公開日:2016年2月29日
更新日:2019年7月23日

リアル店舗は一石三鳥 !EC発ブランドの出店戦略/Oh My Glasses TOKYO

これまでECを中心に展開してきたブランドが、実店舗を通してリアルの接点をもつ事例が増えています。この記事では、ECを中心に展開してきたメガネブランド「Oh My Glasses TOKYO」の出店戦略をご紹介します。

「2020年には20兆円を超える」と言われるEC市場。
ここ数年の間で、実店舗をもたずにECでの販売のみで売り上げを伸ばす企業も増えてきました。

オンラインチャットツールや返品無料などECの弱みである情報量の少なさを補完する仕組みも生まれ、今後ますますECでの購入は増えていくと予想されます。

しかしECメインで展開してきてきた企業も、Web上だけではなくリアルなお客様接点を求めて出店しはじめているのが最近のトレンド。

そこで今回は、ECでの販売は難しいとされてきたメガネ業界で専門ECサイト「Oh My Glasses TOKYO」を立ち上げ、ここ数年で出店を加速させているオーマイグラス株式会社(以下:オーマイグラス)の清川忠康社長に独自の出店戦略についてお話を伺いました。

Oh My Glasses TOKYOとは

「Oh My Glasses TOKYO」は2012年1月にスタートしたメガネのオンラインショッピングサイト。
メガネは視力測定やフレームの試着など店舗への依存が大きく、ECには向かない商材とされてきました。

そんな中でオーマイグラスは自宅で試着できるサービスや検眼出張サービスなど独自のサービスを打ち出し、メガネという特殊な商材専門のECであるにも関わらず、着実に売り上げを伸ばしています。

2014年より直営店舗の開発にも力をいれており、2016年には3号店となる新宿店、4号店となる大宮店がオープン。
さらに3月16日には川崎アゼリア店もオープン予定です。

好調なECの運営だけではなく、リアル店舗展開を加速させるのはなぜなのか。
オーマイグラスが考えるリアル店舗の意味とその戦略に迫ります。

EC事業者にとってリアル店舗は “一石三鳥”

今回お話を伺ったのは、オーマイグラスの清川忠康社長。
常識にとらわれない出店への考え方や戦略について語っていただきました。

  • メガネという商材はECに不向きなように感じますが、なぜあえてメガネの専門ECを立ち上げられたのでしょうか?

たしかにメガネを販売するためにはフレームとレンズの2つが必要となり、検眼など特殊な知識が必要となるためこれまでオンライン販売は難しいとされてきました。

しかしこれは逆に捉えれば「参入障壁が高い」ということ。
メガネをオンラインで販売するための障壁は独自のサービスを用意することで十分カバーできると考え、この分野で勝負することを決めました。

また世界的に見ても日本の、特に鯖江製のメガネをかけている方が多いんです。
今後「グローバルに戦っていく上で魅力ある商材」だと感じたのもひとつの理由ですね。

  • 2014年には渋谷に初の直営店舗をオープンされましたが、どういった効果がありましたか?

リアル店舗の効果について、私たちはいつも”一石三鳥”という言い方をしています。
私たちが考えるリアル店舗の意味はこの3つです。

  • 1.認知度向上
  • 2.顧客獲得
  • 3.販売機能

まず「1.の認知度向上」はテレビCMや雑誌広告をだすのと同じで、お客様にOh My Glassesそのものを知っていただく効果があります。

「2.の顧客獲得」は1.と連動しますが、ただ知っていただくだけでなく商品や接客を体験していただくことで見込み顧客になっていただく効果があると考えています。

もちろんその場での「3.販売機能」も重要です。
私たちは出店において、その店舗単体で一定の利益をだせるかどうかを出店可否の基準にしていますので、販売による売上も見逃せません。

これらの3つの効果を満たせるように、出店場所の決定や店舗設計を行っています。

“こだわらない”ことにこだわる


▲2号店となる浜松町店。余計な装飾はなく、すっきりとした店舗デザイン。

  • 出店する上で、見せ方などこだわっていることなどはありますか?

