世界の斬新なポップアップストア事例 11選
海外では、多くのブランドが斬新なアイデアを元にユニークなポップアップストアを出店しており、ブランドの世界観をお客様に体験してもらうための様々な仕掛けは大きな話題になっています。この記事では、世界の斬新なポップアップストア事例11選をご紹介します。

最近注目を集めるポップアップストアは、ただ商品を販売するだけではなく、ブランドのプロモーションとしての効果や、ブランドの世界観を体験してもらえるといった効果も期待することができます。
しかし、ただポップアップストアを出店するというだけでは、世の中からの注目を集めることは難しく、プロモーションとしての大きな効果は期待できません。そこで重要となるのが、来店いただいたお客様に「なにを体験してもらうか」という視点です。
この記事では、ブランドの世界観をお客様に体験してもらうための様々なユニークな仕掛けで話題になった、海外の斬新なポップアップストア事例11選をご紹介します。
目次
1.“親切な行い”が貨幣になるチョコレートショップ
[国名:デンマーク/企業名:Anthon Berg]
110年以上の歴史を誇るデンマークの老舗チョコレートブランドAnthon Bergが手掛けた、『大切な人への親切な行い』を約束することでチョコを購入できるというポップアップストア。
店内に陳列されている全ての商品の値札には、価格の代わりに30種類以上の様々な「親切な行い」が記載されています。例えば、「ガールフレンドの運転に1週間ケチをつけない」、「愛する人のベッドサイドに朝食を持っていく」、「友達の家の掃除を手伝う」などなど。
レジではiPadを使って、商品の値札に書かれている「親切な行い」を実行する相手をFacebookで自由に選んでもらい、その行いを“必ず実施する”というメッセージを相手に送ることにより、“支払い”は完了となります。
お店の外には長蛇の列ができ、老若男女問わず大勢のお客さんがチョコレートを無料でゲットして大喜び。そして、お客さんそれぞれが大切な人への『親切な行い』を滞りなく実行し、Anthon BergのFacebookページに写真付で約束を守った模様を多数投稿していったそうです。
日本でもSNSへの投稿で支払いをするかたちのリアルプロモーションやポップアップストアが実施されていますが、このAnthon Bergのポップアップストアはソーシャルギフトの要素を盛り込んだことで成功した好例です。
「SNSに投稿すれば無料で商品がもらえる」という強制的な仕組みではなく「プレゼントを贈る」というかたちで自然な口コミを発生させたのがポイントと言えるでしょう。
ギフトという切り口は本人だけでなく贈った相手にも体験してもらえるため、体験型のリアルプロモーションに有効な手法です。
2.“ツイートで買い物ができる”アパレルストア
[国名:USA/ブランド名:Marc Jacobs]
ニューヨーク生まれの人気ファッションブランド・マークジェイコブスが「ニューヨークファッションウィーク」に合わせて、ファッショナブルなソーホー地区にオープンしたポップアップストア。
「Daisy Mark Jacobs Tweet Shop」と名付けられたこのショップは、ラウンジのように居心地のよい空間が広がり、無料WiFiが提供されるといいます。そして最も特徴的なのは、ショップで扱う“通貨”。
このショップでは通常の通貨は扱わず、“ハッシュタグ#MJDaisyChainを用いたツイート”及び、“Instagramでの投稿”がショップのオフィシャル通貨となり、商品購入に利用可能。また、Instagramに投稿される写真の中から最優秀作品が選ばれ、見事優勝者に輝くとマークジェイコブスのハンドバッグがプレゼントされる企画もあったといいます。
こちらはシンプルなSNS連動型リアルプロモーション。
ハッシュタグを用いたキャンペーンは日本でも多く展開されていますが、Instagramの投稿もマストにしている点がアパレルブランドらしいアプローチではないでしょうか。
またニューヨークファッションウィークというファッショニスタが集まる時期のキャンペーンであったこともポイント。
キャンペーン開始の際、ブランドアイコンとなるモデルやセレブに指定のハッシュタグをつけてInstagramに投稿してもらうといった施策も絡めるとより効果が高まりそうです。
3.ボルダリング体験をさせられるドッキリストア
[国名:韓国/ブランド名:The North Face]
若者から人気のアパレルブランド・The North Faceが、韓国でオープンしたポップアップストア。店員がお客さんを店内に残し、外側からドアを閉めて、何やらスイッチを入れると…ゴーーーという機械音とともに店内の床がスライドし、足場がどんどんなくなっていくというドッキリ企画。
驚いたお客さんが慌てて壁際に寄ると、そこにはボルダリング用の手足を掛ける突起があります。夢中でしがみつくと、今度は天井からThe North Faceの新作ダウンジャケットが下りてきます。反対側の壁にはスクリーンが設置されていて、「ジャンプしてダウンジャケットを手に入れてください!」との指示が。制限時間は30秒。
