Guide / 2015/09/10

「ポップアップストア」とは

「ポップアップストア」とは、路面の空きスペースやショップの一部を使って、期間限定で開かれる出店形態のことを指します。この記事では、最近注目を集める「ポップアップストア」の概要および盛り上がりの背景、種類、さらに今後の動向について解説します。

「ポップアップストア」「ポップアップストア」という出店形態があることをご存知でしょうか。

空きスペースやショップの一部を利用して期間限定で出店する形態のことを指し、ここ数年欧米を中心に広がりを見せています。

これまでも、百貨店や商業施設への催事出店を中心にポップアップストアの事例はありましたが、Eコマースを中心とした小売市場の変化によって日本でも新しい角度から注目が高まりつつあります。

そこでこの記事では、ポップアップストアの概要および注目されはじめた経緯、種類、さらに今後の動きについて解説します。

「ポップアップストア」の概要


▲人通りが多い通りの1Fにあるガラス張りスペースは特にポップアップストアに最適な物件。

「ポップアップストア」とは、アパレルなどのブランドが空きスペースを活用して期間限定で出店する店舗のことです。

通常、店舗をもつためには最低でも数百万単位の費用がかかりますが、ポップアップストアの場合は1回あたり数万円単位と費用を抑えて出店することができるため、小規模な事業者も気軽に出店できることで人気を集めています。

またその場で販売するだけではなく、新製品のテストマーケティングや常設店舗出店前のエリアマーケティングを目的として利用されるケースもあります。

ブランドとお客様の距離を縮めるためのリアルの場を、従来の1/10〜1/100のコストで実現できるようになったことが、ポップアップストアへの注目度が高まっている理由といえます。

(参考:ポップアップストアのメリットとは?

ポップアップストアが注目を集める背景


▲ポップアップストアでは、販売だけでなくワークショップやトークイベントなど “体験”を重視した企画も多い

「短期間の出店」だけであれば、これまでにも百貨店や商業施設を中心に開催されてきました。

しかしここ数年で「ポップアップストア」として改めて注目を集めている理由は、下記の2つの変化が根底にあります。

1.Eコマース市場の成熟によるユーザー購買行動の変化

2.都市部を中心とした地価の上昇

まず1つめの変化は、Eコマース市場の成熟により “体験価値”が重視されるようになった点です。

インターネットの発展とともに拡大を続ける国内のEコマース市場規模は、大手の事業者だけでなく、だれもが手軽にEコマースサイトを作れるようになったことも後押しし、近いうちに20兆円規模に達するといわれています。

Eコマースの発展によって実店舗を持たずにEコマースを中心に展開するブランドも増えましたが、Eコマースではオンラインでの購入前に、実物を手にとってみたりすることができないという大きな課題があります。

同時に、Eコマースではオンラインという制約上、作り手やデザイナーの思いを直接伝えることが難しく、ブランドへの愛着が湧きづらいという課題も出てきています。

ブランドへの愛着をもってもらうことでLTV(※)が高まり、自然な口コミにもつながることから、その場での販売ではなくブランド体験に重きをおいたポップアップストアが増えているのもこうした流れが根底にあります。※LTV…Life Time Value=顧客生涯価値。顧客が生涯を通じて企業にもたらす利益のこと。

つまり、Eコマースの発達による購買行動の変化が、結果として実店舗での”商品体験”のニーズを引き起こしているのです。

このようにリアル店舗のニーズは高まっているものの、出店を阻んでいる理由が2つめの都市部を中心とした地価の上昇です。世界全体で都市部への人口一極集中が進んでおり、どの国も都心にある商業用不動産の価格は上昇傾向にあります。

その傾向は日本も同様で、土地代データによれば2015年は東京都23区すべての地価が上昇、2016年もビジネス街や商業地域を中心に軒並み上昇しています。

特に表参道や銀座といった一等地にある路面店では、高騰する家賃を払いきれずに撤退するブランドもでてきているほどです。

さらに、常設店舗をもつには通常5年から10年の長期契約が必要になります。しかし、変化の激しい現代において、莫大な固定費を長期間払い続ける決断は容易なことではありません。

