ECを中心に成長をしてきたケーキ・スイーツ専門通販サイトのCake.jpは、2024年11.30~12.1に大規模なスイーツフェス「OKASHI PARK in 渋谷北谷公園」を開催しました。通販サイトがなぜポップアップイベントを開催したのか? またどんな効果があったのか?Cake.jpの企画担当者にお話を伺いました。
野崎 有希さま(写真右)
株式会社Cake.jp 広報・CRM部 部長
佐藤 さくらさま(写真左)
株式会社Cake.jp 広報部
■業界の課題を解決して「スイーツで心の温度を上げる」
■写真ケーキやIPコンテンツとのコラボで限定商品をラインナップ
■初となる大規模スイーツフェス「OKASHI PARK in 渋谷北谷公園」を開催
■ポップアップストアで加盟店との一体感を醸成、ネットの売り上げにも寄与
-まずは、貴社のサービス概要について教えてください。
野崎 Cake.jpは「スイーツで心の温度を上げる」というミッションを掲げ、2017年にスタートした国内最大級のケーキ・スイーツ専門の通販サイトです。全国1700店舗以上の洋菓子店が加盟し、会員数は200万人、常時8000種類の商品を展開しています。
自分たちが食べたい、誰かに届けたいと思えるようなスイーツをラインナップして、ユーザーの心の温度を上げるだけではなく、スイーツ業界の抱えている課題を解決することで加盟店の心の温度も上げていると自負しています。
-業界の抱える課題というと具体的にはどんなことがあるのでしょうか?
野崎 大きくは、ふたつあります。
まずひとつは労働環境の問題。店舗がある洋菓子店は、朝早くから仕込みをして生のケーキを作り店舗で販売し、営業時間後の夜は次の日の仕込みをしていますから、過酷な環境で働いている方が多くいます。
もうひとつは作っても売れなければ生のお菓子の場合、破棄しなければいけないというフードロスの問題です。
-そこを、Cake.jpが介在することでどのように解決できるのですか?
野崎 Cake.jpは扱っている商品の9割以上が冷凍ケーキです。ケーキは元来、発送することが難しいのでネットでケーキを販売することにチャレンジする企業は少なく、ブルーオーシャンと言えるのですが、冷凍ケーキだと保存ができるため、ある程度計画性を持って製造ができ、労働時間の短縮のほか、ロスの削減にも繋がります。
さらに弊社は発送時にケーキが崩れず、お客様の元にお届けできるような梱包技術を開発(特許取得済み)し、今ではほとんどの加盟店に使っていただいており、安心安全にケーキをお届けすることができています。
また、小さな洋菓子店でもネットであれば全国のお客様にお届けできるので、商圏が広がるという利点もあります。
-貴社はどういうマーケティング施策によって、短期間で大きく成長できたのでしょうか?
野崎 当初は、とにかく加盟店を増やすことに注力していたんですが、「ケーキをネットで販売するなんて、売れていないケーキ屋がやることだ!」など揶揄されることもあり、苦戦しました。
ところがコロナ禍で、リアルな店舗を閉めざるを得なくなり、洋菓子店の方々がネットでケーキを売っていくことにポジティブになってくれたんです。ユーザーも実店舗になかなかケーキを買いに行けないのでネットのご利用が一般化してきました。
また、ネット店舗とリアルの違いとして、当日すぐに手にすることができないという課題がありますよね。それを埋めるために短納期でお届けする仕組み作りにも注力したのをはじめ、リアルで売っていないネットならではの商品ラインナップを拡充することで徐々に会員数が増えていきました。
-通販でなければ買えない商品というのは、どういったモノでしょう?
