公開日:2019年11月12日
更新日:2023年11月30日

リアル店舗は今後、どうなっていくのか。/「アフターデジタル時代のリアル店舗のレシピ」Vol.1 レポート

近年、ECと併せてリアル店舗も展開していく必要性が増し、リアル店舗は『モノを売る場』以外の機能も持ち始めています。今回、弊社にてリアル店舗について、議論できるようなイベントを開催しました!

近年、ECと併せてリアル店舗も展開していく必要性が増し、
リアル店舗は『モノを売る場』以外の機能も持ち始めていることは、
皆さんも感じていることかと思います。
今回、そうした背景から、弊社でオフラインの場を設ける運びとなりました。
初回はOne Novaさん、FABRIC TOKYOさんをお誘いしまして、
「リアル店舗の活用」をテーマにイベントを開催しました。
この記事ではイベント時の様子をお届けします!

ご登壇いただいたスピーカー

高山泰歌/Taiga Takayama (One Nova)
1998年生まれ。10歳まで中国上海で過ごす。現在、慶應義塾大学環境情報学部を休学中。大学入学直後に透明性をテーマとしたアンダーウェアブランド「One Nova」を立ち上げる。「透明」とは、どんな素材を使用しているのか、どんな工場で作られているのか、原価がいくらなのか。一つの商品が手元に届くまでの道のりをまるごとお伝えすることを意味する。今までに「世界一”透明な”パンツ」と「世界一”透明な”くつ下」で二度クラウドファンディングを成功させ、Forbes 30 under 30 Asiaにも選出された。

峯村 昇吾/Shogo Minemura (FABRIC TOKYO)
1982年東京都出身。 青山学院大学経済学部経済学科卒業。 大手繊維専門商社にて、川上全般の原料メーカーと素材開発を行い、アパレルメーカー向けテキスタイルの企画提案営業を担当。3年間の海外駐在を経て、国内外の幅広い素材開発・調達に従事。 2015年11月にライフスタイルデザイン(現:株式会社FABRIC TOKYO)に参画。素材開発・調達担当ほか、クリエイティブ全体を統括。


リアル店舗の再定義が起きている

初めに私、カウンターワークスの中村がお話させていただきました。
今回は、現在の小売の世界にどのような事が起きていて、事例を交えながら概要をお話させてもらいました。
 

現在の小売の世界のトピックスを大きく分けると、下記のような3つほどの潮流があります。

まず、①オンラインの顧客獲得コストの高騰について。
現在、EC事業者の数も年々増加しており、過去十年弱で2倍以上の規模感になってきています。
一方で、オンライン広告の配信の仕組みはオークション方式です。掛けた金額が高い方が広告枠を勝ち取り、広告が配信されます。

つまり、EC事業者の急増とともに、手軽にアプローチできるオンライン広告に手を伸ばす事業者が増え、オークションが激化。
結果として、1人の顧客を獲得するのにかかるコストは高騰している、という流れがあります。

2つ目、②“意味”を求める消費者の増加、については、近年のD2Cブランドの興隆について、いくつかの事例を紹介させていただきました。

D2Cブランドが話題に上るのと同時に、ECの台頭により、店舗の役割が体験に特化し始めている、という事象が起きています。

また、3つ目として、③リアル店舗におけるデータ取得の簡易化、が起きてきている、と感じています。
サンフランシスコのb8taの事例も兼ねてからありましたが、日本でもいよいよ、来店計測や回遊分析などの実装が進んできています。

※余談ですが、弊社でもこの文脈に沿う形でサービス展開を始めています。
商業施設のデータドリブンな運営を支援するDXサービス「adptOS」の提供を開始

以上の3つを背景として、リアル店舗は売上だけじゃない意味を持ち始めており、その考え方は多様である、といったまとめをさせていただきました。

また、話題提供として、SHOPCOUNTER上でアンケートを取った結果をご報告させていただきました。
なんとなく感じていたものや意外なものまで、結構面白い結果になっておりました。アンケートについては、別途記事として公開しますので、もうしばしお待ち下さい…!