空中で見事ジャケットをゲットできた人は、そのままお持ち帰りできるというルールでした。突然の出来事にお客さんは相当驚いたかと思いますが、日常生活の中でこんなにハラハラドキドキすることってあまりないですよね。「外に出て、もっと冒険しようよ!」と呼びかける、アウトドアブランドならではのユニークなポップアップストアでした。
プロモーションの模様を収めた上の動画は、1,100万回以上再生されて大きな話題となりました。
こちらは最近注目を集める動画プロモーションと組み合わせた事例です。
ポップアップストアを動画プロモーションと絡める場合は、お客様に体験してもらうことのインパクトが重要になります。
お客様の満足度よりも意外性や驚きを与えるという視点から企画を考えましょう。
The North Faceが「外に出て、もっと冒険しようよ!」というキーメッセージを掲げたように、驚きだけではなくブランドイメージやコンセプトが伝わる体験を用意することも忘れずに。
4.Instagramに写真投稿して新商品をゲットできる“Instashop”
[国名:USA/企業名:Kellogg’s]
大手食品メーカー・ケロッグが、「スペシャルKシリアル」の新バージョンを宣伝するために開店した期間限定ストア、“Instashop”。この店舗ではお客さんが陳列されている新商品の写真を撮影して、“#nyaspecialk”(nyaは‘新しい’という意味)というハッシュタグを付けてInstagramに投稿すると、もれなく新商品がその場でプレゼントされるという企画です。
“Instagramへの新商品の写真投稿”(=ソーシャルメディアでの宣伝活動)の見返りとして、商品をプレゼントするという世界初の試みだったようです。お客さんに通常とは一味違ったスタイルで、“楽しんで新商品のサンプリングを受けてもらおう”という意図と、“パブリシティ効果”を見込んでのプロモーションでした。
こちらはサンプリングを目的としたポップアップストア。
これまでのサンプリングはモデルのような女性がショップにきたお客様に商品を渡すというかたちが一般的でしたが、Instagramへの投稿を促すことでお客様自身が商品をより身近に体験できるという世界初の試みだったようです。
最近ではフォトブースやフォトプロップスを用意するといったかたちで、強制ではなく思わず写真を撮って投稿したくなる仕掛けを取り入れる企業も増えています。
5.「バイオハザード6」のグロすぎるPRスタント
[国名:UK/企業名:Capcom]
カプコンによる、大人気ホラーゲームの最新シリーズ「バイオハザード6」のアンビエント施策。ロンドン東部の有名な市場にあるお肉屋さんを改造して、牛や豚ではなく、人間の胴体や手足、指、頭部の肉を陳列して販売する“人肉”専門店を2日間限定で開店するという企画。
この肉屋さんでは、(当然のことながら)本物の人肉を扱っているわけではなく、「豚肉」を加工することで、バラバラの人体の一部に見えるようにしており、それを実際に販売したといいます。
ホラーゲームならではのポップアップストアで、テレビを中心に幅広くカバレッジを獲得できたそうです。ホラーゲームやホラー映画を嬉々として楽しむ人たち(=ターゲット)にとっては、ワクワクするのかもしれません。
徹底的に世界観を作り込んだポップアップストアの好例。
ゲームや本、漫画など本来であれば現実世界にはないものをリアルに表現することで、ファンのみならず新規のファンにもアプローチすることができます。
写真でもその作り込み方が見てとれますが、まるでその世界に入り込んでしまったかのような細部へのこだわりが成功の鍵と言えそうです。
6.Instagramの写真で支払できるレストラン
[国名:UK/企業名:Bird’s Eye]
英冷凍食品ブランド「Birds Eye」が、ロンドン、マンチェスター、リーズで、新しい商品ラインナップのPRの一環でオープンしたポップアップレストラン、その名も“The Picture House”。
このレストランでは代金を支払う代わりに、新商品(冷凍食品)でできた料理をスマホで写真撮影して、指定のハッシュタグを付けてInstagramに投稿することで支払いができるというコンセプト。同社によると、「52%もの人が定期的に食事を写真撮影する」というインサイトを元に考案された企画だといい、市民の冷凍食品に抱く誤解(「便利だけどあまり美味しくない」、「見栄えが良くない」等だと思われます)を払拭したいという狙いがあったそうです。
Instagram、SNSで市民の話題にのぼることだけでなく、パブリシティ獲得によるリーチ拡大を意図した試みでした。
SNS投稿によって無料でサービスを受けたり商品が購入できる例は多々ありますが、この事例はレストランの取り組みではなく冷凍食品ブランドのポップアップストアとして行われたことがポイントです。
日本では類似の事例として、2014年に行われたジョージアのポップアップストアが記憶に新しいのではないでしょうか 。
ジョージアもポップアップストア実施後にCMで体験動画を放送していましたが、こういった覆面調査形式のポップアップストアは動画プロモーションとも好相性です。
7.一流レストランの仕掛け人はなんと“ディスカウントスーパー” その真意とは…
Lidl / Dill from Colony on Vimeo.
