公開日:2024年6月10日
更新日:2024年6月10日

クラフトビールブームはいつから始まった?

昨今ブームとなっており、多くの方が楽しんでいるクラフトビール。従来から飲まれているビールとは何が違うのでしょうか。本記事ではクラフトビールブームが起こった背景、特徴や魅力とともに、国内外の代表的なブランド、2024年に開催されたクラフトビールブランドのポップアップストアの事例を解説します。

目次

1.クラフトビールとは?
2.クラフトビールブームの始まりと背景
3.クラフトビール市場の現状
4.クラフトビールの特徴と魅力
5.国内・海外の成功事例
6.人気クラフトビールブランド
7.クラフトビールメーカーのポップアップストア事例

1.クラフトビールとは?

クラフトビールとは、規模の小さなビール醸造所で造られた、多様で個性あふれるビールを指します。英語で技術や工芸、職人技を表現する「クラフト(Craft)」を名前に加えたビールです。

のどごしを重視して作られる一般的なビールに対して、クラフトビールはブルワーことビール醸造士が枠にとらわれず、柔軟な感性によって造られているのが特徴。苦味が効いたビールや濃厚な味わいが特徴のビール、フルーツの香りが楽しめるビールなど、一般的なビール以上に多彩な味わいが楽しめます。

最近の日本におけるクラフトビール事情としては、大手のビールメーカーも参入。規模や原料だけでクラフトビールを定義するのは難しいですが、その人気はますます広がりを見せています。

2.クラフトビールブームの始まりと背景

第一次ブーム「地ビール」

日本におけるクラフトビールの第一次ブームとなったのが、「地ビールブーム」です。その背景には、1994年の酒税法改正があります。酒税法改正により、日本各地に小さなビール醸造所が次々と誕生し、独自のビールが生まれていきました。こうしたビールは「地ビール」として広まっていき、1990年代後半には地ビールブームが起きたのです。

しかし、地ビールブームは数年で廃れてしまいました。その理由は、醸造技術の不足や、無理に地元の特産物を使用していたため、品質が高くなかったからです。地ビールブームが終焉した後も、一部の醸造所は技術を磨き続け、世界で評価される高品質なビールを今もなお作り続けています。

日本におけるクラフトビールブーム

日本でクラフトビールのブームが始まったのは、2000年代に入りアメリカにおいてクラフトビールの人気に火が付いたことに由来。アメリカで人気となったクラフトビールが日本にも伝わり、専門店が増えていきました。

同時にアメリカのクラフトビール人気により地ビールが注目され、今までの地ビールとは差別化するために「クラフトビール」と呼ばれるようになったのです。

日本でクラフトビールがブームとなった理由は、3つあります。

1.技術力の向上

ビール造りの技術力が向上したことで美味しさがアップし、さらに造り手の感覚で苦みや甘み、香りなどを調整できるようになりました。その結果、個性を追求したクラフトビールが生まれたことも、ブームとなった理由の一つです。

2.異なる味を楽しむ文化が浸透

個性あふれる海外のビールを楽しめるビアパブなどが増えていき、ビールの楽しみ方が以前に増して多様化。日本人の間にも、日本国内で流通しているほとんどのビール(ピルスナー)以外の味を楽しめるようになったのも、理由の1つです。

3.クラフトビールのイベントが各地で開催

海外の珍しいクラフトビールや日本で開発されたクラフトビールを紹介するイベントが各地で行われ、クラフトビール文化をメインにコミュニティが作られていきました。そしてメディアがイベントなどを取り上げるようになり、クラフトビールブームは大きく成長していったのです。

3.クラフトビール市場の現状

国内外のクラフトビール市場動向

日本におけるクラフトビールの市場のシェア率はおよそ1%ですが、醸造所の増加や消費量が拡大していることから伸びる余地があり、2026年にはシェア率が3%に増加すると予想されています。ビール類の市場規模は低下しつつあるものの、クラフトビールはむしろ年々拡大を見せているのです。

世界においては、消費者の中でも若い世代のクラフトビール人気が高まることで市場が成長。健康志向が高まったことや、味わいに優れた新品種が充実したこと、ノンアルコールビールや低アルコールビールにおける売上が増加しました。

消費者の需要が味や風味の多様性・好みに向いていったことがきっかけで、地ビール醸造所もクラフトビール業界に参入。新たなビール醸造所が輸出をけん引するだけでなく、クラフトビールの業界に安定と成長をもたらす要因になりました。

