営業中の店舗の一つのコーナーとして別のブランドが入る「ショップインショップ」型のポップアップストアも増えてきました。この記事では、ショップインショップ型で既存店舗とのシナジーを創り上げた、アメリカの老舗出版社クロニクルブックスの事例をご紹介します!
ポップアップストアの出店を経験したブランドに、ポップアップストア出店の経緯や成功・失敗したこと、工夫したポイントなどを語ってもらうポップアップストアインタビュー。
今回は、2015年10月23日(金)から11月8日(日)に、ACME Furniture 自由が丘店で行われた、アメリカ・サンフランシスコの老舗出版社 クロニクルブックス のポップアップストアについてお話を伺いました!
クロニクルブックス は1967年にアメリカ・カリフォルニア州の新聞社「サンフランシスコ・クロニクル」の出版部門として設立された米西海岸を代表する歴史と伝統のある出版社です。
半世紀にもおよぶ歴史の中で、イラストレーション、デザインギフト、アート、アーキテクチャー、フォトグラフィー、フード、ライフスタイル、ポップカルチャー、児童書など様々な分野で独自のタイトルを出版し、他では成し得ない革新的な出版社として米国では広く知られる存在です。
年間200タイトル以上の書籍、100点以上の文房具やギフトが制作され、米国内はもちろん世界各国で人気を博しています。
しかし、日本では今年上陸したばかりでまだブランドとしての認知度も低く、これからクロニクルブックス独自の世界観を日本でも伝えていきたいという思いで今回のポップアップストア開催に至りました。
今回お話を伺ったのはクロニクルブックス・ジャパン株式会社の田中さん。
立ち上げたばかりのブランドを認知してもらうための手法のひとつとして実施した、今回のポップアップストアについて語っていただきました。
▲ACME Furniture 自由が丘店でのポップアップストアの様子。入り口すぐのスペースに色とりどりの絵本が並ぶ
– ポップアップストアはよく開催されているのですか?
田中さん:クロニクルブックス単体での出店はありませんが、書店や雑貨店でポップアップストアを開催したことがあります。
私たちが扱っている本や文房具などの商品は基本的に書店や雑貨店に卸して販売しています。
しかし、単品で気に入っていただいても、それが「クロニクルブックス」の商品であると認識していただけないということもあり、「書店や雑貨店でひとつコーナーを作っていただく」というかたちでポップアップストアをやることはよくあります。
また、クロニクルブックスの商品を扱っていただける店舗を開拓する上で、まだ知名度が高くないという点から、まずは短期で販売してみたいというお声もあるのである期間だけ棚を貸していただいての販売も行ってきました。
– そんな中で今回ACME Furniture 自由が丘店でポップアップストアを開催することになったきっかけは何だったのでしょう?
田中さん:たまたまACME Furnitureの方とお会いする機会があり、お互いの世界観が似ていることから出店が決定しました。
これからクロニクルブックスの世界観を伝えていく上で、同じカリフォルニアをルーツに持つブランド同士ということでブランドイメージが近いということが大きかったです。
また、クロニクルブックスでは児童書の取り扱いが多いこともあり、就学前のお子様がいらっしゃる方をターゲットにしていましたので自由が丘という立地もポイントでした。
▲「家の中で親子一緒の時間を過ごす」をコンセプトにACME Furnitureの商品も組み合わせてディスプレイ。- ACME Furnitureでポップアップストアを実施されてみた感触はいかがでしたか?
田中さん:売上という意味では予想の120〜130%を超える売れ行きで、大成功だったように感じます。
新しいお客様にも多く手にとっていただけたようで、とても嬉しく思いました。
– 120%超えはすごいですね!どういったポイントが今回の成功につながったのでしょう?
田中さん:まずは「家の中で親子一緒の時間を過ごす」という今回のコンセプトがACME Furnitureに来店されるお客様とうまくマッチしたという店が大きいと思います。
もともと自由が丘という立地はお子様連れの方が多く、クロニクルブックスの主力である絵本の販売に向いている場所ではありましたが、その中でも英語の絵本ということで教育への関心が高い方々が多かったのではないでしょうか。
また、ACME Furniture様側のご協力も大きかったと思います。
今回の出店にあたり、弊社の成り立ちやこだわり、商品詳細について資料をお渡しするのはもちろんのこと、貴重な時間を割いて販売員様向けの説明会も開催させていただきました。
今回は私たちクロニクルブックス側からは販売担当として出さずすべてACME Furniture様側にお任せしていましたので、私たちの世界観や商品についてご理解いただいた上で販売していただいたのは大きかったと思います。
– 商品の見せ方で工夫した部分はありますか?
