公開日:2024年10月17日
更新日:2024年10月17日

IPビジネスの市場規模や最新の動向【保存版】

国内外でさまざまな展開を見せているのが、IPビジネスです。さまざまな業界が注目するIPビジネスとはどのような構造なのでしょうか。本記事では国内外で賑わいIPビジネスに関して、概要やIPの種類、自社IPと他社IPのメリット・デメリット、IPビジネスにまつわるポップアップストアの動向について紹介します。

目次

1.IPビジネスの概要
2.国内の市場規模と成長要因
3.IPの種類
4. 自社IP・他社IPとは?メリットとデメリット
5.IPビジネスとポップアップストアにまつわる動向

1. IPビジネスの概要

◇IP(知的財産)とは何か

IPとは、Intellectual Property(インテレクチュアル プロパティ)の頭文字を取った言葉で、日本語では「知的財産」を意味します。

知的財産は創造的な活動を通じて生み出された知識やアイデア、情報、創作物などが対象です。

<IPの例>
・映画
・音楽
・アニメ
・ゲーム
・マンガ
・アニメにおけるキャラクター
・小説
・ロゴマークなど。

IPは、企業が競争力を維持しながら成長するために不可欠な要素。企業活動ではIPを守りつつ、かつ戦略的に活用することが極めて重要です。

また、IPは知的財産権という形で保護されています。その理由は、無断・無償でコピーされると生み出した側の労力やメリットに意味がなくなってしまい、ひいては新たに価値のあるものをつくろうという動機や活動がなくなってしまうからです。IPを知的財産権で保護しないと、業界だけでなく企業の生産活動は停滞してしまいます。

権利を持つ方を保護しつつ、経済的な利益を守るのが知的財産権です。知的財産権にはIPを生み出した側がIPを利用して利益を得られる権利も付与されており、譲渡や許諾という形で知的財産権を持たない方もIPの利用が可能。今では知的財産権を利用したIPビジネスが、さまざまな分野で行われています。

2.国内の市場規模と成長要因

日本におけるコンテンツの市場(ゲームに音楽、映像、出版、オンライン広告を含む)は、2021年時点で12兆9,454億円にものぼりました。コンテンツの中でもキャラクタービジネスに関しては、株式会社矢野経済研究所によると2024年度の市場規模は2兆7,464億円になると予測されています。

現在では、日本国内にあるさまざまな企業が取り組んでいるIPビジネス。ここまで成長した要因は、SNSの存在とメディアミックス、インターネット上の番組動画配信サービスが身近になったことが理由として挙げられます。

SNSの普及

SNSが世界で利用されることでクリエイターは作品の情報を積極的に発信できるようになり、ユーザーもSNSを通じてクリエイターとコミュニケーションができるようになりました。

SNSというコミュニケーションの場により、作品に対する想いや応援だけでなく、「こんなグッズが欲しい」と要望を伝えることができるようになったのです。

SNSに作品に対して一層愛着が湧く状況ができたことも、IPビジネスが加速した理由として考えられます。

メディアミックス

キャラクタービジネスにおいては、メディアミックス展開がされるようになったのも、成長要因の一つ。

従来はアニメならアニメ、マンガならマンガ単体だった世界から、1つのコンテンツからゲームやグッズ販売などに派生するようになったことで、キャラクタービジネスの市場は拡大しています。

インターネット上の番組や動画配信サービスの存在

従来のテレビに加えて、現代ではインターネット上での番組や動画配信サービスが身近になりました。

作品がさまざまな手段を通じて露出する機会が増えたことも、IPビジネスが成長した理由の一つと考えられます。

海外で流行した理由

海外でIPビジネスが流行した理由の一つは、動画配信サービスの普及にもあります。動画配信サービスを通じて日本のアニメなどが以前よりも多数配信されることで海外人気も高まり、日本のIPを活用したビジネスも広がりを見せているのです。