店舗をもちたいブランドの増加と、地価の上昇による出店費用の高騰。

この2つの変化を解決するために生まれたのが「ポップアップストア」という手法なのです。

ポップアップストアの種類


▲空きスペース活用だけではなく、トラックを利用した移動販売も増えつつある。

このような背景を受け発展してきたポップアップストアですが、具体的にどのような種類があるのでしょうか。

ポップアップストアの種類は大きく分けて3つに分類されます。

1.レンタルスペースを丸ごと借り切る

レンタルスペースやギャラリーを貸し切って、その場で商品を販売したり体験をしてもらうスタイルです。

2.ショップやカフェの一部を利用する

セレクトショップやカフェの一部スペースを借りて、展示や販売を行うスタイルです。ショップ内のスペースだけでなく、「壁」や「棚」といった部分のみを借りて利用する場合もあります。

3.百貨店や商業施設に出店する

施設内の空き区画や共用部を利用して、商品を販売するスタイルです。

ここからは、3つのスタイルそれぞれのメリット・デメリットや事例について解説します。

1.レンタルスペースを丸ごと借り切る


▲路面スペースで開催されたThreeArrowsの事例

▲路面スペースで開催されたThreeArrowsの事例。

レンタルスペースやギャラリーを貸し切り、まるで通常の店舗のように商品を陳列し、独立した店舗として見せるスタイルです。

スペースを丸ごと貸し切ることで、広いスペースをブランドの思い通りに活用できるようになり、見せ方や企画の自由度を抜群に高めることができます。その結果としてブランド独自の世界観を出すことができ、オリジナリティ溢れるポップアップストアの出店が可能となります。

また、ウォークインのお客様を獲得しやすい、人通りの多い路面スペース以外でのポップアップストア開催事例も増えてきました。例えば、2階以上の空中階スペースを利用してたポップアップストアを開催し、「ファンのお客様」のみを招待するといった、ファンのお客様にとっての特別感に溢れた事例などです。

このような「自由度の高さ」がスペースを丸ごと貸し切るメリットですが、ポップアップストアへの集客は、すべて自分たちの力で行う必要があるという課題もあります。

そのため、ポップアップストアへ足を運んでいただくには、人々が「ポップアップストアへ行きたくなるような企画づくり」が特に重要になってきます

【ポップアップストア事例】

並べるのはたったの5品。”作り手の思いを伝える場所”をもつことの意味/Of the Shop

海外メーカーの初来日にあわせて限定イベントを開催 / ニューアート

2.ショップやカフェの一部を利用する


▲美容室の一角で開催されたバラダジャパンの事例

カフェやショップ、美容院などの棚や一部スペースを利用して展示販売を行うスタイルです。出店先の店舗に訪れるお客様に見ていただくことができ、集客力にも期待が持てるためこれから認知度を上げていきたいブランドにおすすめの出店形態です。

スペースを丸ごと借り切る場合に比べて費用を抑えることができ、1日数千円から出店することも可能という手軽さも魅力の一つです。スペースによっては、店内の一部スペースだけでなく棚や机単位で借りることもできるため、アクセサリーや文房具、雑貨など小物を扱うブランドに特に適しています。

また、スペースによっては委託販売を依頼できることもあり、人件費を抑えて出店できるというメリットもあります。

ただし、ショップの雰囲気に合うかどうかの審査が入ることが多く、中には展示のみで販売できないスペースもありますので、事前に雰囲気や条件を確認することが大切です。

【ポップアップストア事例】

カジュアルに作品に親しんでもらえる場を / ARTS&CINEMA

ショップの一部を利用してジュエリーを展示販売/フィリグラーナ・コン・アモール

3.百貨店や商業施設に出店する


▲横浜・コレットマーレで開催されたSOLCIONの事例

施設内の空き区画や共用部を利用して商品を販売するという、これまでにも数多く開催されてきた、一般的にイメージしやすいポップアップストアのスタイルです。

買い物を目的として百貨店や商業施設に来店しているお客様が多いので、抜群の集客力をほこり、もっとも販売に適した出店形態といえます。

最近では専用の区画を作るなどポップアップストアに力をいれている商業施設も増え、出店しやすい環境が整ってきています。

商業施設の場合は、固定家賃ではなく売上の一部を家賃として支払う仕組みが一般的なため、必然的に販売メインのポップアップストアが多くなります。

また、施設によっては、利用する設備や什器・包装紙や会計の仕組みなど、出店形式に施設独自の細かいルールが決まっている場合があります。ブランドの良さをお客様に正しく伝えていくためには、施設のルールや雰囲気に合わせつつも、ブランドの世界観をだすための工夫が必要です。