野崎 主力商品となったのが、お好きな写真でケーキのプリントができるという“写真ケーキ”です。もう一つはIP(Intellectual Property=「知的財産」の略)コンテンツとのコラボです。これまでに呪術廻戦、名探偵コナン、ワンピース、エヴァンゲリオンやサンリオなど多くの作品やキャラクターとコラボをしています。いち洋菓子店では、著作権や意匠権などの問題がありIPとコラボをやりたいと思っても実現は簡単ではありません。そこをCake.jpが橋渡し役となって全体を取りまとめることで可能になります。
TVアニメ『ONE PIECE』×Cake.jpコラボ 32種類のオリジナルケーキ缶
TVアニメ『ONE PIECE』×Cake.jpコラボで人気の「ゴムゴムの実ケーキ」を「ヒトヒトの実 幻獣種モデル”ニカ”ケーキ」に商品名を変更し販売
“サンリオキャラクターズ エンジョイアイドルシリーズ”から初の「推しのためのカスタムケーキメーカー」
ちなみに店舗の得意・不得意や生産キャパシティをデータベース化しているので、そこから各案件ごとに一番適している店舗をピックアップし、ご提案をして作っていただいています。
また、これらのケーキは、スイーツにそれほど興味のないお客様にもグッズ感覚でご購入いただく動機を与えることとなり、新規の顧客獲得につながっています。
-なるほど。グッズ感覚でスイーツを購入とは驚きました!
野崎 当社のお客様にはファミリー層がすごく多いので、小さいお子様でも食べられる材料やアレルゲン対応で作るケーキのラインナップも増やしています。
現在、ご好評いただいている名作絵本とコラボしたクッキー缶シリーズもそうです。小麦、乳製品、砂糖を使ってないお菓子を手軽に買えるので、育児に忙しいママ・パパたちにとても喜ばれています。
-なぜ、ポップアップストアにもチャレンジしていく方針にしたのでしょう?
野崎 リアルでしか買わないお客様を、ネットにうまく誘導したいと考えたからです。
当初はネットで売れている商品をポップアップストアで展開したのですが、全然売れませんでした。スイーツならなんでも売っているポップアップストアみたいになってしまい、お客様もどれを手にとったらいいのか迷われていましたし、見せ方もよくなかったと思います。
ポップアップストアの効果がうまく出始めたのは持ち帰りやすい常温のスイーツを置くということと、わかりやすいポップアップストアのテーマやコンセプトを作るようにしてからですね。
いま実施しているのは、前述の絵本クッキー缶のみに絞ったポップアップストアです。常温で持って帰れるし、コラボのラインナップしか置いてないのでお客様も迷わないところがうまくいっているポイントかなと思います。価格帯を揃えるのも大事ですね。
―そんな中、渋谷の北谷公園にて2024年11月30日(土)、12月1日(日)に「OKASHI PARK」と題した大規模なポップアップイベントを開催されましたね。加盟店が約30店舗集まったと聞いております。このイベントを行おうと思ったきっかけは何だったのでしょうか?
野崎 全国のCake.jpの加盟店から、コロナも明けたタイミングで東京でイベントがあれば出店したいという声がちらほら上がっていたということと、我々としてもお客様とのリアルな接点を作ってCake.jp自体の認知を向上したいと考えたのがきっかけですね。
企画を立ち上げたのは2024年に入ってからですが、本格的に動き始めたのは10月でした。
―出店されるお店は、Cake.jpで売り上げが大きいお店といった基準はあったのでしょうか?
野崎 全くそれはありませんでした。条件としては、焼き菓子をメインにラインナップするくらいです。
―初めての大きなイベントということで、大変だった部分、反省点などはいかがでしたか?
野崎 私含めた4人が運営メンバーでして、特にポップアップイベントの知見も全くなかったので、全てにおいて大変でした……。
まずは場所探し。
トラフィックがちゃんとあって、マルシェ的な世界観を創れる場所をどうやって探したらいいのかがわからなくて時間がかかっていたんです。たまたまカウンターワークスの担当者とお会いする機会があり、自由が丘の老舗商店街「ひかり街」でのイベントのお話を伺い相談させていただきました。
条件などをお伝えしたら、すぐにご提案いただいてすごくありがたかったです。
もっと早く相談すればよかったですね(笑)それから申請書類を調べたり、出店店舗やスポンサー企業を集めたり、その営業活動も大変でした。
―佐藤さんにとって今回のイベントはいかがでしたか?
