百貨店とショッピングセンターには、実はそれぞれ明確な定義の違いがあることをご存知ですか?この記事では、意外と知られていない「百貨店とショッピングセンターの違い」について、成り立ちや出店条件という観点から解説します。
1.百貨店とショッピングセンター それぞれの定義とは
2.出店における百貨店とショッピングセンターの違い
3.出店前に確認したい 百貨店とショッピングセンターの違い早見表
4.商業施設への出店事例
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そもそも、百貨店とショッピングセンターの定義とは、それぞれどのようなものなのでしょうか。
まず、経済産業省が実施する商業統計調査の基準によれば、百貨店は下記のように定められています。
衣・食・住の商品群の販売額がいずれも10%以上70%未満の範囲内にあると同時に、従業者が常時50人以上おり、かつ売り場面積の50%以上において対面販売を行う業態
つまり、売上のほとんどが衣料品である丸井やルミネ、パルコといった商業施設は、百貨店ではないということになります。また商業統計上の違いとは別に、「百貨店協会に加盟しているかどうか」という見方もあります。
あるショッピングセンターが、もしも商業統計調査の百貨店基準を満たしていたとしても、百貨店協会に加盟していなければ、館内で「全国百貨店共通商品券」を使用することはできません。
一般のお客様の視点で見えると、全国百貨店共通商品券を使えるかどうかが、百貨店の定義のポイントとも言えそうです。
対して、ショッピングセンターの定義は、日本ショッピングセンター協会によって下記のように定められています。
ショッピングセンターとは、一つの単位として計画、開発、所有、管理運営される商業・サービス施設の集合体で、駐車場を備えるものをいう。
さらに細かい条件として、日本ショッピングセンター協会が定める「SC取扱い基準」によれば、「ショッピングセンター」と呼ばれる商業施設は下記の4点を満たす必要があります。
①小売業の店舗面積は、1,500㎡ 以上であること。
②キーテナントを除くテナントが10店舗以上含まれていること。
③キーテナントがある場合、その面積がショッピングセンター面積の80%程度を超えないこと。
但し、その他テナントのうち小売業の店舗面積が1,500㎡以上である場合には、この限りではない。
④テナント会(商店会)等があり、広告宣伝、共同催事等の共同活動を行っていること。
条件だけを見ると、百貨店にもあてはまる条件ばかりです。
しかし、「ディベロッパーにより計画、開発されるもの」という前提が、百貨店とショッピングセンターを分ける大きなポイントになります。
ここでのディベロッパーとは、不動産デベロッパーのことを指し、街全体の開発や整備を行うのが主な仕事です。
商業施設単体だけではなく、その商業施設が街全体に与える影響を包括的に考えながら、企画・開発されているのがショッピングセンターであるといえます。
ちなみに、ルミネやラフォーレはショッピングセンターの中でも衣料品の割合が大きいため、“ファッションビル“とも呼ばれます。
ファッションビルは、百貨店やショッピングセンターのような協会団体もなく、公的な定義はありませんが、衣食住すべてが揃う複合型ショッピングセンターと区別するために、新聞や雑誌などで利用される区分です。
それぞれの定義を見比べてみると、百貨店は衣食住を総合的に提案する巨大なセレクトショップであるのに対し、ショッピングセンターは商品の販売を軸にした不動産業であるということがわかります。
百貨店とショッピングセンターの明確な定義がわかったところで、出店する際に生じる違いについて解説します。
出店条件の違いは、それぞれの定義の違いが大きく作用してきます。
①商品の入れ替えや展開に関して、百貨店のバイヤーが密接に関わる
②紙袋や包装紙、ハンガーなどの備品や什器はすべて、統一されたものが百貨店により用意される
**③ブランドごとの精算ではなく、フロアごとに設置されている集中レジでの会計が一般的
**
④百貨店に雇用されている従業員が、販売まで行う(委託販売)場合もある
⑤販売前の研修や、商品の検品など、管理が厳しい
⑥出店条件は「売上歩率」がメイン
