新丸ビル3Fのアトリウムで初開催された「丸の内 POP UP week」に参加したジュエリーブランド「U by U3(ウ・バイユースリー)」。ジュエリーにかける熱い思いやブランドが設立して間もない中で出店を決めた理由、また出店してみての苦労や効果などを代表取締役の山田亜実さんに伺いました。
■バーニーズニューヨークで出会ったジュエリーにあこがれて
■ポップアップストア初出店で掴んだ多くの気づき
■長く愛(いと)おしみ、次世代に受け継ぐジュエリーを作っていく
―「U by U3」さんは、オンラインをメインに展開するジュエリーブランドですね。2024年6月に立ち上げたばかりとのことですがジュエリーとの出会い、ブランド立ち上げのきっかけなどを教えてください。
バーニーズニューヨークというセレクトショップで扱っているジュエリーが若い頃からすごく好きで、ちょこちょこ買ったりしているうちにどんどんジュエリーへの思いが強くなっていきました。
その中でも有名なデザイナーにMALCOLM BETTS(マルコム・ベッツ)という方がいます。一点一点ハンドメイドなのですべて造形が異なっており、ひとつの商品がとても時間をかけられてできています。
ハイブランドのジュエリーはどうしても機械的で、0.01ミリもずれてはいけないという感じですが、私はそういうものに全く魅力を感じません。
人の手で一生懸命一点一点作られているものはエネルギーが違います。
そんな有機的なジュエリーに強くあこがれてきたので、自分でもそういうものを作りたいと思うようになりました。
マルコム・ベッツとの出会いはある意味で私の運命を変えたと思います。
実は私の本職は不動産業なのですが、ずっとこの業界で働き続けるのも精神的にキツく感じるようになったんです。歳も重ねていく中で、やはり自分が好きなことを形に変えられたらいいなと思い、かねてからの夢であったジュエリーブランドの立ち上げを決意しました。
ただ私は彫金をやってきたわけではないので、あくまでデザインのみ。そんな中、5年前に知人を介して彫金師との出会いがあり、いろいろ重なって夢が実現したというところです。
活動を開始したものの私がデザインに込めた思いが作り手にはなかなか伝わらず、試行錯誤が続きました。
3年間の試験期間を経て、2023年7月からはインスタグラムでお披露目をし、ようやく2024年6月よりブランドとしてスタートできました。
自分の思ったものが形になったときは、うれしかったですね。
バーニーズのようにサンプルを置いて、オーダーがかかったらリングサイズなどを決めて作り始める受注生産です。
シルバーはある程度在庫を抱えられますが、金は値が上がってしまっているのでオーダーを受けてからその都度、材料を調達し作り始めます。
―山田さんはジュエリーの魅力をどのように考えられていますか?
機械的に作られたものではなく、一つひとつ叩いて作られたものに有機的な魅力を感じています。
ハンマリングと言って、叩いてこの表情を出すんです。
最初は艶を消して落ち着いた印象に仕上げるんですが、使っていくうちにツヤが出てきます。この変化もすごくジュエリーの魅力かなと。
本当に良いジュエリーってずっと変わらないんじゃなくて、使っていくと変わっていくんですよね。その人のライフスタイルや、その人色に変わっていくっていうのが本物だと思っています。
―今回、「丸の内 POP UP week」(※)に参加してみようと考えられた経緯を教えてください。
※2024年9月6日(金)〜 10月5日(土) の期間限定で、新丸ビル3F アトリウムにて個性的な5つのブランドが週替りで登場するオンライン限定販売のPOP UPイベント
ブランド立ち上げと同時に本業である不動産会社の事務所に併設する形で実店舗も構え、予約いただいての来店制度をとっているんですけど(※注:2024年10月からは予約なしのスタイルに変更)、それだと買うことが前提と思われてハードルが上がってしまうのか、なかなか予約がはいりませんでした。
かといって、高価なものはECでサッとは買えないですよね。やはり、手につけてもらいたい。そこで、人の目につきやすいポップアップを積極的にやっていければなあと思っていました。
特に私たちの商品は写真ではディテールがわからないからやはり手にとって見てもらいたい。
たとえば18金と22金では全然重さが違います。実際に手にしたお客様からは「こんなに重いと思わなかったです」とか「こんな厚みがあるんですね」という声を聞きます。
装着してもらえる場所が欲しかったというのがポップアップ出店の一番の理由です。
ただ、商品の中には100万円近くするものもありますので、出店場所はブランドイメージを崩さないところが絶対条件でした。
とにかく全然違う業界から来ているので、何からスタートしていいのかがわからず、模索しながらやってきたというのが正直なところですね。
―ポップアップに参加したもう一つの理由は、長年の友人である「LENO」さんからの紹介でしたね。
はい。どこかでやりたいなと思っていたときにアパレルブランドの「LENO」さんからお誘いがあり、ちょうどタイミングが合ったという感じです。
「LENO」の事例記事はこちら
―初めてでご苦労はあったかと思いますがいかがでしたか?
