最近では、販売をメインとしたポップアップストアだけではなく、トークイベントやワークショップを軸にしたポップアップイベントも増えてきています。この記事では、ポップアップイベントを国内外で多数開催している「Maki&Mpho」の事例をご紹介します。
リアルの場が “物を売る場所”から “体験する場所”に変化しつつある今、その場での販売をメインとしたポップアップストアではなくトークイベントやワークショップを軸にしたポップアップイベントも広がりを見せています。
特にまだできてまもないブランドやこれから認知度を上げていきたいブランドにとって、新しいファンづくりの手法として取り入れるブランドも増えていきそうです。
そこで今回はブランド立ち上げ当初からレストランやショップでのポップアップイベントを通して、ブランドストーリーを表現しているMaki&Mphoの二人にお話を伺いました。
▲スープストックの新業態・also Soup Stock Tokyoで開催されたトーク&ポップアップギャラリーの様子。
Maki&MphoはクリエイティブディレクターであるMphoさんがデザインするモダンアフリカンアートと、織物や和紙などに残る日本の伝統の技を融合した、テキスタイルを中心とするインテリア、ファッション雑貨ブランド。
日本だけではなく、欧米諸国やアフリカなどグローバルな展開を進めています。
今回はそんなMaki&Mphoが自由が丘と銀座で開催したポップアップイベントを中心に、これまで海外で開催したイベントを通して表現する新しい “ブランド体験”についてお話を伺いました。
– 今回自由が丘と銀座でポップアップイベントを開催しようと思ったきっかけを教えてください。
Makiさん:これまでにも海外で開催してきたレストランやショップ内でのイベントを通して、ブランドの世界観や価値観を伝えるためにはただ販売するのではなく、対面でコミュニケーションをとることが重要だと感じていました。
日本でもそうしたイベントを開催したいと考えていたときにスープストックの新業態であるalso Soup Stock Tokyoの存在を知り、店舗のコンセプトや空間の雰囲気、日本中でもこの業態の店舗はここにしかないという希少性からこの場所でのイベント開催を決めました。
イベントの告知をしてから予想以上に反響をいただいたこともあり、その日にお越しいただけない方のために次の日もイベントを開催しようと考え、銀座のバーを利用したイベントも企画した、という流れです。
▲Maki & Mphoとしてはじめて開催したボストンでのトーク&ギャラリーイベント。メンズファッションのエキスパートを交えたライフスタイル提案のパネルを通じてブランドの世界観を発信。
– イベントの反響はいかがでしたか?
Makiさん:結果としては、予定していた枠の1.5倍以上の方にお越しいただくことができました。
今回事前決済のために利用したPeatix経由で、デザインやアートへの関心の高い方にもお越しいただくことができました。
Maki&Mphoのブランドを知らない方にも私たちのブランドをはじめ、アフリカのデザインについて知っていただくよい機会になったと思います。
今回はその場での販売も行い、伝統工芸である播州そろばんを活用したABACUS CLOCKとコラボレーションした商品が特に人気でした。
私たちとしてもアートやデザインに興味関心が高い方々とのコミュニケーションを通して、ブランドストーリーの伝え方や見せ方など非常に勉強になりました。
▲アムステルダムにあるデザインホテルのラウンジで開催された展示イベント。
– 日本以外の国ではどういったイベントを開催されてきたのでしょう?
Makiさん:はじめてイベントを開催したのはアメリカ・ボストンのレストランです。
ランチタイムとディナータイムの間のアイドルタイムを利用してトーク&ギャラリーイベントを開催しました。
ファッションウィーク中だったこともあり、メンズファッションのエキスパートを交えたパネルでのライフスタイル提案を通じて、ブランドの価値観を伝えるイベントにしました。
こうしたイベントを通してトライ&エラーを重ねながら、ブランドとしてのコミュニケーションの取り方を試行錯誤しています。
他にもアムステルダムにあるデザインホテルのラウンジやパリのショップなど様々な国の個性的なスペースでイベントを開催してきました。
▲銀座のバーで1日店長としてアフリカのデザインについて発信したイベントの様子。店内のデジタルフォトフレームなども活用しながら、店内をブランド仕様に。
– なぜあえてプレーンなレンタルスペースではなく、レストランやショップといった店舗でイベントを開催されてきたのでしょうか?
Makiさん:プレーンなスペースに比べるとレストランやショップでのイベント開催は場の雰囲気とブランドイメージを合わせるのが難しいのですが、その分スペースの個性を生かしたテーマを考えられるためお客様に楽しんでいただきやすいと思っています。
例えば以前利用したレストランはイベントにとても協力的で、テキスタイルの柄に合わせてオリジナルカクテルを作ってくれました。
イベントを企画する際は販売よりもその場所で何が体験できるかを重視しているので、コラボレーションすることでよりユニークな体験ができる場所であることを大切にしています。
▲今回お話を伺ったマネージングディレクターのMakiさん(右)とクリエイティブディレクターのMphoさん(左)。
– 企画や見せ方で特にこだわっているポイントなどはありますか?
Makiさん:その場所のユニークなポイントを生かすことを大事にしています。
例えば自由が丘のイベントでは1、2Fが吹き抜けになっていることを生かして2Fから大きな布を垂らして展示したり、銀座のバーでは店内備え付けのデジタルフォトフレームを活用したりもしました。
イベントでは毎回コミュニケーションが生まれる場にすることを大切にしていて、ドリンクを振る舞うなどカジュアルなパーティー仕様にすることが多いです。
ブランドへのエンゲージメントを高めるためにはその場を楽しんでいただくことが何より大切だと考えているので、どうすればMaki&Mphoの世界観を楽しみながら理解していただけるかを毎回考えています。
▲渋谷ヒカリエでもポップアップイベントを開催。
– 今後開催してみたいイベントや気になるエリア、場所などを教えてください。
Makiさん:Maki&Mphoはデザインやアートと関連性の深いブランドなので、最近増えてきたデザインホテルのラウンジスペースは特に興味があります。
あとは最近海外事例で知ったオフィススペースでのポップアップストアも面白そうだなと思っています。
オフィスという半クローズドな空間で、その企業のカルチャーや歴史にあわせた企画など考えてみたいですね。
私たちとしては、ポップアップストアを通じて商品を売るという考え方ではなく、より多くの個人にブランドの世界観や価値観をしっかりと伝え、最後にその一部としての商品を持ち帰ってもらえるような流れをつくりたいと考えています。
「かわいい」といった見た目だけの直感的訴求ではなく、デザインの裏にあるストーリーや芸術性、対価に見合った稀少価値を提案することで、売上につなげています。
こうしたやり方は売り上げにつながるまで時間はかかりますが、購買が発生した瞬間はブランドの真価がお客様に伝わった確信が持てるという意味でも、最高の瞬間であると言えます。
今後も期間や場所を変えながら、より多くの人に共感していただけるような場を作っていきたいと思います。
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