まず百貨店は巨大なセレクトショップとして、自分たちで仕入れて売るという意識が強いのが特徴です。
売場に展開する商品の選別や見せ方にもバイヤーやフロアマネージャーが密接に関わり、百貨店側の承認なしには商品の入れ替えを行うことはできません。
さらには入店前研修や商品の検品など、出店に際して求められる基準は非常に高いものです。
その分、こうした基準をクリアして百貨店へ出店することで、ブランドとしての信用力にもつながるというメリットもあります。
また、百貨店は商品を販売することに重きをおいているので、出店料は売上歩率と言われる方法がメインです。
売上歩率とは、期間中の売上を一度すべて百貨店に預け、その中から百貨店側の手数料を差し引いて、後日ブランドへ支払う仕組みです。
出店後すぐに売上が入金されるわけではないため、売上の入金日は出店前に確認しておきましょう。
①什器や資材、レジも自分で手配する必要がある
②ディスプレイや商品展開の自由度は高い
③委託販売は一切なく、販売用の人員手配が必須
④出店条件は、固定の家賃と売上歩率を併用したかたちが多い
ショッピングセンターは、街を開発する不動産ディベロッパーのため、販売のための仕組みは百貨店ほどは確立されていません。
委託販売は行っておらず、什器や資材、レジも自分で手配する必要があります。
特に販売スタッフは、売場が無人にならないよう複数人手配しなければなりません。
その代わり、ディスプレイや商品展開の自由度は高く、アドバイスはしても強制はしないのがディベロッパーの基本スタンスです。
自社ブランド専用の什器や資材を作って使えば、世界観を演出することができるので、ブランドの認知度を上げたり世界観を体験してもらいたい事業者にはおすすめです。
ショッピングセンターは、不動産業として場所を貸す意識が強いため、固定の家賃と売上歩率を併用した出店料を設定しているところも多々あります。
売上歩率を設定している場合は、百貨店と同じく売上を全額徴収する仕組みですが、固定家賃のみ徴収している施設であれば、売上の徴収がない場合もあります。
こちらも、出店前に条件を確認しておきましょう。
ショッピングセンターなどの商業施設への出店に関してはこちらに詳しくまとめてあります。
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このように、百貨店とショッピングセンターでは、成り立ちから出店条件にいたるまで、様々な違いがあります。改めて、それぞれのメリットとデメリットをまとめてご紹介します。
百貨店 | ショッピングセンター | |
出店メリット | ・百貨店の什器や資材を利用できる ・委託販売もできるので、自社販売員がいないブランドでも出店を検討できる | ・品揃えやディスプレイの自由度が高く、世界観を表現しやすい ・固定家賃が設定されている場合は売上歩率が低く、売れれば売れるほど自社の利益が大きくなる |
出店デメリット | ・品揃えやディスプレイの自由度が低い ・検品でNGがでた場合そもそも出店ができない | ・販売員手配をする必要がある ・什器や資材など販売に必要なものを一通り準備するコストがかかる |
ここからは、商業施設への出店例として日本酒応援団の事例をご紹介します。
日本酒応援団が出店したのは、ショッピングセンターであるCOREDO室町3Fのポップアップ専用スペースです。
普段は週末を中心にファーマーズマーケットへ出店している日本酒応援団ですが、自分たちの世界観を知り、より深いファンになってもらうための場として商業施設への出店を企画しました。
今回は比較的自由度の高いショッピングセンターへ出店したことで、メインの日本酒だけではなく、酒器やメッセージカードを組み合わせて提案するなど、自由度の高い商品展開を実現しています。
人員や什器や資材もすべて自社で手配が必要になりますが、その分イベントテーマにあった資材を都度作成することもできるため、ブランドの世界観を伝えやすいというメリットをうまく活用した事例です。
その他にもSHOPCOUNTERでは、様々な商業施設内のスペースをご紹介しています。
ショッピングモールのレンタルスペースまとめの中から、自社のブランドにあった出店場所を探してみてください。
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