[国名:スウェーデン/企業名:Lidl]
スウェーデンのディスカウントスーパー・Lidlが、店舗で販売する食品の「品質の高さ」を訴求するために、同社の名をあえて伏せて期間限定のレストランをオープンしました。3週間限定でオープンした「DILL」という名のレストラン。おしゃれな佇まいのレストランを仕切るのは英国から招き入れた一流シェフ。
上質な料理が“格安”で提供されるとあって、瞬く間にストックホルム市民を虜にし、SNSなどでも数多く話題にのぼり、オープンから3週間、予約が途切れることがなかったといいます。
絶品料理が破格値で提供されていたことも驚きですが、何より市民を驚かせたのは、このレストランが実はディスカウントスーパーのLidlが経営していて、“すべての食材はLidlで調達した”という事実。中身の素晴らしさに気づくには、時には外見を変えてみる必要があるというLidl。
同社が取り扱うディスカウント食材の提供場所を、スーパーではなく上質なレストランに変えることで、『真の品質(品質の良さ)に気づいてもらおう!』という試みでした。アイディアとともに、その実行力に脱帽させられる取組みです。
前述のBirds Eyeポップアップストアと似た取り組みですが、Lidlのポップアップストアではディスカウント食材を一流シェフが調理するという極端な対比がポイントです。
高級だと思っていたものが実はディスカウント食材で作られていたというインパクトのある対比により、その驚きを共有したい来店客が自然発生的にSNSへ投稿し大きな話題になりました。
食品だけではなくファッションや雑貨など「安くても品質が高い」というメッセージを伝えたいブランドはこの事例を応用してみてはいかがでしょうか。
8.お金の代わりに“消費カロリー”で支払いをするポップアップストア
Colun Pop up Store from JJBarcelo S.A on Vimeo.
[国名:チリ/企業名:Colun Light]
低カロリーヨーグルトやラクトースフリー牛乳などを製造するチリの乳製品メーカー「Colun Light」が、大勢の人々がジョギングやサイクリングなどを楽しむ大通り沿いにオープンしたポップアップストア。
ガラス張りの明るい店内には自社製品は一切置いておらず、あるのはなぜかお洒落なトレーニングウェア。お客さんが気に入った商品をレジに持っていくと、表示されたのは合計金額ではなく、なんと“カロリー数”。この店ではお金の代わりに店内に設置したランニングマシーンでトレーニングをして、走ったカロリー数で支払いをするという仕組みなのです。
運動をする時は、まずは見た目から…という人はきっと多いはず。お洒落なウェアを着ればモチベーションアップに繋がります。同時に『Colun Lightはいつも皆さんの健康とともにありますよ』ということを人々に印象付け、健康増進に一役買うユニークな施策でした。
これまでご紹介した事例ではすべて自社商品を販売するポップアップストアでしたが、乳製品メーカーであるはずのColun Lightは自社商品ではないトレーニングウェアのポップアップストアをだして話題になりました。
このポップアップストアは「健康」をキーワードにしたColun Lightのブランディングがメインとなっています。
直接自社商品を売り込むのではなく、健康をサポートする企業として認知を広めることで一般消費者から好感をもってもらうことができます。
一見遠回りなように見えますが、ブランディングの効果が高い事例と言えそうです。
もちろんトレーニングウェアの購入者にはColun Lightの乳製品も渡してサンプリングもぬかりなく実施しています。
9.「母の日」にシャネルが開店したフラワーショップ
[国名:UK/ブランド名:CHANEL]
「母の日」に合わせて、ラグジュアリーブランドのシャネルがロンドン中心部のコヴェント・ガーデンで仕掛けたプロモーション。
イギリスでは香水とお花が「母の日」の定番のギフトということで、“どうせだったら両方ともプレゼントしてもらおう!”と、3日間限定で花と香水を取り扱うストアをオープンしました。バラやジャスミン、アヤメなどの花を取り扱っていて、それぞれの花の香りはシャネルの代表的な香水(ナンバー5やナンバー19など)の象徴的な香りに使用されていることを表現しています。
花と一緒に展示されているシャネルの香水を購入すると、無料で綺麗にデコレートされた花束をプレゼントしてくれたそうです。香水の販売促進が見込める「母の日」に、“香水”とは別の切り口である、“花”という角度からも見込み客との接点を図り、購買促進とパブリシティ獲得を図ろうとするアプローチ。シャネルのようなラグジュアリーブランドが、フラワーショップを路面にOPENするという点にも新しさを感じます。
