韓国のホットスポットとして注目されているソウル・聖水洞。かつては町工場が連なる工業地帯だった聖水洞では、様々なブランドがポップアップストアを開催しており、聖地として知られています。
本記事では、聖水洞がポップアップストアの聖地になった理由やポップアップストアの開催事例、特徴、今後のトレンドを紹介します。
1.ソウル・聖水洞がポップアップストアの聖地になった理由
2.聖水洞で話題を集めたポップアップストア事例
3.聖水洞ポップアップストアの特徴
4.聖水洞ポップアップストアの今後のトレンド
聖水洞は、ソウル市城東区に位置する地域で、かつては工場地帯で、特に手作り靴の産業団地が栄える地域でした。しかし、移りゆく時代の中で街が衰退していき、廃工場や倉庫が取り残されていきます。
そんな元工場地帯が、ホットスポットとして注目されるようになったのは、2010年以降、廃工場や倉庫の敷地をアーティストやデザイナーがクリエイティブな活動を行う空間として使われるようになったことに始まります。廃工場やビルがおしゃれなカフェやレストランへと姿を変えたことで、トレンドの発信地として話題に。中でも、精米所だったデリム倉庫をおしゃれなカフェに変化させたことが有名です。
町工場のレトロな雰囲気と現代的なデザインが融合したことで、若者たちに人気の街へ生まれ変わりました。また、工場地帯であったことから土地が広く、空きスペースや貸しギャラリーがたくさんあるため、ポップアップストアの会場としても理想的な空間です。
聖水洞は、ソウル市内というアクセスの良さやトレンド感、SNS映えする街並み・建物があることで、ブランドやクリエイターに選ばれる街となり、ポップアップストアが集まる街になったのです。
2023年以降、聖水洞では数々の印象的なポップアップストアが開催されました。その中から、特に注目を集めた事例をご紹介します。
韓国のアイウェアブランド「Gentle Monster」は、新作コレクションとして登場した「BOLD」をテーマにポップアップストアを開催しました。Gentle Monsterは、アートインスタレーションを活用した展示で有名で、聖水洞のポップアップストアでも、展示空間を含めたコレクションの表現が注目されました。
今回のコレクションは、大胆さのメタファーとして、「銀河の星」にスポットライトを当てたもので、ポップアップストアには、「銀河創造の時に誕生した巨大な超越的存在」として、大迫力な展示が置かれました。
そのほかにも、コレクションのシンボルやカラーの限定ドリンクメニューが用意されました。
キッチンウェアブランド「LECREUSET」は、2024年12月にクリスマスシーズンに合わせたポップアップストアを開催しました。聖水洞の歴史に残る建造物を活用したクリスマス限定ポップアップストアを開催。
1〜3階まで使用した大規模なイベントで、1.2階は展示、3階は予約必須で韓国の有名シェフによる食事が楽しめる催しが行われました。展示はクリスマスシーズンに合わせたデザインのものやコラボ商品、既存の商品まで、幅広いラインナップ。さらにフォトブースの設置やSNS投稿で特典の配布、ミッションカード作成体験など、ポップアップストアを盛り上げる仕掛けが用意されています。
2021年に、韓国の人気芸能事務所「SMエンターテインメント」が聖水洞内のソウルの森に移転したこともあり、K-POP関連のポップアップストアが開催されています。
最近では、近年人気が急上昇しているNCT DREAMの限定ポップアップストアが大きな成功を収めました。
4thフルアルバムの発売を記念して開催されたもので、「光を探しにいくメンバーの旅路」をテーマとしています。MD・アルバム購入といったグッズ販売だけでなく、ポップアップストア限定のフォトブースやカスタマイズ可能なフォトチケット、フォトゾーンなど、ファンが楽しめる展示が設置されました。
聖水洞のポップアップストアが成功を収める背景には、ポップアップストアに求められる要素と聖水洞がもつ強みがマッチすることがあります。
ポップアップストアに求められる要素として、空間デザインにおけるオリジナリティがあります。 オンラインでは得られない実店舗ならではの価値を感じられるかが重要です。
聖水洞は、廃工場や倉庫をリノベーションしたユニークな空間でポップアップストアを開催できるため、独自性を演出することが可能です。また、工業地帯としての歴史を感じさせる街並みに、現代のクリエイティブ要素が組み込まれているため、街全体が特別な空間であることも強みです。
次に、SNSでの拡散を意識した展示や企画が挙げられます。単に商品を展示するのではなく、来場者が自然と写真を撮りたくなるようなフォトジェニックなスポットを設置することで、ブランドを知らない層にもアプローチができるようになります。
前述したとおり、聖水洞はポップアップストア会場のポテンシャルが高く、またアーティストやデザイナーによる手が加えられた建物があることから、映えスポットとして若者に人気があります。聖水洞エリアを選択することで、必然的にSNS映えする要素を満たせるのです。
期間限定性と希少性を感じさせることもポップアップストアの重要な要素です。ポップアップストア自体が期間限定の性質を内在していますが、短い期間に多くの人を呼び込まなければならない難しさもあります。そのため、「今、ここでしか体験できない」希少価値のあるイベントを企画することが求められます。
大規模なイベントや複雑な準備を要するイベントが実施しやすい、広いスペースがあることも聖水洞の強みの一つです。
最後に、地元のクリエイターやアーティストとのコラボレーションもポップアップストアにおいて重要な要素といえます。聖水洞には、廃工場や倉庫に魅力を感じたクリエイターが集まっており、芸能事務所があることから有名なアーティストとコラボレーションしやすい環境が整っています。
認知度の低いブランドや注目を集めたいイベントの場合には、影響力のある方とのコラボレーションが効果的です。
これまで、聖水洞がポップアップストアの聖地になった理由や具体例、聖水洞がもつポップアップストアとの親和性について解説しました。すでにトレンドの発信地として注目を集めていますが、今後、聖水洞でのポップアップストアがどのように進化していくのか、予想されるトレンドを最後にご紹介します。
まず、テクノロジーの活用が、さらに加速していくと考えられます。ARやVRを活用した仮想空間での体験や、AI技術を活用したパーソナライズされた接客など、デジタル技術を生かした新しい購入体験が取り入れられていくでしょう。
また、サステナビリティへの関心の高まりを受け、環境に配慮したポップアップストアの増加も予想されます。さらに、国際的なブランドと韓国のローカルブランドの融合も進んでいくと考えられます。今や韓国のカルチャーは国内にとどまらず、世界に影響を与える存在になっています。グローバルブランドが韓国の文化的要素を取り入れた展開を行う機会は増えていくはずです。
今後も聖水洞を舞台としたポップアップストアの展開に目が離せません。
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