ここ最近、カフェやレストランを1日限定で貸し切って行うフリーマーケットやワークショップイベントが増えてきています。この記事では、北品川のカフェを貸し切ってで開催されたフリーマーケットイベント「TRAVEL BAZAR」の様子をレポートします。
ここ最近で増えてきているのが、カフェやレストランを1日限定で貸し切って行うフリーマーケットやワークショップイベントです。
会場となるお店にとっても、新しいお客様を呼び込むきっかけにつながる取り組みとして人気を集めています。
そこでこの記事では、2016年4月2日(土)に北品川のKAIDO books&coffeeで開催された「TRAVEL BAZAR」の様子をレポートします。
TRAVEL BAZARは「旅」をテーマに北品川のKAIDO books&coffeeで開催されたバザーです。
旅行バッグ又はスーツケース出品商品を入れてもってくること、旅先で購入したモノや、もらったモノ、その地域を感じられるモノなどの出品を条件にしているところがユニークです。
夕方からは「沖縄を楽しむ旅」をテーマにしたトークイベントと三線ライブも開催されました。
開催場所であるKAIDO books&coffeeは2015年夏に北品川商店街にオープンしたブックカフェで、海外や全国の土地に関係する紀行書や歴史書、小説、地図、雑誌などの古書・新刊を読みながらコーヒーを楽しんだり、その場で購入することもできます。
そんなKAIDO books&coffeeにとってはじめての開催となったTRAVEL BAZARについて、オーナーの佐藤亮太氏にお話を伺ってきました。
▲今回お話を伺ったオーナーの佐藤亮太氏
今回カフェ内でバザーを開催しようと思ったきっかけを教えて下さい。
もともと沖縄をテーマにしたトークイベントの相談をいただいていて、そこで同時に旅をテーマにしたバザーを開催したらより面白いのではないかと思い、ちょうど暖かくなる季節にあわせてTRAVEL BAZARを企画しました。
結果として普段は3割程度の新規のお客様の割合がバザー当日は7割と逆転し、「新しいお客様にKAIDO books&coffeeを知っていただくきっかけになった」と思います。
普段はいらっしゃらないお客様がたくさんいらっしゃったのですね!集客施策としてはどのようなことをされたのでしょう?
まずは開催の2週間前から常連のお客様にバザーを開催することを地道にお伝えしました。
その声かけでいらしてくださった方も多かったですね。
あとはFacebookでイベントページを作ったり、出店者募集の投稿で広告も回してみました。
投稿を見てどれくらいの方がきてくださったかはわかりませんが、出店者の方は「Facebookでご友人がシェアしていたのを見て」、というきっかけでご連絡いただいた方がほとんどでした。
▲TRAVEL BAZAR出店の様子。「旅」をテーマにかかげ、トランクひとつ分が出店の条件というのもユニークなポイント。
これまでにもKAIDO books&coffeeで様々なイベントを実施されてきたかと思いますが、バザーならではの他のイベントとの違いはありましたか?
やはり新規のお客様が想定以上に多かった、という点でしょうか。
これまでにも店舗の2Fを利用した夜だけのトークイベントやお酒の試飲イベント、店舗全体を使った写真展などを開催してきましたが、基本的には通常営業と同じく常連のお客様がメインで来てくださっていました。
バザーは気軽にちょっと覗いて帰るだけ、ということもできるのでこれまでいらっしゃったことのないお客様にとっては入店のハードルが低いのかもしれませんね。
逆に常連のお客様には貸し切りイベントのような印象を与えてしまったようで、お店に入らずにそのまま帰ってしまわれた方もいらっしゃったようです。
2Fは通常どおりゆっくりコーヒーを楽しんでいただける場として営業していましたので、そのあたりの見せ方は今後の課題だなと思います。
はじめてのバザーに対して、出店者を含めお客様の反応はいかがでしたか?
