公開日:2024年11月8日
更新日:2025年1月23日

ポップアップストアをきっかけにブランド刷新を図った「BAMBI WATER」の決断

ECで実績を上げ、リアルへのテストマーケティングとしてポップアップ出店を始めるところは少なくありません。今回ご紹介する「BAMBI WATER(バンビウォーター)」は、ポップアップ出店による気づきから、リブランディングへ大胆に舵を切りました。ECとリアルでは何が違い、どうリブランドしたのでしょうか?マーケティングチームの柳 賀織さま、若狭 明璃さまに詳しくお話を伺いました。

インタビュイー 

柳 賀織さま(写真右)
株式会社ラングレー マーケティングディビジョン ディレクター

若狭 明璃さま(写真左)
株式会社ラングレー マーケティングチーム 

目次

■インナーウェアで生活の質を豊かにしたい
■ECモールで評価を得て、リアル出店を目指す
■試飲から試着へ。クロスセルにつながった初のポップアップ出店
■ブランドコンセプトを刷新するに至った気づきとは
■新丸ビルでの「丸の内 POP UP week」に出店

■インナーウェアで生活の質を豊かにしたい

―まずはBAMBI WATERの紹介をお願いします。 

楽天ショップ・オブ・ザ・イヤーを2年連続で受賞

―ブランド立ち上げの背景を教えてください。 

若狭 もともとは、当社代表がボディジェルに対する不満の声を身近で聞き、そこを解決できる商品を作れないかなというところからボディジェルの商品開発をスタートしました。

ただ、ボディジェルやボディクリームは、他社との差別化がむずかしく、価格競争がかなり激しいんですね。そうなると自分たちが求めるクオリティと、お客様が求めている値段がマッチしません。

そこで「マーケットリサーチ」と「社員の声」を元にナイトブラなどインナー商品を新たに展開したところ、そちらが評価されるようになったという経緯です。 

 当時のナイトブラは、夜しか使わないものとして売られていたのが一般的でした。

そこで当社が打ち出したのが「一日中使えるナイトブラ」です。ナイトブラなのに一日中使えるというキャッチコピーが皆様に刺さったことと、実際にホールド力はかなり自信があるところなので、外出時やフィットネス、おうちでも使っていただけるような商品として評価をいただいています。 

■ECモールで評価を得て、リアル出店を目指す

―これまでの販売方法やマーケティング施策は、どのように進められてきましたか? 

若狭 販売はECモールへの出店がメインでした。

ECモール内での広告を活用し、SNS周りではインフルエンサーにお声をかけ、モニターとしてご使用いただいたりしています。

基本的にはデジタルマーケティングに寄せており、TVや雑誌などのメディアは選択していません。

ECですと自分たちで在庫コントロールもできますし、訴求したい文言も自分たちで作れるというところで楽天市場との相性がよく、オンラインでのプロモーションが中心になりました。 

―ポップアップストア出店をしたきっかけは?

若狭 初めてのポップアップストア出店は2023年の7月で、有楽町マルイさんよりお声がけいただきました。

それまでのリアル出店はバラエティショップなどの卸先のみ。

当社とお客様との接点というのはECモール上でのレビューやSNSなどのオンライン上だけでしたので、まずはリアルでどういう評価をいただけるのか出店してみようと前向きに検討することになりました。 

BAMBI WATER初となるポップアップストア

■試飲から試着へ。クロスセルにつながった初のポップアップ出店

―2023年の初ポップアップストアで良かった点や気づきなどがありましたら教えてください。 

若狭 そのときは、当社が作っているプロテインの試飲をフックにご入店いただき、そこに興味を持った方へナイトブラの紹介をするということもできて、クロスセルにもつながりました。

リアルであれば「1回飲んでみてこれ美味しいから買ってみよう」とか「これはちょっと私の好みじゃないから他の味にしてみよう」という選択もできます。

ナイトブラも試着をしていただいて、非常によかったです。

 当社の商品って、ECのレビューを見て判断していただいているというのはもちろんですが、着てもらって初めて良さがわかるんです。
ですから試してもらう方を1人でも多く増やせるというところがリアルの良さだと思います。 

若狭 一方で苦労したのが、スタッフの教育部分ですね。

私達社員はもちろん商品の良さだったり、他社との差別ポイントを理解しています。

しかしながら、ポップアップストアに短期で参加していただいたスタッフの方々は初めて商品を目にする方も多く、ここを伝えてほしいとか、こういうふうに接客してほしいというブランドの世界観や機能の落とし込みが大変でした。 

―接客マニュアルは整備されていたんですか? 

