出店場所を探す上で重要なのはその街の活気や人通りの多さ。そこで今回は街の魅力度を測る指標としてHOME’S総研が2015年に提唱したセンシュアス度をもとに魅力的な街について考察します。
ポップアップストアの出店場所を探す際、まず考えるのが「どの街に出すか」ということではないでしょうか。
せっかく人が入って来やすい路面スペースに出店しても、街を歩く人が少なければ意味がありません。
そこで今回は魅力的な街を測るための新指標・センシュアス度をご紹介します。
センシュアス度とは、2015年にHOME’S総研が発表したエリアの魅力を測るための新指標。
SUUMOが毎年発表している「住みたいまちランキング」や東洋経済の「住みよさランキング」とは異なり、そのエリアに居住する人々の幸福度に主眼を置いているのが特徴です。
項目は大きく8つあり、そこからさらに具体的な4つの質問に分かれ、計32の質問にそのエリアの居住者が回答するというかたちになっています。
▲センシュアス度調査のための項目一覧
項目一覧を見てみると、従来の魅力度ランキングに比べてよりソフト面への満足度を非常に細かくとっていることがわかります。
また「共同体に帰属している」と「匿名性がある」という一見すると相反するような項目もあり、地縁やコミュニティの需要が高まりつつも都会的な匿名性も重視されていることがわかります。
▲出典:センシュアス・シティ調査
では具体的にセンシュアス度が高い街はどこでしょうか?
東京では谷根千エリアや小石川エリア、本郷エリアを擁する文京区が総合トップとなりました。
特に「共同体に属している」「歩ける」の2つの項目が突出しており、思わず歩いて散策したくなる昔ながらの街並みがそのまま残されていることがわかります。
東京エリアでは吉祥寺を擁する武蔵野市、中目黒や武蔵小山のある目黒区が続きます。
吉祥寺は住みたい街ランキングでも毎年常連で、自然の豊かさや街の活気が居住者からも評価されているようです。
目黒区は最近開発が進みさらに人の流入が増えている中目黒、昔ながらの商店街の残る武蔵小山と都会でもあり親しみやすくもあるところが居住者の心を捉えていると言えそうです。
対して大阪は北区、西区、中央区の順にランクイン。
最大の商業地である梅田のある北区ですが、レトロな街並みが人気の中崎町やリバーサイドカフェが立ち並ぶ中之島など商業施設だけではない「歩いて楽しめる」ショップ・カフェが多いことも人気のポイントのようです。
地方都市として唯一ランクインしたのが石川県金沢市。
自然や食文化が豊かであることはもちろん、「ロマンスがある」「機会がある」といった項目も都心にある他エリアと遜色ない値である点がポイントです。
センシュアス度はこのように、実際の居住者の幸福度を元に真に魅力のある街を映し出す新しい指標です。
▲出典:センシュアス・シティ調査
センシュアス度は、各項目に分けたランキングも見ることができます。
そこでポップアップストアの出店とも関連度が高い「歩ける」の中で、「遠回り、寄り道していつもは歩かない道を歩いた」の点数が高い順にまちを並べ替えてみます。
総合ランキング1、2位の間に入ってきたのは渋谷区(総合15位)。
原宿、代官山、恵比寿、奥渋など街歩きを楽しめるエリアが多い場所だけに納得のランクインです。
また豊島区(総合39位)の奮闘も目立ちます。
商業施設やチェーン店が多いイメージのある池袋ですが、ここ数年で南池袋公園のリニューアルやオープンカフェの実験的導入など「歩きたくなる街」へ進化しつつある池袋。
若者が多い池袋だけではなく、目白や巣鴨など幅広い年代に支持される街を擁するのも豊島区の強さと言えそうです。
大阪エリアでは住吉区(37位)と阿倍野区(27位)が上位にランクイン。
特に阿倍野区は大阪環状線の天王寺駅から、あべのハルカスやHoop、あべのキューズモールなどの商業施設がある阿倍野駅まで1駅で歩くことができるため近隣にカフェやショップが出店しやすい立地のようです。
このように、項目を細かくわけて見ることでその街の特徴が見えてくるのもセンシュアス度の便利なポイント。
他にも食品の販売やポップアップレストランであれば住民の感度が高い「食文化が豊か」の項目で上位の街を選んだり、フードトラックや屋外でのマーケットイベントであれば「街を感じる」「歩ける」で上位の街に注目してみるといったかたちで様々な使い方ができそうです。
出店前にランキングを眺めてみると、新たな出店候補地が見つかるかもしれません。
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