消費者に直接商品を販売するD2Cのビジネスモデルにおいて、顧客と関係を強めていくことが重要です。関係構築のための施策として代表的な「会員プログラム」は、顧客ロイヤルティを高め、継続的に収益を得るために活用できます。
本記事では、会員プログラムの概要や得られる効果、具体的な事例を詳しく解説します。
1.会員プログラム(メンバーシッププラン)とは
2.会員プログラムの効果
3.会員プログラムの種類
4.会員プログラムの事例3選
5.まとめ
会員プログラム(メンバーシッププラン)とは、ECサイトやアプリ、実店舗の利用に際して顧客が会員登録を行い、特典やサービスを提供する仕組みのことです。会員プログラムを導入することで、ブランドへのロイヤルティを高め、長期的な関係を構築できるようになります。D2Cのビジネスモデルにおいて、会員プログラム活用の重要性が増しています。
会員プログラムへ登録した顧客に提供される主なサービスは下記のとおりです。
特別割引やポイント還元 | 会員限定価格や購入金額・会員ランクに応じたポイント還元 |
先行販売や限定商品の購入機会の提供 | 新商品や限定アイテムの事前購入、会員限定の商品の販売 |
パーソナライズされたサービスや特典の付与 | 顧客の好みや購入履歴に基づいた商品レコメンド、 閲覧した商品やお気に入り登録した商品の特別割引 |
会員限定イベントやコンテンツ | オフラインイベントへの招待や会員ページへの特別コンテンツの掲載 |
D2Cブランドが会員プログラムを活用することで得られる効果を紹介します。
会員ならではの特典やサービスを提供することで、顧客がブランドのファンになってもらう、愛着を感じてもらうことができます。ブランドから顧客が離れてしまうことを防ぎ、顧客満足度が高められるため、長期的な関係を築く上で有効な施策です。
会員特典やポイント制度があることで、顧客のリピート購入を促進できます。購入頻度の増加や平均購入金額の上昇により、顧客生涯価値(LTV)が向上し、長期的に安定した収益を得ることができます。
会員登録した顧客の購買行動や嗜好が自社に蓄積されるため、精度の高いデータを活用できるようになります。近年、個人情報保護の動きが強くなり、3rd Party Cookieが規制されるようになっています。そのような流れの中で、第三者を経由しない、自社で収集した1st Party データを取得することが企業の喫緊の課題です。
会員プログラムを導入することで、顧客データの収集ができ、マーケティング施策や商品開発に生かすことができます。
会員プログラムは、主に以下の2種類に分類されます。
購入金額や購入頻度に応じて会員ランクが上がり、より豪華な特典が得られるシステムです。例えば、レギュラー会員からスタートし、シルバー会員、ゴールド会員、 プラチナ会員のようにランクがアップしていきます。
会員ランクの仕組みがあることで、上位ランクを目指すことが購入の動機付けになり、購買意欲を継続的に刺激することができます。また、会員ランクごとに柔軟に特典を設計することができることも特徴です。
そして、会員ランクごとの購入行動や顧客属性を分析することで、積極的に獲得すべき顧客層が明らかになったり、顧客をセグメンテーションして適切なアプローチができるようになったりと、マーケティング施策にも活用できます。
デメリットとして、購入頻度や購入金額の低い下位のランクのモチベーションが下がってしまったり、上位ランクとの特典の差で会員登録しているメリットを感じづらくなってしまったりと、ブランド離れを引き起こしてしまう可能性があります。
月額費や年会費を支払うことで顧客が特別なサービスを受けられるシステムです。購入金額や頻度に関わらず、高待遇を受けられます。例えば、「年会費10,000円で全商品10%オフ+送料無料」のような特典があります。
有料型の場合、提供するブランド目線では安定した収益源を確保できることが特徴です。会費を支払う時点でブランドに好感を抱いている顧客である可能性が高く、高いロイヤルティを持つ顧客へアプローチしやすくなります。
一方で、会員ランク型と異なり、会員登録のハードルが高いため、顧客に会費を支払ってもらえるような提供価値が必要です。
