない」のか?
「品質には自信があるのに、なぜか売れない」──そんな経験をしたことがある方は多いと思います。
売れない理由を“価格の問題”や“立地の悪さ”と考えがちですが、実はもっとシンプルな原因が隠れているかもしれません。それは、お客様に足を止めてもらえるような売り場がつくれているか、ということです。
経済学では「人は合理的に判断して最も得をする選択をする」とされています。 しかし、実際の消費行動を観察すると、人はしばしば“感覚”や“雰囲気”で判断していると感じることはないでしょうか。レジ前で思わずお菓子を買ってしまったり、「みんなが持っているから」と同じ商品を選んだり──そんな行動に覚えがある人も多いはずです。このような意思決定の“ズレ”を体系的に解き明かしたのが「行動経済学」です。
行動経済学では、人の行動は必ずしも合理的ではないという前提にたち、心理的なクセや無意識のバイアスが働く仕組みを明らかにし、購買行動を科学的に理解しようとします。そのため、行動経済学を知ることで、「どう並べれば気になるか」「どんな価格表示なら“お得”に感じるか」が見えてくるのです。
例えば、同じ商品でも、配置・隣の商品・価格の見せ方が違うだけで、売れ行きが大きく変わります。
それはお客様が「比べて」買うのではなく、「感じて」選んでいるからです。つまり、売り場づくりで重要なのは「いかに正しく伝えるか」ではなく、 「いかに“選びたくなる状況”をつくるか」。そのための視点として、行動経済学は強力な武器になります。

つい手に取ってしまう商品陳列のテクニック
買い物中、お客様は商品棚の前を数秒で通り過ぎてしまいます。その際に、足をとめるかどうか、一瞬の判断を左右するのが「商品陳列」です。ここでは、行動経済学の代表的な心理効果を使った、購買意欲を刺激する陳列テクニックを紹介します。
おとり効果
おとり効果とは、魅力の劣る選択肢を提示することで、売りたい商品をより魅力的に見せる効果のことです。 人は比較の中で価値を判断する傾向があるため、選択肢が多すぎたり、他に比較対象がなかったりすると、意思決定がしづらくなってしまいます。そのため、比較ができるような商品を並べることで、判断がしやすくなり、意図した選択へ促しやすくなります。
売り場での応用例としては、主力商品の横にデザインは似ているけれども、素材や機能が劣る廉価なもの、素材や機能は優れているが高すぎるものを配置することで、主力商品の魅力が引き立ち、選ばれる売り場にすることができます。
バンドワゴン効果
バンドワゴン効果とは、「多くの人が支持しているものを自分も欲しくなる」という心理現象です。「バンドワゴン」はパレードの先頭を進む楽隊車を指し、その後ろに行列が続いていくさまを表しています。
「人気No.1」や「SNSで話題」、「販売数1万個突破」などの言葉に惹かれたり、行列のできているお店が気になったり、という経験がある方も多いでしょう。「みんなが買っている=間違いない」と感じて購入につながりやすくなります。
売り場での応用例としては、 人気商品をあえて目立つ場所に山積みにしたり、大量に陳列したりすることで“売れている感”を演出する方法があります。 また、ポップやサインで「スタッフおすすめ」などのメッセージを添えるのも効果的です。

お得感で購買意欲を刺激する価格表示のテクニック
価格は、購買判断に影響を与える要素のため、価格の見せ方が売り場の魅力につながっていきます。どのような価格表示をすればよいか、を考える際にも行動経済学が役立ちます。お得感を演出しつつ、購買のハードルを下げるためのテクニックを見ていきましょう。
アンカリング効果
アンカリング効果とは、最初に見た情報によってその後の意思決定が左右される心理現象のことです。船のいかり(アンカー)を下ろした船は制限された範囲でしか移動できないことから名付けられました。たとえば、最初に「通常価格 10,000円」と見せられると、その後「特価 8,900円」と表示されたときに、1万円が判断の基準となり、その商品の相場や価値は関係なく、「お得」と感じやすくなります。
売り場での応用例としては、先ほど提示したとおり、セール価格の横に通常価格を併記し、「今だけこの価格」であることを強調することが挙げられます。また、「単品で買うと合計5,000円 」のものを「セット購入で4,200円」と設定する方法もあります。もともと1つしか買う予定がなかったものでも、セットの方が1個あたりの金額が安いから、と割安感を与えて、売上アップにもつなげられます。
松竹梅の法則
松竹梅の法則とは、人は極端な選択を避けて「中間の選択肢」を選びやすいという心理傾向のことです。最も販売したい本命商品「竹」を選んでもらうために、高価で手が出しにくい「松」と安価だが物足りなさを感じる「梅」を並べることで、真ん中の「竹」の魅力が引き立ち、選ばれやすくなります。飲食店のメニューや家電量販店の売り場などでよく見られる手法ですが、アパレルや雑貨でも同様に効果的です。
売り場での応用例としては、主力商品の横に、明らかに高機能・高価格な上位モデル(松)と、最低限の機能しかない廉価版(梅)を置きます。これにより、真ん中の価格帯である主力商品(竹)がちょうどよく、無難に感じられるため、狙った商品が購入されやすくなります。
端数価格効果
端数価格効果とは、価格が大台を少し下回るだけで安く感じられ、購買意欲を刺激する効果のことです。1,000円よりも980円、10,000円よりも9,800円のほうが、たとえ差がわずかでも「お得そう」と感じられる心理に基づいています。
売り場での応用例としては、端数価格(例:××80円、××90円)を活用して、お得感を演出することが挙げられます。 ただし、高級感を打ち出したいブランドや店舗では、キリの良い価格の方が信頼につながる場合もあるため、目的に応じて使い分けることが大切です。
売れる売り場づくりのために押さえておきたい5つの心理効果
ここまで、行動経済学に基づいた売れる売り場づくりのテクニックを5つ、紹介しました。改めて紹介した心理効果を、実際の現場で活かすためのチェックリストとしてまとめます。
- おとり効果:売りたい商品の横に、あえて旧モデルや廉価モデルを並べて比較しやすくする。
- バンドワゴン効果:「人気」「おすすめ」などの言葉を使い、売れている雰囲気を演出する。
- アンカリング効果:セール価格の横に通常価格を併記し、お得に感じる基準を作る。
- 松竹梅の法則:高価格帯・低価格帯を配置して、中間価格の商品に安心感を持たせる。
- 端数価格効果:大台を避けた価格設定で、心理的ハードルを下げる。
このような心理効果を組み合わせて、売りたい商品をお客様の手にとってもらえるような売り場づくりを目指しましょう。
まとめ
本記事では、行動経済学がなぜ売れる売り場づくりに役立つのか、行動経済学をもとにした商品陳列と価格表示のテクニックについて紹介しました。行動経済学は、単なる理論ではなく「人の心を理解するツール」です。 お客様の行動の裏にある心理を読み解くことで、「どう見せれば伝わるか」「どう並べれば選ばれるか」を考える糸口になります。
まずは、今回紹介したテクニックをもとにブラッシュアップできるところがないか、現在の商品陳列や価格表示を確認するところから始めてみてはいかがでしょうか。小さな工夫の積み重ねが徐々に成果へとつながっていくはずです。

ポップアップストア・催事イベントにおすすめなスペースや、ノウハウ・事例を紹介いたします。
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