公開日:2017年4月20日
更新日:2024年10月22日

服屋以外で、服を売る。ALL YOURSが仕掛ける新しいポップアップストア

「ポップアップストア」というと路面スペースやショップの一角を使った展示販売のイメージが強いですが、出店場所として「飲食店」を活用した新しい出店のかたちを模索しているブランドがあります。この記事では、そんなALL YOURSの出店戦略についてご紹介します。

従来の方法では洋服が売れなくなってきている今、新しい出店方法を模索しているブランドがあります。

日常生活で「あたりまえ」になっていて気づかない「ストレス」から解放するための服作りを行うALL YOURSは、カフェをはじめとする飲食店を利用して頻繁にポップアップストアを開催し、お客様との関係を強固なものにしています。

そこで今回は、3月29日から4月2日まで池尻大橋のコーヒーショップGood People & Good Coffeeで開催されたポップアップストアのレポートとともに、ALL YOURSが考えるこれからの「お店という場」について、代表の木村さんにお話を伺いました。

ブランドがグローバルになっても、お店はどこまでもローカルなもの。ALL YOURSが考えるショップのあり方


▲池尻大橋のコーヒースタンドでポップアップストアを開催

– ALL YOURSの店舗も池尻大橋にあるそうですが、今回あえて同じ池尻大橋でポップアップストアを開催されたのはなぜしょうか?

木村さん:ALL YOURSの店舗がある池尻大橋全体を盛り上げることで、池尻大橋ってなんだか面白そうだぞ、行ってみよう、と思ってくれる人を増やしたいというのが理由のひとつです。

今は、ECを通せば、日本だけではなく海外のお客様にも、自分たちの商品をお届けできるグローバルな時代だと思います。

しかし、お店というのはどこまでもローカルで、その街自体の魅力を高めなければお店に足を運んでもらうことはできません。

だからこそ、池尻大橋のユニークな店舗とコラボレーションしたイベントを開催することで、街自体を盛り上げていきたいという想いがあります。

また、僕たちの店舗は池尻大橋の中でもやや奥まったところにあるので、あえて近場で開催することでショップへの誘導もしやすい、という点もメリットでした。

店頭に置けなかった商品もすぐに取りに行けますし、商品を見比べたいお客様はショップの方にご案内するなど、街全体を使ってショップを展開するようなイメージでポップアップストアを開催しました。


▲コーヒースタンドの店内にラックを持ち込んで商品を展開

– カフェで開催されたポップアップストアに対して、お客様の反応はいかがでしたか?

木村さん:ALL YOURSのポップアップストアを目的としていらしてくださったお客様も多かったですね。

「気になってはいたけど、実物を見てから買いたくて来ました」という方が多かったので、購入率も高かったです。

他の場所で開催する時もそうですが、ALL YOURSを知った上で足を運んでいただいたお客様は、その後もECを通して買い物をしてくださる方が多いです。

ポップアップストアで購入した日の夜に色違いをECで追加購入してくださったり、在庫の問い合わせをいただいたり、商品の質やサイズ感がわかれば店舗に足を運ばずとも購入に至るのだと感じています。

– どのブランドもポップアップストアへの集客に苦戦しているところが多いのですが、ALL YOURSではどのように集客をされているのでしょうか?

木村さん:メインはFacebookのイベントページとDMの送付ですね。

イベントページを作る際に気をつけているのは、開催場所をわかりやすく表記することです。

意外と見落としがちなんですが、日時や開催場所は作る側がわかっている情報なので、ブランドの紹介を一生懸命に買いているうちに書き忘れてしまうことがあるんです。

「で、結局どこでやるの?」とならないためにも、開催場所は目立つところに書いておきたいですね。

またDMもこまめに出すようにしています。

遠方にお住いの方も多いので足を運んでいただくのは難しい場合もありますが、送付後はECへのアクセス数も増加するのでブランド想起という意味でも効果があるように感じています。

