事業を行ううえで、商品やサービスの質と同じかそれ以上に売上を左右するのが、「販促」です。インターネットの普及によって、消費者が情報を手に入れやすくなった今、同業他社(他店)との差をつけるためにも、効果的な販促は必要不可欠となっています。そこで今回は、実例を交えながら、販促を行う目的や具体的な方法をご紹介します。
「販促(販売促進)」とは文字どおり、商品やサービスの「販売」を「促進」するための施策全般を指した言葉です。もう少し噛み砕いて、消費者が「商品を買いたい!」「このブランドについてもっと知りたい!」と思うきっかけを作る試み……と言うこともできるでしょう。
ここで押さえておきたいのは、販促が「販売を促進するための施策“全般”」を指しているという点です。具体的な販促の例は後ほど詳しくご紹介しますが、メールマガジンの配信からサンプルの配布、ポップアップストアを利用したイベントの開催まで、消費者に向けて商品・サービスをアピールすることが目的の施策は、すべて販促の範疇であることを覚えておいてください。
販促とはどのようなものなのか、いまひとつイメージが掴めないという方もいらっしゃるかもしれません。そこでまずは、どういった目的で販促を行うのかを確認しておきましょう。前述のとおり販促の方法や目的は多種多様ですが、ここでは大きく3つに分けてご紹介します。
1つ目は、消費者に自社の商品を知ってもらうという目的です。どれだけ魅力的な商品を販売していても、そもそも消費者に認知されていなければ、思うように売上は伸びません。そのため新商品を発売する際はもちろん、「既存の商品をこれまで接点のなかった消費者に紹介したい」といった場合にも販促は必要不可欠になります。
プロモーションイベントなどのイメージから、販促=①の認知度向上がメイン……と考えてしまいがちですが、リピーターを増やすのも販促を行う目的のひとつです。すでに商品を購入した経験がある=商品に魅力を感じてくれているという点を考えると、リピーターの増加は新規顧客の獲得と同じか、それ以上に重要であると言えるかもしれません。
3つ目は、商品の売上そのものを伸ばすという目的です。広い意味では①の認知度向上、③のリピート率増加も売上につながる要素ですが、ここでは商品の割引などによって実現できる、さらに直接的な効果のことを指しています。
ここまでをまとめると、販促は「消費者に(価格も含めた)商品の魅力を伝えて、売上につなげる」ために行うものということになります。どれだけ魅力的な商品であっても、購入してもらうためには消費者との接点が必要です。また消費者に認知されている商品でも、より魅力的な他社商品が現れることによって、売上が減少してしまう可能性も十分に考えられるでしょう。
もちろん売上を伸ばすにあたって、商品の質を高めることが重要なのは言わずもがなですが、ひとつの商品を開発するまでには多くの時間とコストが必要です。そのため、商品の持つ魅力を100%に近い形で伝えたり、おまけや割引などの“プラスアルファ”で120%まで底上げしたりするために、販促は必要不可欠なのです。
先ほどお話したとおり販促の範疇は幅広いため、自社(自店)の特徴をしっかりと認識し、それに合った戦略を立てることが重要になります。行き当たりばったりで「販促になりそうな施策」を乱発しないように心がけたいところです。どの層に向けてどのようなアクションを期待するのかを明確にしておけば、芯の通った販促が実現できるでしょう。
販促の目的が確認できたところで、今度は販促の具体的な例を見ていきましょう。オフラインとオンライン、それぞれにあった販促手法をご紹介しますので、皆さんの業種に合わせて、最適なものを検討してみてください。
はじめにご紹介するのが、もっとも代表的な販促の方法とも言える、クーポンの配布です。「○○円割引」「○○%割引」といった割引クーポンはもちろん、「購入時にグッズをプレゼント」など、おまけをつけるためのクーポンを配布するケースもあります。
この方法の利点は、新規顧客とリピーター、どちらの獲得にも用いることができるところ。例えば割引クーポンを配布すれば、今まで接点がなかった消費者からの「安くなるなら買ってみようかな」というアクションが期待できます。他方、商品を購入してくれた際に次回購入時に使えるクーポンを渡せば、リピーターとして定着してくれる確率がアップ。さらに効果を高めたい場合には、クーポンに有効期限を付けるなどの工夫も考えられます。
その他にも、手に取ってもらいたい商品のみを対象とする、合計金額が一定以上の場合のみ有効とするなど、アイディア次第でさまざまな使い方ができるでしょう。後述するSNSの手法とあわせて、オンラインの販促手法として活用することも可能です。
商品やそれに近いものを配布して、商品がどのようなものなのか体験してもらう方法です。食品の試食をはじめとして、美容品やサプリメントなど、実際に試してみなければ商品の質がわからない場合に多く用いられます。