また、地ビール醸造所の数が増えることで、味わいや価格などからクラフトビールの差別化が進行。醸造所の間で、激しい競合が見られるようになったのです。

結果として、地ビール醸造所や規模の小さな醸造所の増加が、世界におけるクラフトビール市場の成長を促しています。

成長要因

クラフトビールの成長要因として、若い世代の人気が挙げられます。若い世代から人気の理由は、クラフトビールはスタウトやIPA(インディアン・ペール・エール)をはじめ種類が豊富で、自身の好みに合う味わいを探して選べる多様性があるからです。

また、現在の20〜30代の方はかつてのようにビールをガンガン飲むよりも、ゆっくりとちびちび飲むスタイルが定着。通常のビールは味が落ちてしまいますが、クラフトビールは温度とともに味が変化するため、若い方の飲むスタイルに合っていることも人気の理由です。

その他にも、地元を大切にし、地元産の原料を積極的に使って地域活性化に繋がる姿勢を見せるクラフトビールが、若者の意識を掴んでいます。さまざまな理由から、クラフトビールの人気が高まっており、成長要因に繋がっているといえます。

市場規模

日本クラフトビール業界団体連絡協議会が2024年4月18日に発表したデータによると、クラフトビールの2022年度における国内出荷数量(課税移出数量)は、コロナ禍前の2019年度と比較して24%増の4万3,745キロリットルでした。

日本国内におけるビール系飲料全体の市場に占めるシェアは、0.95%となっています。シェアとしてはおよそ1%ではありますが、日本国内で着実に増えている醸造所は、現在800以上に達しています。その他にも、飲食店で飲んだりスーパーマーケットで買えたりもできることから、クラフトビールの市場は着実に増えているといえるでしょう。

世界のクラフトビールはFortune Business Insightsに公開されたデータによると、2021年の1,025億9,000万ドルから2028年においては2,107億8,000万ドルに成長していくと予想されており、市場規模はますます大きくなっていくと考えられています。

4. クラフトビールの特徴と魅力

クラフトビールの種類とスタイル

クラフトビールには世界に150以上の種類があります。ビールに使われる原料や製造工程の違いから、数々の種類が存在するのがクラフトビールです。

クラフトビールは発酵の違いでエールとラガーに分かれ、さらに細分化。エールやラガーから派生していったものがスタイル(またはビアスタイル)と呼ばれています。

豊富な種類のあるクラフトビールの中でも、覚えておきたい代表的なスタイルを5つご紹介します。

ペールエールクラフトビールの原点や基本ともいえる種類。迷った時や王道の味わいを楽しみたい時にぴったり
IPA(インディアン・ペールエール)
ペールエールと比べてホップを大量に使うことで、苦味や香りを効かせた種類。世界で人気のあるスタイルの一つ。
セゾンベルギーにおいて農作業を行う最中の喉の渇きを潤すために作られたクラフトビール。軽い飲み口と、爽快な香りが楽しめます。
白ビール大麦に加えて小麦を多く使ったクラフトビールの総称。苦味が少ないうえ、小麦ならではのなめらかな口当たりが堪能できます。
黒ビール香ばしい香りに加えてコクや甘みが楽しめるのが、黒ビール。濃色の麦芽を利用することで、色の濃いビールとなっているのが特徴的です。

5. 国内・海外の成功事例

日本国内

クラフトビール好きのみならず、多くのビール好きにクラフトビールを浸透させ、第3次クラフトビールブームのきっかけを作ったのがヤッホーブルーイング。

ビールとは思えない個性的なネーミングの商品が有名で、『よなよなエール』や『インドの青鬼』、『水曜日のネコ』といったクラフトビールを手掛けてヒットさせました。

特にヤッホーブルーイングの代名詞ともいえる「よなよなエール」は、ありきたりな名前だと大手メーカーのビールに埋もれてしまうと考え、「エールビールをよなよな(毎晩毎晩)飲んで欲しい」という願いを込められて、名付けられた商品です。

今ではよなよなエールは、日本のクラフトビールとして定番ともいえるほど人気っぷりを見せる1本となりました。

ヤッホーブルーイングは『インドの青鬼』や『水曜日のネコ』などキャッチーな名前の新商品を次々と世に送り出すだけでなく、イベントなどを通じてファンを確実に増やし、ファンとともにブランドを育てています。