カフェでポップアップストアを開催するというと、カフェの集客に頼ってしまいがちですが、僕たちはやはり「ブランドの力で精一杯集客への努力」をすべきだと思っています。

以前は原宿でもポップアップをしていたのですが、場所の集客だけに頼っていると、ブランドとして僕らが成長できないと感じました。

だからこそ、自分たちがお店を出すと言ったら足を運んでくれるお客様を作るために、どうすればいいかを考えるべきだと思うんです。

とはいえ、せっかくカフェで開催するのであれば、お互いに送客しあえる関係性がベストです。

今回は、ポップアップストアに来店されたお客様に1杯ずつお店のコーヒーを振舞うことで、コーヒーショップにとっても集客に協力するメリットができるといった仕組みにし、お互いに送客しあうという関係を築きました。

洋服を売るのは洋服屋だけじゃない。飲食店とアパレルの相性がいいと感じる理由。


▲桜の季節ということもあり、コーヒーを飲みがてら立ち寄る人の姿も多かった

– 今回のポップアップストアの見せ方で工夫した点はありますか?

木村さん:Good People & Good Coffeeでポップアップストアをやらせていただくのは2回目だったのですが、今回は前回より在庫を減らし、商品を見せることに注力しました。

前回は、普通のショップと同じように商品を並べ在庫を積んだので、やや見づらくなってしまったのが反省点でした。

そこで今回は、自分たちのショップとの距離を生かして、じっくり商品を見比べたいお客様は本店へ誘導することで相乗効果を高めることができました。

カフェでポップアップストアを開催する際の見せ方で重要なのは、その場所の雰囲気を生かすことだと思っています。

今は服が売れない時代だと言われますが、特にアパレルショップで洋服を売るのはどんどん難しくなっているように感じます。

日常の風景に溶け込み、利用シーンをイメージしてもらうことが、ポップアップストアを開催する意味だと思うんです。

僕たちが今回のようなポップアップストア以外にも、不定期でショギングやサイクリングを楽しむイベントも開催しているのも、そうした考えがもとになっています。

ALL YOURSは「あたりまえをあたりまえにしない」をコンセプトに掲げており、普段の生活の中で気づいていない洋服へのストレスをなくし、新しいことにチャレンジしてほしいという思いで服作りをしています。

たとえばお店がある池尻大橋から下北沢までは、電車でいくと30分かかりますが、自転車だと10分くらいの距離なんですね。

でも普段電車で生活している人は「池尻大橋から下北沢までは遠い」と思い込んでしまっています。

遠回りではありますが、こうした「当たり前」の枠を壊すようなイベントを通して、僕たちの理念を伝えていきたいと考えています。


▲「実物を見て買いたい」と来店される方も多かった。

– 今後取り組んでいきたいことや、やってみたい企画などはありますか?

木村さん:飲食店で開催するポップアップストアの成功パターンを作り上げていきたいですね。

先ほどもお話したとおり、今はアパレルショップで洋服を販売するのは限界がある時代だと思っています。

お店で服を買うときに、店員さんから声をかけられたくない人も多いですよね。

でも飲食店は逆で、店員さんに声をかけてほしいし、むしろこちらからおすすめを聞くことすらあります。

つまり、飲食店の方が「お店からの提案を聞きたい場所」として機能していると思うんです。

実際に、僕たちも飲食店でポップアップストアを開催していて、お客様がオープンマインドで接してくださるように感じます。

飲食店側としても、オーダーの待ち時間にお客様を飽きさせず楽しいものにするというメリットがありますし、こうしたコラボレーションは今後も増えていくのではないかと思います。

僕たち自身もブランドコンセプトと同じく、「あたりまえ」に囚われることなく新しい出店のかたちを模索していきたいですね。

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【ポップアップストア概要】

・開催ブランド:ALL YOURS

・開催期間:2017年3月29日(水)〜4月2日(日)

・開催場所:Good People & Good Coffee

・イベントページ:《東京開催!》Life-Spec Meeting TOUR “2ND LIFE” TOKYO

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