近年、百貨店が取り組んでいる「売らない店」とはどんな店舗かご存知でしょうか。イメージは付くかもしれませんが、実際はどんな意味でどういう形態なのか、知らないという方も少なくありません。
本記事では昨今関心を集めている売らない店について、概要や誕生した背景、百貨店が実際に取り組む売らない店の事例をご紹介します。
1.売らない店とは?
2.売らない店誕生の背景
3.百貨店が取り組む「売らない店」
4.まとめ
売らない舗とはその場で商品を販売せず、ショールームのように商品を実際に試してみたり、体験したりすることが可能な店舗を指します。購入もできますが、ほとんどの売らない店ではスマートフォンなどを利用し、ECサイトを通じて決済を行うのが特徴です。(その場で購入可能な店舗もある)
新たな小売の形態として注目を集めている売らない店は、百貨店をはじめ路面店やショッピングセンターなどにも出店しています。
売らない店には、主に次の2種類があります。
・自社やブランドで店舗を運営
・百貨店などが自社の店舗に売り場を設ける
その他にも、セレクトショップのように複数の企業やブランドの商品を並べる形態もあるのが売らない店です。
売らない店は、消費者・企業側と両方にメリットのある店舗。諸飛車にとってはスタッフの視線や営業トークを気にせずに、商品を手に取って自分のペースで見ることができます。
企業側としては次のメリットが得られるのが、売らない店の強みです。
・訪問客の生の声を聞いて商品や商品開発に生かせられる
・訪問客のデータを集められる
・出店コストを削減
消費者・企業側と双方にメリットのある売らない店は、商品を実際に触って試せる部分を強化した体験型店舗もあり、体験を重要視するミレニアル世代から支持を得ています。
売らない店が誕生した背景には、ECサイトやオンラインショッピングの普及が大きく関係しています。加えて、ECサイトや実店舗での問題点をクリアする目的もあるのです。
昨今、スマートフォンやパソコンを使って24時間いつでも場所を気にせず商品が気軽に購入できるようになり、オンラインでの買い物が身近になりました。そのため、「ECサイトで買い物をする」という行動に抵抗感がなく、当たり前になったことも売らない店が誕生した背景の一つです。
実店舗に関しては、オンラインでの買い物をする機会が増えたことで売り上げが減少しました。出店側としても高額な初期費用やテナント料を支払わず、コストを抑えて手軽にECサイトで店舗をオープンできるため、実店舗は衰退していったのです。
実店舗ではお店で商品を確かめてECサイトにて安い料金で購入する、「ショールーミング」と呼ばれる行動が悩みの種でした。
ECサイトは便利な一方、消費者からすると商品の詳細や使用感が分かりづらく、いざ説明をしてもらいたくなっても実店舗のような接客が受けられないのがネックとなっていたのです。
さらに、知名度のある企業やブランドならまだしも、新興のブランドがECサイトで販売を行い顧客の獲得をするのは非常に難しく、懸念材料でした。
ECサイトと実店舗で起こる問題や課題を解決すべく登場したのが、売らない店です。実店舗をECサイトで購入してもらうためのプロモーションの場や、商品体験の場として活用すべく誕生しました。
売らない店は消費者の消費行動がモノからコトへと変化していったこともあわせて、存在感や価値が高まっている形態です。
百貨店が取り組む売らない店は、今までのビジネスモデルから新たなビジネスモデルに転換した例として、多くの関心を集めています。
百貨店が取り組む売らない店について、3つの事例を紹介します。
2022年4月29日(金)に新宿高島屋にてオープンしたのが、「Meetz STORE(ミーツ・ストア)」。2023年10月17日(火)には、京都高島屋S.C.にもオープンしました。
Meetz STOREはビューティーやライフスタイル、食・グルメ、ファッションといったアイテムを厳選したショールーミングストアです。新たな商品との出会いを楽しめるよう、百貨店に普段は並ばない選りすぐりのブランドや商品を展開しています。