また、会員特典は、顧客がお得だと感じる内容、かつブランド側の負担が大きすぎないラインに設定する必要があります。
最後に、会員プログラムの事例を3つ紹介します。
FABRIC TOKYO メンバーシッププログラム:https://fabric-tokyo.com/membership-program
FABRIC TOKYOは、オーダーメイドのビジネスウェアを販売するアパレルブランドです。体型だけではなく、価値観やライフスタイルに合わせた一着を提供する「Fit Your Life.」がコンセプトで、スーツやシャツだけでなく、ジャケットやチノパンなど、ビジネスシーンで活躍するアイテムを幅広く取り扱っています。
FABRIC TOKYOの会員プログラムの概要は下記のとおりです。
開始時期 | 2024年8月29日 |
会員プログラム名称 | 「FABRIC TOKYOメンバーシッププログラム」 |
会員ステージ | 5ステージ |
FABRIC TOKYOメンバーシッププログラムの内容
FABRIC TOKYOメンバーシッププログラムの特徴
オーダーメイドのビジネスウェアとなると、購入頻度は少なく、ランクアップのハードルが高そうな印象を持つところを、購入以外のアクションに対してもポイントが付与され、ランクアップできる仕組みに設定しています。
このような工夫がされていることで、販売後に希薄になりがちな顧客との関係を継続しやすくなり、リピーター獲得につながる可能性が高まります。
TENTIAL CLUB:https://tential.jp/guide/tential_club
TENTIALは、「健康に前向きな社会を創り、人類のポテンシャルを引き出す。」ことをミッションに、寝具や機能性ウェアなどの身体をサポートする商品を展開しています。今年3月に累計販売数50万枚を突破した「BAKUNE」シリーズは、着て寝るだけで疲労回復するリカバリーウェアとして人気です。
TENTIALの会員プログラムの概要は下記のとおりです。
開始時期 | 2024年5月15日 |
会員プログラム名称 | 「TENTIAL Club」 |
会員ステージ | 4ステージ |
TENTIAL CLUBのプログラム内容
TENTIAL CLUBの特徴
購入だけではなく、特定のアクションごとにマイルを貯めることができるため、ランクアップのハードルを高く感じさせないシステムになっています。
また、ギフト購入や大切な方の誕生日登録をすることでもマイルが貯まる仕組みになっており、健康をサポートする商品特性から、贈り物としての購入を促す工夫がされていることも特徴的です。
(ふつうの)ショップは、「食卓の(ふつうの)基準を上げる。」をビジョンに掲げ、料理人や職人とともに、いつもの食事を特別な時間に変えるための製品開発・販売を行っています。第一弾商品である「(ふつうの)マヨネーズ」のはじめ、「(ふつうの)ケチャップ」や「(ふつうの)塩」、「(ふつうの)ドレッシング」などの調味料を中心に商品を展開しています。
そんな(ふつうの)ショップの会員プログラムの概要は下記のとおりです。
開始時期 | 2024年2月 |
会員プログラム名称 | 「(ふつうの)ショップ OWNER’S CLUB」 |
会員ステージ | 4ステージ |
「(ふつうの)ショップ OWNER’S CLUB」のプログラム内容
「(ふつうの)ショップ OWNER’S CLUB」の特徴
定期便にも関わらず、商品ラインナップを選べたり、配送スキップができたりと自由度が高く、試しやすい会員プログラムになっています。
また、会員であれば通常の買い物でも割引を受けることができ、調味料の買い足しやギフト購入がしやすく工夫されています。
D2Cブランドにとって、会員プログラムは顧客と長期的な関係を築いていくために注力したい施策の一つです。ブランドの特性や顧客ニーズに合わせたシステムを設計し、継続的に改善していくことが、会員プログラムを効果的に活用するために重要な鍵となります。
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