今回出店してくださった方はほとんどがはじめて出店を経験された方で、旅好きの方が個人的に旅行した際におみやげとして買ってきたものやもらったものなどを中心に出品していただきました。
だからこそいい意味でお店らしくなく、「お互いに旅の話をしながら楽しんで買い物をされていた」ように思います。
出店者とお客様だけではなくバザー中に出店者同士も旅の話で盛り上がっていて、「新しい関係が構築できた」のは私たちにとっても嬉しいポイントでした。
▲1ヶ月単位で貸し出しを行っているKAIDO books&coffeeの壁面。すでにかなり先まで予約が入っているほど人気だそう。
今後の展望について聞かせてください。
まずは地域の方と旅好きの方が集まるコミュニティスペースとしてたくさんの方に愛される場所になっていきたいと思っています。
続けていくことと楽しんで使っていただくことが大切だと思っているので、常連のお客様が自分のやりたいこと・好きなことをもとに企画したイベントなど「主催者と参加者の垣根なく楽しめるイベント」を開催できればと思っています。
また現在店内の壁面も自治体の方を中心に有料で展示場所として使っていただいているのですが、こちらもかなり先まで埋まっているほど人気があります。
KAIDO books&coffeeは来店客数だけで見れば月間1万にも満たないお店ですが、旅好きの方が集まるカフェなのでそういった旅好きの方へ深く興味を持っていただきたいというニーズでご利用いただいています。
人通りの多い繁華街に出店したり商品やポスターを置いてもらうことは認知度拡大のために重要なことですが、ただ目にしただけで買いたい・行きたいとなる人は稀です。
たとえば4月はセルビアの展示をしていますが、一般の人は写真や映像を見ただけで簡単に「行きたい」とは思わないはずです。
しかしKAIDO books&coffeeにいらっしゃるお客様はもともと旅への感度が高いので興味を持ってくださる方が多い。
もちろん展示期間中には私たちスタッフからもお客様へお声かけすることが多いので、ただ展示するだけではなく「日々のコミュニケーションを通してより深いアプローチ」を実施しています。
実際にこのセルビアの展示ははじまってまだ数日にも関わらず、すでに2、3人のお客様がセルビアへの旅行を検討するために資料を持ち帰ったりといった反応がありました。
これからもこういった展示やイベントを通して、たくさんの方に楽しんでいただける場所にしていきたいと思っています。
▲1万5千冊もの本が並ぶ店内。階段を上がるとまるで図書室のような落ち着いた空間が広がります。
インタビュー中も続々と来店されるお客様への自然な声かけが印象的だったKAIDO books&coffee。
TRAVEL BAZARへ出店したみなさんもとてもくつろいだ雰囲気で、出店者とお客様の区別なく旅や海外の話で盛り上がり和気あいあいとした雰囲気でした。
今回TRAVEL BAZARへ出店された方々は普段お店を運営しているわけではなく旅先で購入した者や手作りのアイテムが中心でしたが、どれも個性やストーリーがあって思わず話に引き込まれてしまいまいます。
そんなにぎやかな1Fの雰囲気に対して、まるで図書館のようにずらりと本が並ぶ2Fではお客様それぞれがゆったりと自分の時間を楽しんでいて、自分の一番心地よい使い方ができるのもKAIDO books&coffeeの魅力といえそうです。
また月間の来店客数が他のカフェと比べて突出して多いわけではないKAIDO books&coffeeの壁面展示が人気だということも意外に感じた方が多いのではないでしょうか。
しかしたくさんのモノと情報に溢れる今、「薄い関心をたくさん集めるより少数でもコアなファン」を作り、その人たちにアンバサダー・エバンジェリストとしてモノやサービスのよさを熱心に広げてもらうことこそがこれからの認知度拡大のための有効な戦略だということを改めて感じました。
最近はカフェやショップ内でポップアップストアや展示販売を実施する例も増えてきましたが、単純な来店客数だけではなくそこに「来店されるお客様の興味関心や店舗を中心にどんなコミュニティが醸成されているのか」に注目するとより効果的な出店につながるのではないでしょうか。
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