Meetz STOREでは購入前に実物の商品を見たり、手に取って試したりができ、商品やブランドのコンセプト・こだわりを実際に目や手で確かめることが可能。気に入った商品は店頭にある二次元コードからアクセスし、ECサイトを通じて購入ができます。
扱う商品は数カ月ごとに変更されるため、消費者にとっては新たなブランドと出会える場となっている売らない店です。
2021年10月6日(水)にオープンし、2024年9月18日(水)にリニューアルオープンしたのが、大丸東京店にある明日見世(あすみせ)。大丸松坂屋百貨店が運営する明日見世では、接客担当として商品背景を熟知した大丸のスタッフがアンバサダーとして常駐し、人によるコミュニケーションにも注力しているのが特徴です。アンバサダーを通じて消費者に商品の魅力や作り手の思い、商品背景を伝えます。
商品の購入は、店頭に設置された二次元コードを読み取ることでアクセスできるECサイトにて行えます。
商品を「買う」から「出会う」を体験できる明日見世では、定期的にテーマやブランドの入替を実施。2024年5月時点では出品総数が226点、 2024年2月に実施した出品アンケートでは満足度が85%となっています。
明日見世は出店側にとっても利用しやすい売らない店です。その理由は、ブランドの規模に合わせて3つの出店プランが選べ、従来の百貨店の出展料よりも少額のプランも選べるため。店舗にはアンバサダーを配置していることから販売スタッフを派遣する必要もなく、規模の小さなブランドも出店がしやすいです。
その他にも、店頭に設置したカメラ映像から得た情報をAIが解析し、定量的なデータを収集。アンバサダーが接客中に聞いた情報と合わせた充実したフィードバックも、出店側の魅力の一つです。
明日見世は大丸東京店4階から9階へ店舗を移転し、2024年9月18日(水)にリニューアルオープン。商品のお試しだけでなく、買い物やカフェ、イベントとインスタ―レーションも満喫できる複合体験ストアとして生まれ変わりました。
およそ3カ月に1度入れ替わり、毎回20ブランドを紹介するショールーミングスペースに加え、その場で買えるショップコーナーも誕生。一部商品は店頭で購入できるようになりました。
西武渋谷店パーキング館の1階、以前紀伊國屋書店西武渋谷店があった場所に2021年9月2日(木)にオープンしたのが、CHOOSEBASE SHIBUYA(チューズベースシブヤ)。店舗内は4つのベースに分かれており、ファッションやコスメ、食品、雑貨をはじめ百貨店に並ぶことがなかったD2Cブランドが勢ぞろいした売らない店です。
CHOOSEBASE SHIBUYAでは、販売員が行っていた商品説明などの役割をスマートフォンが一部担っているのが特徴。実物とともに、スマートフォンに表示された商品説明を見ながら購入ができます。購入時はアイテムの二次元コードを読み、専用サイトを通じて購入が可能です。
CHOOSEBASE SHIBUYAは会計後に商品を持ち帰るだけでなく、日を改めてサイトで購入し発送してもらえるため、それぞれのペースで買い物ができます。商品のテーマは半年ごとに変わるため、新たな商品やブランドにも出会えるお店です。
CHOOSEBASE SHIBUYAは店舗の空間にもこだわりがあるのが特徴。半地下にあるお店は、まるでテーマパークに来たような高揚感と、没入感のある美術館のような雰囲気を楽しめる造りとなっています。買い物をしながら、非日常的なひと時が体験できるでしょう。
百貨店も取り組む売らない店は消費がモノからコトへと移った昨今において、ポップアップストアの出店時にも考慮したい選択肢です。自身が体験したいミレニアル世代や、商品をじっくり選びたい層の心を掴むことができるでしょう。
売らない店への出店も検討し、自社のサービスや商品の認知を図ってみてはいかがでしょうか。
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