販売とプロモーションをうまく組み合わせたポップアップストアの好例。
特に香水に使用されている花という、商品に関連したアイテムを用意したのが大きなポイントです。
うんちくとして思わず人に話したくなるような、素材やルーツにまつわるアイテムの組み合わせは口コミ効果も絶大です。
路面スペースに出店しつつもそのラグジュアリーな雰囲気を失わずに仕上げたシャネルの手腕は圧巻の一言。
10.『ワールドカップ未亡人』のためのスポーツバー
[国名:UK/ブランド名:Benefit Cosmetics UK]
世界中を熱狂の渦に巻き込んだFIFAワールドカップ・ブラジル大会。W杯の応援に夢中になり、家族そっちのけで試合に熱中してしまう男性たちの妻を『ワールドカップ未亡人』と呼ぶそうですが、米化粧品メーカー「Benefit Cosmetics」は、そんな“夫を失くした”女性たちのために、W杯期間限定のバーをロンドンにオープンしました。
女性客のみが入れるこのバーは、『女子がとことん楽しめるスポーツバー』をコンセプトとし、内装はピンクを基調にしたポップで可愛らしいデザインとなっています。店内に設置されたスクリーンでサッカー観戦ができるほか、Benefitの製品の使い心地を試してみたり、ワインやカクテルのテイスティングがあったりと、女性が楽しむための工夫やイベントが数多く用意されています。
男性陣がスポーツバーで盛り上がるなら、妻たちも「女子力を高めながら楽しくサッカー観戦しましょう」というわけですね。オープニングナイトでは、著名テレビ司会者がパーティーのホストを務め、お披露目会を開催。以降、約1カ月間に渡り日々様々なイベントが行われたといいます。
『ワールドカップ未亡人』という時事ネタを取り入れたことで話題になったBenefit Cosmeticsのポップアップストア。
来店客を限定するというのも話題作りとして有効な手段です。
サッカーを観戦して楽しむという体験をメインにしながら、そこにBenefit Cosmeticsの商品が寄り添っているというかたちを演出することで、宣伝色を消し受け入れられやすくしています。
内装でブランドの世界観を表現したりイベントを用意して商品を試しやすいように誘導するなど、宣伝色は消しつつも企業色ははっきり出すのがポイントです。
11.接着剤メーカーがオープンした『全商品無料』のショップ
[国名:インド/ブランド名:Fevicol]
インドの大手接着剤ブランド・Fevicolによる、“最も信頼に足る接着剤”だと市民に訴求することを狙ったプロモーション。ムンバイ市内のショッピングモールにて、陳列されているすべての商品が“無料”のショップ、その名も「THE FREE STORE」をオープンします。
合言葉は、「It’s free, If you can take it.」というもの。「タダなら、持って帰ろう!」とばかりに、お客さんが目星をつけた商品を手に取ろうとしますが…すべての商品が陳列棚に固定されていて、持って帰ることはおろか、手に取ることすらできないという仕掛け。二人がかりでも商品は微動だにしません。
商品を手に取ることを諦めたお客さんには、“同社の接着剤で固定されていた事実”を種明かしをするという流れでした。なお、陳列された87アイテムは1点も取られることはなかったといいます。
商品の特長をアピールする切り口が秀逸な事例です。
今回の接着剤のようなコモディティ商品こそ、こういったユニークなプロモーションによるブランディングの効果を見込めるのではないでしょうか。
ただ商品を体験してもらうだけではなく、その商品を使うとなにが起きるのかという点から考えていけばそのブランドにあった切り口が見つかりそうです。
まとめ
「世界の斬新なポップアップストア アイデア11選」はいかがでしたでしょうか。
ブランドや商品の特長をうまく生かしてプロモーションを行なっている事例を見てみると、「商品を体験する」ということの意味が、商品を「使ってみてもらう」ということから「商品を使ってユニークな体験をしてもらう」ということにシフトしていることがわかります。
若い世代はモノではなく体験を重視するという消費性向もあり、今後この傾向はさらに強くなっていくでしょう。
今一度ブランドや商品が提供する本質的な価値に立ち返り、商品を使ってどんな体験をしてもらいたいのかという視点で、リアルプロモーションを実施するのが成功の鍵といえそうです。
参考記事:世界の斬新なポップアップストア11選-パブとバズを生み出す創意工夫が、そこにはある by AdGang
その他切り口の「まとめ記事(リスト記事)」に関心のある方は下記からご覧ください。
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