自主企画の展示会を開催するメリットとは?|合同展示会との違いも解説
アパレルブランドが手間とコストをかけて自主企画の展示会を開催するのはなぜか。合同展示会との違いを踏まえ、リード獲得・商品体験・世界観の訴求という3つのメリットと、D2C時代に果たす役割を解説します。

アパレルブランドを中心に、年2回開催されることが業界の慣例となっている展示会。東京ビッグサイトなどで開かれる大規模な合同展示会に出展する選択肢もある中で、なぜブランドはわざわざ手間とコストをかけて、自分たちで会場を借りる「自主企画」の展示会を開催するのでしょうか。
この記事では、合同展示会との違いを踏まえながら、ブランドが主催する自主企画の展示会ならではのメリットを解説します。
目次
メリット①|取引先・見込み顧客との関係を深められる

自主企画の展示会のメリットとしてまず挙がるのが、取引先や見込み顧客との関係構築です。多くのアパレルブランドは、セレクトショップなどへの卸売と、自社ECや直販による小売の両方を手がけています。
自主企画の展示会は、そのどちらの相手との関係づくりにも使えるのが特徴で、一つの展示会でバイヤーを招きつつ、顧客向けの受注会を兼ねるといった形も可能です。ここでは、相手別にそのメリットを見ていきます。
バイヤー(卸)との関係|新作をまとめて提案し、受注につなげる
自主企画の展示会は、すでに取引のある(あるいは関心を持ってくれている)百貨店・セレクトショップのバイヤーを招き、新作コレクションをまとめて見てもらう場として機能します。
自社単独の会場で落ち着いてバイヤーを迎えられるぶん、多くのブランドが並ぶ合同展示会の喧騒の中よりも、一点一点をじっくり提案できるのが強みです。取扱量の拡大や新ラインの提案、さらには受注会としての商談まで、既存バイヤーとの関係を「深める」用途に向いています。価格帯の高いブランドの受注会・オーダー会とも相性のよい形態です。
なお、まだ取引のない新規バイヤーを広く開拓したい場合は、多くのバイヤーが効率的に回る合同展示会のほうが向いています。両者は対立するものではなく、新規を広く開拓するなら合同展示会、相手を絞って深く関係を築き受注につなげるなら自主企画、というように目的で使い分けるのが現実的です。
消費者(小売)との関係|来場者を会員化し、LTVを伸ばす
ターゲットとなる消費者を会場に招き、来場者を見込み顧客として獲得していく場として機能します。来場のきっかけは新作の発表でも、ノベルティでも構いませんが、重要なのは「来てもらって終わり」にしないことです。
会場で直接対話できるぶん、オンラインの一回きりの購入では得にくい顧客の声や属性を、その場で受け取れるのが強みです。アンケートや会員登録を通じて連絡先を獲得しておけば、イベントや新商品の告知、オンラインショップでの購買などを継続的にアナウンスでき、来場者との関係をつなぎ続ける用途に向いています。うまく関係を続けられればリピート購入につながり、顧客一人あたりのLTV(顧客生涯価値)を伸ばすことができます。
なお、不特定多数に「広く」認知を広げたい場合は、ECやSNS、大型施設でのポップアップのほうが向いています。両者は対立するものではなく、広く認知を取るならオンラインや大型出店、狙った層・既存ファンと深く関係を築くなら自主企画、というように目的で使い分けるのが現実的です。
メリット②|商品を体験してもらえる

自主企画の展示会は、販売促進(販促)の手段としても有効です。来場者に商品を実際に体験してもらい、購入の後押しとなる要素を会場内で作れる点は、自主企画ならではの大きなメリットです。
オンラインショップの普及により、商品はいつでもどこでも買えるようになりました。しかしこれは販売チャネルが広がったというだけで、「手触りはどうか」「サイズ感はどうか」「試着するとどう見えるか」といった、購入を検討する人が抱く疑問までは解消できません。
展示会の場で実際に商品を体験してもらえば、こうした疑問を解消できるうえ、オンラインでしか商品を見たことのない人にも、実物に触れるきっかけを提供できます。きちんとリードを獲得できていれば、商品体験をしてもらったうえで、常設店舗を持たなくても購入につなげることも可能です。これは、アメリカの小売で広がった「ショールーミング」に近い考え方といえます。
メリット③|ブランドの世界観をそのまま伝えられる

合同展示会では、多くのブランドが同じ会場に並ぶため、自社のブランドが他社に埋もれやすいという側面があります。
これに対して自主企画の展示会は、レンタルスペースやギャラリーを貸し切って開催できるため、会場全体をブランドの世界観で統一できるのが強みです。会場の選び方、什器のテイスト、DMのデザイン、当日の接客トーンまでをコンセプトに沿って設計できるため、来場者に「このブランドらしさ」をまるごと体験してもらえます。
世界観を一貫して伝えられることは、価格帯の高いブランドや、ブランドストーリーを重視するブランドにとって特に大きな価値になります。なお、世界観を支える「コンセプト」の固め方は、別の記事で詳しく解説しています。
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D2C時代に自主企画展示会が果たす役割
これまで展示会は、主に事業者(バイヤー)に向けた商談・販促の場として開催されてきました。しかし近年は、オンラインショップなどメーカー自身が購買経路を持ちやすくなったことで、メーカーから消費者へ直接販促を行う展示会が増えています。
その背景にあるのは、利益率の改善です。セレクトショップなどに卸す場合、他ブランドと並ぶ中で自社が埋もれやすいうえ、卸値での取引のため利益率も限られます。そこで、消費者に直接販売するチャネル(直販)を育て、卸売とのバランスを取ることで、ブランド全体の利益率を高めようという狙いがあります。
これに伴い、既存の顧客だけでなく新しいターゲット層を呼び込む集客も必要になっています。新規の来場者をつくるきっかけとして、音楽・アート・ワークショップといったイベント的な要素を展示会に組み込む例も増えてきました。
自主企画の展示会のメリットを最大限に活かすには、「自社のブランドにとって、どんな形の展示会が一番効果的か」を見極めたうえで企画することが大切です。
まとめ
自主企画の展示会には、合同展示会では得にくい次の3つのメリットがあります。
1. 関係構築:卸なら既存バイヤーとの関係を深めて受注につなげ、小売なら来場者を会員化してリピート・LTVにつなげられる
2. 商品体験:ECでは解消できない疑問を解消し、購入を後押しできる
3. 世界観の訴求:会場全体をブランドの世界観で統一し、他社に埋もれずに伝えられる
加えて、D2C化が進む現在では、消費者への直接販促や新規ターゲットの集客の場としての役割も大きくなっています。広い新規開拓に強い合同展示会とは目的が異なるため、両者を使い分けながら、自社に合った展示会を企画していきましょう。
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