佐藤 この作業にどれぐらい時間がかかるかが全然わからなくて、どんどん後手後手に回って行き、あれもやってない、これもやっていないとなり、そこはつらかったですね。
出店数が多い中、各店舗がどの商品で出店いただくかといった情報も、開催日のギリギリまで集めているといった状態でした。想像以上にやり取りに時間がかかってしまいました。
野崎 イベント告知をできたのが開催の1ヶ月を切ったタイミングだったんですよね。
告知内容もイベント概要だけではなく、出店いただく店舗の詳細情報まで深掘りができたらと反省しています。
―集客という観点で言うと各店舗それぞれにファンの方も結構いらっしゃるでしょうから告知のリードタイムは多いにこしたことはないですよね。集客では他に工夫された点はありましたか?
野崎 今回は、本当にスイーツ大好きという人だけではなく、もう少しライトな層にも来てもらいたいよねということで、お笑い芸人のTAIGAさんとぼる塾さんをキャスティングしました。
特にぼる塾さんはスイーツとの親和性が高く、当日のライブでもスイーツと絡めたトークをしていただきました。
佐藤 そのときはもう超満員でしたね!
野崎 それ以外ですと、焼き菓子詰め放題の企画も、賑わいの演出といった面で一定の効果がありました。
―出店してみての効果は実感されましたか?
野崎 はい。出店いただいている加盟店と一緒に作りあげたという一体感を感じました。加盟店とは普段プラットフォーム上だけでのやり取りで終始し、顔を合わせる機会が少なかったので、Cake.jpは洋菓子業界の発展のためにビジネスをやっているということを改めてお伝えできたかなと思います。
また、来場いただいた幅広い層のお客様とも直接コミュニケーションできましたし、東京に出店してない地方の店舗とお客様が出会っているのを見てすごくほっこりしました。
佐藤 ネットと違ってマルシェですと1個ずつ販売できるので、購入後、Cake.jpでリピートしていただくケースもあり、リアルだけでの完結ではなく、ECへの還元にも繋がりましたよね。
―当日の運営面で、気を付けたほうがいいことはありましたか?
佐藤 今回18時までイベントをやっていたんですが、11月末ですから17時過ぎには外が暗くなってしまって……。そうなるとお客様の入りが確実に減ります。2日目は急遽ライトを入れましたが、初日から準備していればもう少しお客様も入ったかもしれません。
野崎 あとは、大きめの告知看板を公園内には飾っていましたが、外部の導線に向けて設置するとか、積極的に呼び込みをやるといった基本的なところが抜けていました。
佐藤 確かに1日目は静かな感じだったかもしれません(笑)。このような合同イベントを経験したことのある店舗から「マイクを使って盛り上げると賑やかさが生まれるし、道を歩いているお客様も気になって入ってくれると思うよ」とアドバイスいただき、「今日はフェスやってま~す」みたいに声を出して頑張りました!
野崎 それで、すごくお客様も増えましたよね。
佐藤 本当に勉強不足で申し訳ないんですけど、そうやって店舗と一緒に作らせてもらえたなって感じでした。
―今後の展望についてお聞かせください。
野崎 加盟店との関係性構築において、今回のような一体感を醸成していくのがとても大事だと思いました。
今年は「Cake.jp Award」といったユーザー評価をもとにした独自の加盟店表彰イベントを開催したのですが、今後もポップアップストアやアワードなどを通じて、加盟店とのエンゲージメントをより強化していきたいですね。
ポップアップストアに関しては、バレンタイン、母の日というスイーツが求められる季節性と掛け合わせたテーマで、よりユーザーに興味を持ってもらえるイベントを積極的に開催していきたいと思っています。
―今回苦労して開催された知見の多くは、すぐにも次回に役立ちそうですから、来年のさらなる飛躍がとても楽しみですね。本日はどうもありがとうございました。
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企業プロフィール
株式会社:Cake.jp https://cake.jp/
設立:2009年4月23日
代表取締役社長:髙橋 優貴
事業内容:ケーキ・スイーツ専門通販サイト「Cake.jp」の運営
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