基本的には新規顧客を獲得するための方法ですが、リピーター向けに新商品のサンプルを配布する……というケースも考えられるでしょう。どちらにせよ、「商品は気になるけど、買った後に後悔したくない」という消費者のハードルを下げるのに、サンプル配布は最適です。あるいは「まったく知らなかった商品だけど、使ってみて気になった」といった、潜在顧客の発掘に役立つ可能性もあります。
またサンプル配布は、市場調査としても活用できる点も見逃せません。実際に商品を使ってもらったうえで感想をヒアリングすれば、商品を改良する際のヒントを集められるのです。
他にも、自社のホームページから応募してくれた人にサンプルを配布する……という方式を取るなど、今後販促を行うターゲットを絞る目的でも活用できます。
キッチン用品や掃除用具など、効果や利便性が目に見える商品と好相性なのが、店頭実演です。他にもハンドメイドアクセサリーなど、商品がもたらす体験そのものをアピールしたい時にもぴったりの方法だと言えるでしょう。
店頭実演のメリットは、見せ方次第で商品の魅力を2倍にも3倍にもできる点です。皆さんの中にも、テレビの通販番組を見ていて、本来必要のない商品を買いたくなってしまった方がいらっしゃるのではないでしょうか。ポップアップストアなどで店頭実演を行えば、目新しさも加わって大きな注目を集めることができるかもしれません。
まずはオフラインにお手軽な価格で出店したい方はこちらの記事をご確認ください。
商品を購入した際に、次回以降の会計に利用できるポイントを付与するのがこの方法です。さまざまな店舗で目にすることも多い、「Tポイント」などをイメージすればわかりやすいでしょう。「スタンプが貯まったら○○円分のクーポンとして利用可能」という形式を取ることもあります。
役割としては前述のクーポン配布と近いものがありますが、ポイント付与では「ポイントが貯まるからあのお店で買おう」といったように、同業他社(他店)との比較で優位に立てる点が特徴的です。
またドラッグストアなどで多く採用されている、特定の曜日や日付にポイントを多く付与する……といったシステムで、定期的に店舗へと足を運ぶ理由を作ることも可能です。総じてポイント付与は、リピーターの獲得を考える際には、積極的に取り入れていきたい方法であると言えるでしょう。
メールマガジンに登録している顧客に向けて、新商品の発売やセールの情報を送る方法です。訴求できる層が限られているのが少しネックではありますが、文面と画像さえ用意すれば一斉送信するだけで済む点は見逃せません。
情報提供の他にも、メールマガジン経由で商品を購入した場合に割引するなど、特典を用意するのも有効です。店舗で会計する時にメールマガジンの画面を提示してもらう方式にすれば、集客につなげることもできるでしょう。定期的にメールマガジンを送ることで、消費者が自社(自店)を意識しつづける効果も期待できます。
また事前に準備が必要ではありますが、「○○人がメールマガジンに記載されているアドレスをクリックした」といった情報を収集すれば、反応が良い商品のプロモーションに力を入れるなど、別の販促に活かすことも可能です。
最後にご紹介するのが、FacebookやTwitter、Instagramといった、SNSを活用した販促です。近年では販促方法のメインと言えるほど、多種多様な業種で積極的に採用されており、販促を考える際には第一に取り入れたい方法となっています。広告として出稿しないかぎりは費用がかからない点も魅力的です。
インターネット経由ということで、メールマガジンと似ている点も多いSNSですが、メールマガジンよりもさらに手軽で身近なのが特徴と言えるでしょう。面白さや目新しさを重視したプロモーションを行えば、共感してくれた消費者による拡散が期待できるのもポイント。SNSがきっかけで有名になった店舗や商品の例は、枚挙にいとまがありません。
まだ手を出していないという方は、この機会にぜひアカウントを開設してみてはいかがでしょうか。「SNSがきっかけで大ブレイク!」……とまではいかなくても、定期的に更新を続けていれば、リピーターから愛着を抱いてもらうことはできるはずです。
繰り返しになってしまいますが、販促を行ううえで重要なのは、自社(自店)の特徴に合った戦略を立てることです。ご紹介した具体例を参考に、ぜひ効果的な販促を実現させてください。
また「店頭実演」の項目で少し触れていますが、商品の認知度向上を狙う際には、期間限定の店舗である「ポップアップストア」を出店するのが特におすすめです。アパレルから飲食まで、幅広い業種で活用することができます。興味がある方は、ぜひお近くのレンタルスペースを調べてみてください。
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