“こだわらない”ことにこだわるようにしています。
内装もとにかく「シンプルに、機能的に」。

内装にこだわって多額の投資をしてしまうと失敗した時の負担も大きいですし、一度に多くの出店をすることができなくなってしまいます。

作り込んだブランドイメージや世界観ではなく利便性や機能性で選んでいただけるブランド・店舗でありたいと思っています。

  • 接客についてもオンライン発の店舗だからこその考え方などあるのでしょうか?

私たちとしては、「必要以上の商品知識は無理につける必要はない」と思っています。
Oh My Glassesでは膨大な量のブランド・商品を扱っており、それらすべての特徴や歴史まで覚えることはほぼ不可能です。

そこで私たちは各店舗に設置しているタブレットを使いながら、お客様と一緒に商品を探すスタイルをとっています。

フレームだけではなく、レンズについてもお話を伺って「ライフスタイルに寄り添ったご提案」ができるように心がけています。
例えば視力測定でも全員が視力2.0を必要としているわけではなく、普段オフィスワーク中心の人と頻繁に車を運転する人では求められる視力は変わってきます。
それぞれのライフスタイルを丁寧にヒアリングし、ご提案することで信頼を築いています。

また私たちはオンライン発のサービスこそ信頼感が重要と考え、特に視力測定には力をいれています。
やはりまだ若い会社でもあり不安に思われる方も多いので、検査項目の充実はもちろん専門的な視点からレンズ選びをアドバイスすることでそのギャップによってさらにファンになっていただいていると感じます。

出店場所選定で注目するのは”定期券比率”


▲すべての店舗に設置されているタブレット。お客様とコミュニケーションをとりながら商品を選ぶかたちの接客スタイルをとる。

  • すでに4店舗目の出店が決定されていますが、出店場所を決めるポイントはどんなところにあるのでしょうか?

認知度の向上を大切にしたいので、まずは「乗降客数」です。
その際、「定期券比率」も参考にしています。

乗降客数に対して定期券比率が高いということは、「生活圏に近くよく通る可能性が高い」ということです。

よく通る場所に店舗があれば試着サービスも申し込みやすいですし、店舗での受け取りもしやすい。
そうやって接点を多く持つことが認知度向上には不可欠だと思っています。

ちなみに出店場所1箇所を決めるのに、「最低10箇所は見に行きます」。
そのくらい見比べないと本当に費用対効果の高いスペースは見つかりづらいように感じます。

  • 今後出店したいエリアや業態などはありますか?

人通りの多い場所なら基本的にはどこでも興味がありますね。

ただ今後は直営店以外に提携店舗をもっと増やしていきたいと考えています。

やはり自分たちの出店でカバーできるお客様の数には限りがあるので、Oh My Glasses TOKYOでフレームだけ購入して近くの眼鏡店でフレームに合ったレンズが購入できたり、Oh My Glasses TOKYOで取り扱っている商品を一部置いていただいたり、様々な取り組み方を考えています。

今後もリアルとウェブをうまく併用しながら、メガネ業界に新しい風を吹き込んでいきたいと思っています。

作り込みすぎない、という戦略

お話を伺う中で
「リアル店舗の効果は “一石三鳥”」
「”こだわらない”ことにこだわる」
など端的にわかりやすいフレーズで戦略について語っていただいたのが印象的でした。

その中でも「世界観を作り込み過ぎない」、という考え方はポップアップストアの出店において参考になりそうです。
最小4坪あれば出店できるというコンパクトでシンプルな店舗設計も機動力の高さをうかがわせます。

ちなみにOh My Glasses TOKYOでは以前、最短3日から最長半年のものまで大小様々なポップアップストアを数十回も開催したことがあるとのこと。
その際もKPIを明確にし、新規会員の登録数や売上、客単価など様々な指標からエリアや立地についてのデータを蓄積し、現在の出店計画に生かしているとおっしゃっていました。

出店するからには世界観をつくりこまなければ、と常に内装や見せ方にこだわるのではなく、それぞれ出店の主目的を明確にし、作り込む必要がないときはあえて手をかけすぎないという判断の必要性を強く感じたインタビューでした。

オーマイグラスでは2月18日にオープンした新宿ミロード店、2月25日にオープンした大宮東口店、3月16日にオープンする川崎アゼリア店に続き今後も直営店舗のオープンを検討中とのこと。

今後もオーマイグラスの出店戦略から目が離せません。