若狭 いいえ、当時はありませんでした。事務局である私達は様々な部署を横断した急造チームだったのもあり、ECの運営チームがマニュアルを作っていました。

会社は正社員のみで構成されていたので、アルバイトのスタッフに対してどういうアプローチをしたらいいのかわからないというところもありました。

接客以外でも、いつも自分たちがやっている業務とリアル出店において必要なスキルや経験がほぼ噛み合ってなかったような状況でした。 

―と言いますと? 

若狭 たとえば、デザインひとつとってもECのバナーと店頭のPOPでは見せ方って全く違いますよね。

在庫管理も、オンラインとリアルでは違います。

当社の場合、ナイトブラが17色×6サイズあるので、リアルの場合はそれが全部必要かどうかが悩ましかったり。
とにかく全員が初めてやる業務が多いという状況でもあったので、かなり苦労しました……。 

―部署横断のチームと聞くと、一見いろんなナレッジが集まって、相乗効果があるのかなと思いきや、それぞれの専門知識やスキルセットがむずかしかったということですね。 

若狭 おっしゃる通りです。 

■ブランドコンセプトを刷新するに至った気づきとは

若狭 もうひとつ、大きな気づきがありました。

当時のブランドコンセプトは「トータルボディメイクブランド」でしたので、プロテイン、スムージー、ナイトブラ、着圧レギンスと様々な商品を取り揃えていたんです。

ところがリアル店舗での反応を見てみると、なんだか何屋さんかわからず、お客様にもかえってコンセプトが伝わらないということがわかりました。

それこそ店頭に立っている販売スタッフにも世界観が浸透せず、お客様にもうまく説明できないという状況もあり、それが2024年6月に”Quality Wear,Update Wear“というブランドコンセプトへ刷新するきっかけになりました。 

―自分たちが訴えたい世界観と受け取られる側の見え方の乖離が、ポップアップストアでより可視化されたんですね。 

 はい。

ECですと、欲しい商品名やジャンル名で探すので、たとえばナイトブラを検索して当社のページにたどり着き、そこで購入完了します。
そのため、ブランド全体を俯瞰してお客様に見られることがあまりなかったんですね。

有楽町マルイでのポップアップストア経験を経て、ブランドコンセプトを刷新してリアルも今後頑張っていきたいと思っていたところ、三井不動産さんからお声掛けいただき、渋谷のミヤシタパークに出店をしました。

 ―有楽町でのポップアップの反省を踏まえて、このミヤシタパークではどういったところに工夫をされたのでしょうか? 

若狭 まずオペレーション部分は、前回と異なり、我々が所属するマーケティングチームがメインの窓口になり、必要に応じて各部署にサポートしてもらう形で進めました。

また、MDに関しては、ブランドコンセプトの刷新に合わせて、ナイトブラと新商品であるブラトップをメインに据えました。

対外的にはブランドコンセプトを刷新した記念のポップアップとして、プレスリリースを出させていただきました。

参考)ブランドコンセプトを刷新した直後のポップアップストア

―ポップアップでの集客に関してはどのような取り組みをされましたか?

若狭 SNSの連動施策は2点行いました。

ひとつがインフルエンサーに来店して商品を購入していただき、フィードやストーリーズ投稿でフォロワーに広めてもらうという企画を開催期間中に実施。

もうひとつは、ご来店のお客様がその場でポストしていただいたらクーポンをプレゼントするという企画です。またメディアの誘致も強化しました。

ブランドとして認知を取っていくためには、PRは必要だと感じていますし、こういったリアルの場があることで取材していただくきっかけのひとつにもなります。

―来店される方の新規と既存の比率はいかがでしたか?