海外

アメリカ・ニューヨークにおいて、ビールの一大産地だったブルックリンにて1988年に創業したのが、ブルックリン・ブルワリー。

ブルックリンラガーを皮切りに、香りや味わいに溢れ、最後の一滴まで美味しく飲めるビールにこだわりクラフトビールを造り続けました。その結果、世界30か国以上で愛されている、アメリカを代表するクラフトビールのブルワリーとなったのがブルックリン・ブルワリーです。

ブルックリン・ブルワリーは自身が成功しただけでなく、荒廃したブルックリンの再生にも大きく貢献。地元に根付き、アートや音楽といったカルチャーを支援することでブルックリンの街とともに発展してきました。

アメリカにおいてブルックリン・ブルワリーは、クラフトビール革命の立役者として広く知られています。

6.人気クラフトビールブランド

ヤッホーブルーイング『よなよなエール』

日本を代表するクラフトビールの一つが、ヤッホーブルーイングのよなよなエール。米国発祥のアロマホイップである「カスケード」の柑橘類を彷彿とさせる新鮮な香りと、口当たりの良いモルトの甘みが味わえるクラフトビールです。

ビールが喉を通った後、心地良い香りがとどまるように醸造されているよなよなエールは、余韻にも浸れます。

よなよなエールはECサイトのみならず、コンビニやスーパーでも手軽に買えるクラフトビールです。

ブルックリン・ブルワリー『ブルックリンラガー』

ビールの世界大会といわれる「World Beer Cup 2018」において、金賞を受賞したのがブルックリンラガー。日本でも有名で、手に入りやすいクラフトビールです。

ブルックリン・ブルワリーの中でも一番人気のブルックリンラガーは、麦とホップをふんだんに使用して造るウィーンスタイルと呼ばれるビールの製法を継承して誕生しました。

琥珀色のビールは、麦芽のほろ苦さやホップの芳醇な香りが立っており、後味としてカラメル麦芽ならではの風味が口の中に広がります。

7.クラフトビールメーカーのポップアップストア事例

2月1~14日東京・新宿ルミネ1にて「HOPPIN’ GARAGE」ポップアップストアを期間限定オープン

東京都新宿区にあるルミネ新宿1-2FPOP UPスペースにおいて、2024年2月1日から2月14日の間に期間限定でオープンしたのが、サッポロビールのHOPPIN’ GARAGEポップアップストアです。

クラフトビールのブランドであるHOPPIN’ GARAGEの世界を表現したポップアップストアでは、6種類のビールを自由に組み合わせて購入が可能。2024年1月に新発売された「大人のチョコミント」や2024年2月1日から販売された「ホッピンIPA」なども選択可能。

ポップアップストアでは普段オンライン限定で販売されているクラフトビールを1本から購入できるだけでなく、2本以上の購入で店舗限定のオリジナルデザインのショップバッグのプレゼントの実施や、HOPPIN’ GARAGEストア 本店で使用できる10%オフクーポンも配布し、イベント後のリテンション施策も準備していました。

参考

PR TIMES『2月1~14日東京・新宿ルミネ1にて「HOPPIN’ GARAGE」ポップアップストアを期間限定オープン

West Coast Brewing

2024年4月18日(木)から2024年6月16日(日)とおよそ2カ月の間、静岡にてクラフトビールを醸造しているWest Coast Brewingが、ポップアップストアとして直営のビアスタンドをオープン。東京ミッドタウンにて、東京初となる出店を行いました。

ポップアップストアでは全4種の生ビールが飲める以外にも、多彩な缶ビールのテイクアウトも可能。毎週リリースされる新作ビールも購入できます。

West Coast Brewingは「東京に出店して欲しい」という多数の要望を受け、東京ミッドタウンからのオファーにてポップアップストアを実現。静岡のクラフトビールが東京にいながら飲めるポップアップストアにて、認知の拡大を行っています。

参考

TOKYO MIDTOWN『期間限定ショップ

まとめ

若い世代を中心に、国内外で人気なのがクラフトビールです。お酒の飲み方や種類も多様化した昨今において、クラフトビールをますます広がりを見せていくでしょう。

クラフトビールに関連するポップアップストアの出店をお考えの方は、SHOPCOUNTERにぜひ一度ご相談ください。

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