お客様との交流をどう図るか

次にOne Novaの高山さんにご自身のブランド「One Nova」のリアルの活用事例をご紹介いただきました。

One Novaは「透明なパンツ」というキャッチーなフレーズで話題を呼んだ後に、2つ目のプロダクト「透明な靴下」でもクラウドファンディングを成功させています。透明、というのは生産工程をすべて公開していることに基づくネーミングです。
 

高山さんには、テーマの冠にもつけていた“アフターデジタル”という概念にも触れていただきました。
彼らの解釈としては「デジタルで絶えず接点があり、たまにデジタルを活用したリアル(店や人)にも来てくれる。」というもの。
個人的には、「ただ便利な方法を選びたい」というユーザー視点での考え方を分かりやすく言葉にしてもらえてるのかな、という印象を受けました。
 

次にOne Novaのリアルの活用についてお話を伺いました。
One Novaではポップアップストアの出店やリアルのファンイベントを開催しており、それらのお話をお伺いしました。

また、リアルの活用において大きな目的の軸は下記の2つ。

  • 新しいファンを作る
  • 既存のファンと交流する

ポップアップストアでは様々な施策を打っていて、それらのご紹介もいただきました。
特徴的だったのはアンケートボードを使う施策。
例えば、「ボクサーパンツのどの色が好きか」というアンケートボードを作り、ポップアップストアの前を通るお客さんを滞留させた上で接客、お客さんと交流を図るというもの。
これは高山さんもお客さんとの交流を作る上では効果的だった、と話していました。
 

ファンイベントとしてはクラファンの「キックオフイベント」やOne Nova好きなお客さんに集まってもらい、深く交流する「のば会」などを開催されていました。特に「のば会」は、高山さんらOne Novaの社員がいなくても開催されるほどの盛り上がりとのことでした。
 

リアル店舗も根本はブランディングが大切

その後、FABRIC TOKYOの峯村さんにお話いただきました。
峯村さんにはリアル店舗出店の際にも意識すべき、ブランディングの考え方をお話いただきました。事例を踏まえた「ブランドとは何か?」の話から、ブランド作りに欠かせないブランド・エクイティ・ピラミッドの話まで、ブランドの創り方の概要を簡潔にご解説いただきました。
最後にあった「なにをカスタマーと約束しますか?」の1文は強く印象に残っています。
(詳細は都合によりクローズドなのですが、またお話できる機会など作っていこうと考えてますので、続報お待ちいただけますと幸いです!)
 

考えるべき事柄は広範、どう捉えるかが肝

最後はトークセッションに。
「リアル店舗の商圏分析」や「出店時のイニシャルコストの考え方」など、リアル店舗において悩むテーマ感でのトークを行いました。
終わりの方に話した「透明性で商品が売れるか」というテーマが印象的で、今回ご登壇いただいた2ブランドはともに「透明性」「サステイナブル」を推していたため、個人的にも気になるテーマでした。
話の大きな方向性としては「透明性」だから売れる、ということはない、という着地になりました。「透明性」はブランドの人格の一つであり、そこの魅力だけで売れるわけではなく、人格が複合的に組み合わさった結果である、という議論に。けれども、「透明性」「サステイナブル」は近い将来に魅力を増すキーワードなので、意識しておく必要はありますよね、との話になりました。

総じて、
自分たちがどういうブランドで、どういう人格をお客様や周囲の人に認知してもらいたいのか。そして、それに相応しい手段は何なのか。
この1文に収束するような、そんな議論になったかな、と感じています。

(また、余談ですが、イベントの終了後も登壇していただいた2名と参加者の方で座談会が開かれておりました。最後までリアルの場を持つことの重要性を感じた1日でした。)
 


イベントとしては、少々ファジーな形になってしまったかもしれません。
ただ、リアル店舗について、D2Cブランドがデジタルを起点にどう考えているか、
その根本には何があるのか、その一端を得てもらえるような場となりました。
弊社では、今後も継続してこのようなオフラインの場を持っていく予定です。
次回の構想も練っていますので、ぜひ情報を楽しみにお待ちいただけますと幸いです!


セミナー終了後、参加者の皆さまから頂いた感想の一部をご紹介いたします!
(ポジティブな声が聞こえて、運営としては安心しました…。)

  • デジタル起点のお話が聞けて新鮮でした。アフターデジタルを学びたい欲が生まれました!
  • 透明性を前面に、一度課題などを見つめなおそうと思いました。
  • ブランドのエクスペリエンスを高めるピラミッドが非常にわかりやすかった。ユーザーから見ているブランドの接点と企業から見る接点が違う
  • コーポレートデザインについてのお話まで伺えると思っていなかったので、峯村さんのお話が特に勉強になりました。そういった戦略を策定する部署と店舗を運営する部署(営業)との認識の差異を無くしていくのが今後の課題ではありますが、お話のあった「約束をする」提供価値を社内に浸透させ続ける努力が必要と感じました。

最後に、今回セミナーの会場として利用させていただいたスペースのご紹介をさせてください!

こちらのスペース、今回はセミナー会場として利用しましたが、
通りからの視認性もよく、デジタルサイネージも完備されているため、
展示会用途としてもオススメです!

明治神宮前のアクセスの良い立地で、
テーブルやハンガーラックなどの什器も充実しています。

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