その他にも海外で流行した理由としては、IPが数々の言語に対応したり、社外資本と提携してIPを活かした新たな作品作りを行ったりして世界に展開したケースも挙げられます。

(例)

・ポケモンはYouTubeにおいて数々の言語に対応したチャンネルを開設

・人気漫画のワンピースは社外資本と連携し、アメリカのスタジオが実写版ワンピースを作成し世界で展開

3. IPの種類

◇著作権

文章や音楽、映像、美術、ソフトウェアをはじめとした著作物を保護する権利が、著作権。

著作者が著作権を持つことで無断複製や改変を防ぎつつ、知的労働に関する保護と報酬が得られる仕組みです。

著作権は他の権利とは異なり、国に登録しなくても著作者に権利が発生するため、創作した段階で権利が生まれます。

著作権の保護期間については、基本的に著作者が亡くなってから70年です。

<豆知識>商品などでよく見かける「©」とは、著作権を英語で表した「copyright」の頭文字です。

◇特許権

新しい発明や技術に対して、独占可能とする権利を提供するのが特許権。特許権を取得することで他社の同じ発明による商業利用を制限し、競争において優位性が確立できます。

特許権における発明や技術はこれまでなかったものであり、かつ既存の技術ではできないものを創ったか否か、さらに発明のための技術を繰り返し使って同じ結果が得られないと該当しません。

そのため、個人の能力に起因していたり、第三者に伝えることができなかったりするものは特許権に当てはまらないのです。

特許権の保護期間は、出願された日から20年。医薬品や農薬といった一部の発明に関しては、保護期間を5年延長できます。

◇実用新案権

物の形状や構造などに関わるアイデア(考案)を保護する権利が、実用新案権。登録された考案を他の方が真似できないようにする、独占的に製造や販売などを行うことが許される権利です。

(例)・ペットボトルのキャップ・取り換えモップシート

特許権のように新規性と進歩性を満たす必要があるものの、進歩性に関しては特許権よりもハードルが低くなっています。いわば「ちょっとした発明」に該当するのが、実用新案権です。

保護期間については、出願された日から10年となります。

◇意匠権

物や建築物、画像などのデザインに与えられる権利が、意匠権。物などにおける全体的なデザインや、部分的に他とは異なる特徴的なデザインなどが保護対象です。

意匠権は登録された意匠だけでなく、同一デザインや類似したデザインも対象。第三者による、模倣品や類似品に関する販売などを止めることができます。

著作権は絵画を始めとした美術品などを保護しますが、意匠権は工業製品などに利用するデザインが対象となるのが違いです。

意匠権は出願から最長25年が権利期間となります。(2020年3月31日以前の出願については登録から最長で20年)

◇商標権

商品自体やサービスに付ける名称、ロゴマークなど文字やマークを保護するのが商標権です。

意匠権が商品や製品のデザインについて保護するものに対して、商標権は自社の商品やサービスと他社を区別するマークを保護しています。

保護期間は登録された日から10年となりますが、商標権は繰り返し更新可能なのが他の知的財産権との違いといえるでしょう。

◇育成者権

植物の新品種を保護するための権利が、育成者権。新しい品種を開発し国に登録することで、その品種の種苗や収穫物、加工品に関する販売などを独占的に行えます。

◇回路配置利用権

独自開発した半導体チップの回路装置を保護するのが、回路配置利用権。半導体集積回路の回路配置に関する法律こと半導体集積回路法によって規定された、知的財産権の一種です。