特に大変だったのはECサイトと什器の準備でした。
今回のイベントはその場で物販はできず、ECで決済してもらうというレギュレーションだったため、最低限の環境を整えないといけませんでした。
ポップアップの前日までの2週間ぐらいは毎晩深夜1時とか2時まで、ECの調整をしていましたね……(笑)。
あとはディスプレイでしょうか。
「U by U3」は当初の出店ラインナップに入っておらず、企画の進行途中からご一緒させていただくことになったため、ジュエリー用の什器は準備されていませんでした。
とはいえ高額な商品なのでそのまま無防備に陳列するわけにもいかない。そこで急遽什器を設計してオーダーで発注したんですよ。
それが結局揃ったのがポップアップ当日だったので、もし間に合わなかった場合はどうするかなど、いろいろあって当日までバタバタしました。
―それは大変でしたね。いざ初出店してみての効果はいかがでしたか?
はい。大変でしたがやってよかったです。
お客様が何を求めているのかとか、どういう層の方に引きがあるのか、とは言え現実的に購入いただけるのはどんな層なのかというのは、今回ポップアップをやってみてかなり明確になりました。
特に一番驚いたことは、男性や海外の方が非常に興味を持ってくださったことでした。
私はブランド立ち上げ時、特に明確なターゲット設定があったわけではないのですが、女性しか買わないだろうというような先入観がどこかにあり、今回も男性のリングサイズを用意していなかったんです。
日本人の女性ってどちらかというと華奢なものを求めがちな方が多いんですけれども、私はわりと華奢なものよりボリューミーな感じのデザインが好きなので、そもそも男性に向いているかもしれません。
であれば、同じデザインでサイズを大きくするというだけではなくて、デザインももう少し頑丈というか太いしっかりとしたリングが必要になります。今後はそちらもターゲットにしていくというのは大きな気づきであり、とても勉強になりました。
―今後また出店するとしたらどのような点を改善したいですか?
商材と場所との相性はあると思いますので、出店場所によってはシルバーの商品をエントリーモデル的に増やし、もう少し簡単に手にとって見ることができるようにするなど展示の工夫もしたいですね。
そのような販売方法を通して、いずれは金の魅力にも気づいていただけるように持っていければうれしいです。
また今後は他のブランドとのコラボはありだなと思いました。
今回「LENO」さんにご紹介いただき一緒に出店できたのですが、アパレルブランドが同じ空間にあることはすごくいい相乗効果になりました。やはりジュエリーだけで構成するよりは洋服もあったほうがイメージがわきやすいですからね。
―今後はどのようにブランドを展開していきたいですか?
私は、多くの人にいいジュエリーをつけてもらいたいと思っています。
「今日はこれ、明日はこれ」とあれこれ替えるのではなくて、毎日身につけて大事にして、次の世代やパートナーにも渡していけるものをたったひとつでいいから見つけてほしいんです。
一生懸命お金を貯めて買ったものってすごく大事にするじゃないですか。そういうものを今後も作りたいと思っています。
―ブランドを大きくするといった展望はありますか?
それが全然ないんです(笑)。
ハンドクラフトの受注生産体制っていうのはずっと続くことだと思っていますので、そもそも量産は絶対無理ですね。
ブランドを大きく広げようとは思っていませんが、大切なジュエリーをずっと大事にしたいという人やその思いは増やしていきたいなと思っています。
―ジュエリーへの思いが伝わりました。これからもすてきなジュエリーを作っていってください。
山田 亜実さま
株式会社U3 代表取締役
日本と台湾にルーツを持ち、学生時代をアメリカで過ごし20代で帰国。他業界において25年のキャリアを積みつつ、2024年6月に「 U by U3(ウ・バイユースリー)」をスタート。
HP:https://u3japan.com/
Instagram:https://www.instagram.com/ubyu3u3/
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