田中さん:ポップアップストアの開催期間中にも売上推移を見ながらACME Furniture様とも相談させていただきつつ見せ方を改善していったのですが、期間を通して感じたことは手にとって実際に中身を見ていただくことが重要だという点です。
通常の商品はビニールでカバーがしてあるのですが、特に絵本は中の絵柄やおおまかなあらすじが見たいという方も多く、絵本のサンプルは多く配置するようにしました。
また、プライスカードなどのPOPはすべてブランドの統一感をもたせるためクロニクルブックスのアイコンでもあるめがねのマークをいれるという点も私たちのこだわりです。
お店によっては店内共通のフォーマットでなければいけないところもあるのですが、お客様に「クロニクルブックス」として認識していただくために可能な限りロゴ入りのPOPを用意するようにしています。
– 確かに、このめがねのロゴは印象に残りますね!今回、集客施策や告知はどのようにされたのでしょうか?
田中さん:まだ日本には入ってきたばかりのブランドですのでフォロワー数が多いわけではありませんが、FacebookやInstagramで告知をしました。
告知に関してもACME Furniture様側のご協力が大きく、ブログやInstagramへの投稿やプレスリリースの配信も行っていただきました。
そういった告知をご覧いただいて来店されたお客様の数ははっきりとはわかりませんが、残念ながらご来店いただけなかった方にもクロニクルブックスというブランド自体を知っていただく機会になったのではないかと思います。
▲ACME Furniture 渋谷店で開催されたポップアップストアの様子。自由が丘店とは打って変わってカルチャー系中心の大人向け洋書がずらり。- 今後のポップアップストア出店についてはどのようにお考えですか?
田中さん:実はACME Furniture 自由が丘店の後に渋谷店でも開催し、自由が丘店よりは少々売上が落ちたもののこちらも好評をいただきました。
自由が丘店とはターゲットを変えて、20〜40代の男性向けにサーフィンやライフスタイル系の洋書を多くいれたのですが、自由が丘店での絵本の売れ行きに比べると、少々落ち着いた結果となってしまったので、次回開催する際はもう少し文具の比率を高めるなどの工夫をしてみたいと思っています。
今のところは店舗へ商品を卸して販売している状況です。そのため、基本的には今回のように販売をお願いするかたちにはなりますが、やはりエリアによって売れる商品が大きく変わることもありますので引き続きポップアップストアでテストマーケティング的に試しながら店舗側と関係を築いていきたいと思っています。
また、来年には代官山に直営店も出す予定ですので、これまでのポップアップストアで学んだことを生かしてお客様の満足につなげていけたらと思っています。
店内の写真からもわかるとおり、それぞれの商品が違和感なくとけあい相乗効果を出した好例のように感じました。
営業中の店舗の中にコーナーとして別のブランドが入る「ショップインショップ」のかたちは元店舗に溶け込みすぎず主張しすぎない微妙なバランス感が必要になります。
今回は、世界観を合わせつつACME Furnitureでは普段取り扱いのない絵本を中心に展開したこと、POPやポスターなどのさりげないブランド主張によってお客様に違和感を感じさせずブランド認知ができたのではないかと思います。
また、今回のような委託販売型のポップアップストアにおいては委託先の販売員の方々にどれだけブランドや商品について理解していただけるかという点もポイントです。
クロニクルブックスでは、ポップアップストア開催中にACME Furnitureの販売員の方からいただいた質問についても早急に対応するようにしていたとのことでした。
ポップアップストア開始後も投げっぱなしにせず、より売上があがるように力を合わせていく姿勢が重要と言えそうです。
各店舗に自社商品を取り扱っていただくための第一歩として、ポップアップストアを開催し、売上を見ながら取り扱い商品や見せ方を微修正していく手法はこれからブランドを育てていきたい企業にとって有効な手段であるようにも感じた事例でした。
■ポップアップストア概要
期間:2015年10月23日(金)から11月8日(日)
開催場所:ACME Furniture 自由が丘店
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