若狭 新規の方が多かったです。

「BAMBI WATER」は楽天市場では年間1位を2回も取っていてリピート率も高く、20~30代の来店が多いミヤシタパークでも一定の認知度がある気がしていたのですが、リアルでもまだ開拓の余地があるな、という気づきがありました。

ですのでポップアップでは、本当の意味で新規のお客様にアプローチできたかなと思っています。

また、海外のお客様も多くご来店いただき、試着〜ご購入に繋がり、ご好評いただいたことは新たな発見となりました。

■新丸ビルでの「丸の内 POP UP week」に出店

―9月に新丸ビルで開催された「丸の内 POP UP week」(※)に出店をした経緯について教えてください。

※2024年9月6日(金)~10月5日(土)の期間限定で、新丸ビル3Fアトリウムにて個性的な5つのブランドが週替わりで登場したオンライン限定販売のPOP UPイベント 

若狭 はい。

有楽町マルイ、ミヤシタパークを経て、関東圏内でお客様のトラフィックが多いところであればぜひまた出店したいなと考えていた際、カウンターワークスのセールス担当に相談したところ、いくつかご提案いただきました。

その中の一つが今回の企画だったんです。

担当の方はこれまでの出店スペースの紹介に関してもかなりスムーズに動いていただきましたし、今回の新丸ビルとの打ち合わせにも現地まで同席いただいて心強かったです。

―「丸の内 POP UP week」の企画を提案されたときはどんな印象でしたか?

若狭 はい。丸の内という場所は、私達が求める働く女性や感度の高い女性のご来店が多いのではないかなと考え、ぜひ出店したいとお返事をさせていただきました。

リアルでの新規の認知獲得、ブランドを知っていただくことを目的としてポップアップ出店へ臨みました。 

―この企画(週替わりで様々なブランドが出店)では「BAMBI WATER」がトップバッターでしたね。出店されてみてどうでしたか?

若狭 当初想定した20~30代の働く女性よりもう少し高い年齢層が多かったですね。

ECにおいてメインではない層に対して販売、認知獲得に繋がったのはすごくよかったかなと思います。その層に対しての需要もあることを改めて確認できました。 

 その上で今後はどういう訴求をしていくかで、ブランドや商品の良さがしっかりとユーザーの方に届くかどうかが決まってくるなとは思いますね。 

―訴求という意味での気づきも何かありましたか? 

若狭 今後ポップアップやリアル出店の機会があれば、商品の良さの伝え方を改善したいと思っています。

ECモールであれば商品の良さを1ページで納めて、お客様の好きなタイミングで読み込んでいただけます。

でもリアルってそうはうまくいかない。

リアルならではの商品POPを作ろうと、ミヤシタパークでもいろいろ工夫したんですけれども、まだまだ足りない部分がありました。 

―詳しく教えてください。 

若狭 パッと一目見た時に、その商品の特徴が何なのか分かるようにしたいです。一目見てわかるようにしたいんです。

例えば今、遠赤外線加工素材の長袖タイプのブラトップを発売しているんですが、ヒート感が伝わるように大胆に赤やオレンジを全面に使ったPOPにするとか。 

 ブラトップが8種類あってそれぞれの違いもポスターでは説明しているんですが、お客様は立ち止まってWebページみたいにじっくり読むかというとそういうわけでもないです。

ですから、ひとまとめにするのではなく、それぞれの商品POPを作った方が良かったなとか。
リアル用のPOPやパネルはまだまだ改善の余地はあると思っています。 

―ポップアップストアを初めてやる方にとっては貴重なご意見ですね。
 最後にBAMBI WATERの今後の展望をお聞かせください。 

柳 今のところECを中心に展開をしていますが、来期以降に関してはさらにリアルへの進出もしていきたいと考えており、ゆくゆくは旗艦店も構えたいですね。 

<関連記事>

―数回の出店で知見が御社の中でたまってどんどん改善されているところがすばらしいですね。これから出店する方たちに大いに参考になりそうです。
ますますのご健闘をお祈りします。本日はありがとうございました。

企業 プロフィール

株式会社ラングレー
本社所在地:東京都渋谷区広尾1-1-39 恵比寿プライムスクエアタワー17階
代表取締役 栗原 淳徳
設立: 2010年1月7日
事業内容:アパレル・美容商品の企画、開発、販売
企業URL:https://langley.co.jp/index.html
「BAMBI WATER」:https://bambiwater.com/


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