2016年2月、ニューヨークのミートパッキングエリアにオープンしたSamsungの旗艦店Samsung837。
オープンと同時に多くのニューヨーカーが詰めかけ、一躍話題のスポットとなりました。商品を販売する場所から顧客とのコミュニケーションの場所へと舵を切ったSamsungの旗艦店戦略についてご紹介します。
その人気の秘密はSamsungが提供するユニークな体験にあります。
商品を販売する場所から顧客とのコミュニケーションの場所へと舵を切ったSamsungの旗艦店戦略についてご紹介します。
▲Samsung837がオープンしたのは精肉工場や倉庫跡地のリノベーションしたショップやカフェが立ち並び人気が高まるミートパッキングエリア。
出典:Samsung837 HP
2016年2月にオープンしたSamsung837は“cultural destination(文化の集積地)” と “digital playground(デジタルな遊び場)”をコンセプトにしたSamsungの旗艦店。
Samsungの製品をいち早く試すことができるのはもちろん、Samsungのテクノロジーを活用したユニークな体験を提供しています。
最先端のスマートキッチンの体験、世界一大きなスクリーンの前でのセルフィー(自撮り)、オリジナルミュージックスタジオでの楽曲視聴といった体験やSamsung製品の席スパートへテクノロジーについて質問したり、プログラミングの講座を受けるといったことも可能。
特に人気が高いのは “Social Gallery” という全体が鏡張りになったトンネル状のコーナーで、自身のInstagramアカウントを入力してミラールームに入るとこれまで投稿された写真や文章、ハッシュタグすべてが一気に表示されるというものです。
自分がInstagramに投稿した写真が表示されることで、他にはないパーソナルな空間が表現される点が人気のポイントのようです。
▲Instagramアカウントを入力するとこれまでの投稿が一度に表示されるミラールーム “Social Gallery” は人気コンテンツのひとつ。出典:Samsung837 HP
Samsung837では常設の展示に加えて、頻繁にイベントも開催。
毎週開催されるラン・クラブやヨガレッスンなど一見テクノロジーとは関係がないように思えるコンテンツも積極的に取り入れ、ニューヨーカーのライフスタイルに溶け込んでいます。
定期的にSamsung837に訪れるきっかけをつくることで “Samsung” と接する時間を増やし、ブランドの価値を高めています。
▲Samsung837では毎週土曜日にラン・クラブを開催している
出典:Samsung837 HP
まるでおしゃれな美術館を思わせる展示や地域のコミュニティスペースのようなあり方を追求しているSamsung837。
旗艦店という位置付けでありながら “販売しない” というコンセプトを貫く理由についてSamsung837の責任者であるZach OvertonはForbesにこのように語っています。
「旗艦店を作る上で商品を販売しないというのはおかしなことに聞こえるでしょう。
しかし、今の消費者は商品を買うことではなくワクワクすること、興味をそそられるものを探し求めているのです。
私たちは顧客や来館者と双方向にコミュニケーションし、個人的な対話ができる場を作っていきたいと考えています。」
これまでのブランドから消費者へ一方通行に情報を届けて購入を後押しするというかたちではなく、双方向なコミュニケーションの中でブランドや商品への愛着を生み、結果として購入につなげていく。
Samsungの考える新しい店舗のあり方を体現したのがSamsung837と言えるのではないでしょうか。
売る場所から顧客を楽しませる場所へ、Samsung837はこれからの店舗のあり方を大きく変える存在となりそうです。
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