4. 自社IP・他社IPとは?メリットとデメリット

IPには自社と他社があります。それぞれの特徴と、メリットとデメリットについて解説します。

◇自社IP

自社IPとは、自らで生み出したキャラクターや作品などに関連する権利を指す言葉です。

例えば任天堂における自社IPとは、作品としての「スーパーマリオブラザーズ」や、そのキャラクターである「マリオ」「ルイージ」などが当てはまります。

●自社IPのメリット

・利益を自社が全て回収できる
・ファンが付けばビジネスが安定
・自社IPを他社に貸すこともできる

自社IPのメリットは、なんといっても発生した利益を全て自社で回収できる点。利益は100%自社のものとなります。

自社IPに熱烈なファンが付けば知名度が上がり利益が増えるだけでなく、ビジネスが長期的に見て安定するのもメリットです。

さらに自社OPは自分達で利用するだけでなく、他社に貸すことも可能。ロイヤリティを得るといった、新たな利益を生み出すこともできます。

●自社IPのデメリット

・生み出すまで時間が掛かる
・赤字になる可能性もある
・集客に手間も時間も必要

自社IPは1から創らなくてはならないため、売り出すまで時間が掛かります。そして自社IPが生み出せたとしても確実に利益になるわけでなく、売り上げが達成せず赤字になるリスクもデメリットといえるでしょう。

生まれた自社IPを軌道に乗せるため、集客の手間や時間も必要です。自社IPを創り出すことは大手であってもハードルが高く、予算が限られた中小企業なら一層難しいといえます。

◇他社IP

他社IPとは、他社が保有するIPを利用して行うビジネスです。利用のためには、権利を持つ企業に対してライセンス料を支払わなくてはなりません。

他社IPは、例えば任天堂のキャラクターであるマリオを使い、マリオのグッズを販売するなどが当てはまります。

●他社IPのメリット

・すでにファンがいるため育成がいらない
・売り上げがある程度見込める
・時間や手間、コストが省ける

知名度のある他社IPはすでにファンがいるため、自社IPと異なり1からファンを育成する必要がありません。また、他社IPのファンが購入・利用することが望めるため、ある程度の売り上げが見込めるのもメリットです。

自社IPとは異なりすでにあるIPを利用するため、コンテンツを作る時間や手間、コストを削減でき、ビジネスをテンポ良く進められるのもメリットといえるでしょう。

●他社IPのデメリット

・相応の費用が必要
・自由度は限られる
・利益率は低い

他社IPを利用する際は、相応の費用が掛かるのもデメリットです。権利を買う・利用するためには、初期投資が必要となります。

他社のIPを利用する際は、IPのイメージや世界観を壊さないよう制限が課せられる契約条件を結ぶため、自由度は限られるのがデメリットです。

時間や手間、コストが省ける他社IPですが、自社IPのように利益を100%得られないため利益率は下がってしまいます。

5.IPビジネスとポップアップストアにまつわる動向

IPビジネスのポップアップストア出店に利用できるスペースが、SHIBUYA TSUTAYAの1階と地下1階に2024年4月25日(木)にオープンした「SIPS/Shibuya IP Square」です。

「世界中のIPで好きをつくるフロア」と題して、IPの世界を体感できるフロアが生まれました。

SIPS/Shibuya IP Squareでは世界にある数々のIPとのコラボレーションを行い、リアルにてIPによる世界観を楽しめる期間限定のポップアップストアやイベントなどを実施。マンガやアニメをはじめ、さまざまなIPによるポップアップストアが開催され、多くのファンが足を運んでいます。

SIPS/Shibuya IP Squareの1階にあるSIPS Aでは、屋外エントランスLEDビジョンやメインフロアにある3面の屋内JEDビジョンにより、大画面を通じてIPの世界観を演出可能。

地下1階にあるSIPS Bは没入できる空間の中、ギャラリー展示や物販などが行えるフロアとなっています。

IPの世界観に浸れるだけでなく、多くの人が行き交い目に留まる渋谷スクランブル交差点にオープンしたのがSIPS/Shibuya IP Square。IPビジネスにおける体験型ポップアップストアとして、チェックしておきたいスペースです。

まとめ

国内のみならず、海外のファンにもアプローチできるのがIPビジネス。自社IPの活用や他社IPの利用により、利益アップや自社の商品・サービスに付加価値を加えることも可能です。

本記事でご紹介した内容を踏まえて、IPビジネスの活用を考えてみるのもよいでしょう。

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