【ポップアップストア事例】

「贈り物」をテーマに、日本酒のあるライフスタイルを提案 / 日本酒応援団

商業施設の一角でポップアップストアを開催 /ARRO

ポップアップストアのスペースの探し方

それでは、ポップアップストアに利用するスペースはどのように探せば良いのでしょうか。数年前までは、不動産屋や広告代理店に相談したり、はたまた人づてにスペースを探すということが一般的でした。

しかしこれらの方法でスペースを探す場合、網羅的なスペース検索は不可能であり、比較的限られた選択肢の中からスペースを選ぶ必要がありました。そのため、ブランドの世界観を反映できるスペースを見つけられる可能性は低くなる傾向にありました。

また、通常の短期出店においては、スペースのオーナー様との個別の契約が必要になり、契約自体に必要以上の時間や手間が取られたり、場合によっては多額の敷金や礼金といったお金の負担も必要になっていました。そのため過去にはこのようなハードルの高さゆえ、ポップアップストアの出店を諦めざるを得ないケースも多々ありました。

近年、弊社が運営するSHOPCOUNTERをはじめとする、スペースマッチングサービスが誕生したことにより、ポップアップストアのスペース探しはより身近になってきています。これらのスペースマッチングサービスを利用することにより、スペース探しがより効率的になるだけでなく、スペースオーナー様との個別の契約が不要になるといったメリットもあり、より簡単にポップアップストアを始められるようになりました。

ポップアップストアのこれから


▲QRコードを活用し、Eコマースサイトへ誘導するARTS&CINEMAの事例

小売市場の変化や地価の上昇を背景に盛り上がりを見せつつある「ポップアップストア」ですが、今後はどのような展開を見せるのでしょうか。

直近の動きとしては、ネット上(オンライン)から、現実世界(オフライン)での行動へと促す「O2O施策」や、Eコマースサイトとポップアップストアをシームレスに繋げる「オムニチャネル施策」に、ポップアップストアを絡める事例が増えています。

たとえば、ポップアップストアでの在庫所有は最低限にして商品を ”魅せる”ことに注力し、購入はEコマースへ誘導することで、実店舗とEコマースの強みを生かすといった施策です。

Eコマースサイトやそこに誘導するためのQRコードやショップカード、そしてポップアップストアというリアルの場、という要素がすべて揃った現代だからこそできる施策だといえるでしょう。

今後はさらに「 “モノ”から “コト”へ」という動きが加速し、Eコマースや店舗での販売だけでなく、体験を通してブランドや商品へ愛着をもち、購買につながる流れが一般的になっていくことからも、こうした動きはさらに加速していくと考えられます。

つまり、これからの時代にブランドを展開していく上で大切なのは、その場での販売ではなくお客様に “何を体験してもらうか”ということなのです。

Eコマースの発展によって、お客様にブランドを認知していただく機会を増やすことはできました。しかし、お客様に長く愛されるブランドを作り上げていくためには、Eコマースだけでは十分ではありません。

常設店舗を持たずともリアルでの体験を提供可能なポップアップストアを通して、販売に体験をうまく組み込み、お客様に長く愛していただけるブランドを育てていきましょう。

ポップアップストアを出店するには

ポップアップストア出店の際には、ご紹介したようなポップアップストアの基礎知識に加え、エリアや集客・企画など様々な知識も必要になります。

SHOPCOUNTERでは、これまで開催されてきた数多くのポップアップストアの事例をもとに、ポップアップストア出店のサポートを行っております。

ポップアップストアに最適なスペースのご提案から企画へのアドバイスまで、幅広く対応しておりますのでぜひお気軽にご相談ください。


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