2026年7月24日

EC発の「酒ガチャ」をリアル体験へ。KURANDが30回以上のポップアップ出店で届ける“新しいお酒との出会い”

EC発の「酒ガチャ」をリアル体験へ。オンライン酒屋「クランド」が30回以上のポップアップ出店で見えてきた、売上だけではない成果と出店場所選びのポイントを伺いました。

オリジナルのクラフト酒を扱うオンライン酒屋「クランド」。同社を象徴するサービスが、どんなお酒が届くかわからないランダム性を楽しむ「酒ガチャ」です。KURANDでは、このEC発の人気コンテンツをリアルなカプセルトイマシンで体験できるポップアップストアとして展開し、これまでに30回以上出店してきました。

今回はKURAND 広報・ポップアップチームリーダーの遠山様に、オンライン酒屋がリアル出店を続ける理由や、売上だけではないポップアップの価値について伺いました。


オンライン酒屋「クランド」が、ポップアップで届ける「新しいお酒との出会い」

──まずは、クランドのサービスについて教えてください。

クランドは、オリジナルのクラフト酒を取り扱うオンライン酒屋です。

市場にある商品をそのまま仕入れて販売するのではなく、全国の酒造メーカーと一緒に商品を開発している点が特徴です。日本酒、果実酒、梅酒、焼酎、クラフトビールなど、幅広いジャンルのお酒を取り扱っています。

地方の酒造メーカーの中には、おいしいお酒をつくる技術やこだわりがありながらも、それを発信する場所や売り場を十分に持てていない方々も多くいらっしゃいます。そうしたつくり手の魅力を引き出した商品を一緒につくり、オンラインを通じて日本全国どこからでも購入できるようにしているのが、クランドの事業です。

単にお酒を販売するのではなく、「こんなお酒があるんだ」という発見や、「次は何を飲んでみよう」という楽しさも含めて、新しいお酒との出会いを届けたいと考えています。

──クランドを象徴するサービスのひとつに「酒ガチャ」があります。どのような背景で生まれたのでしょうか?

酒ガチャは、もともとオンラインで非常に人気のあるサービスでした。

きっかけは、お客さまから「どの商品を買えばいいのかわからない」という声が届いていたことです。オンライン上にはたくさんの商品がありますが、特にお酒に詳しくない方にとっては、その中から自分に合う一本を選ぶこと自体がハードルになっていました。

そこで、購入するときの「どれを買うか悩む」というアクションをなくし、それ自体を一つの体験として楽しんでいただけるようにしたのが酒ガチャです。福袋のように、何が届くかわからないワクワク感を楽しみながら、自分では選ばなかったかもしれないお酒に出会える仕組みになっています。

お酒選びに慣れていない方でも、まずは楽しみながら一歩踏み出せる。そこが酒ガチャの大きな価値だと思っています。

EC発の酒ガチャを、なぜリアルの場で届けるのか

──オンライン発の酒ガチャを、ポップアップストアとしてリアルの場に展開している理由を教えてください。

クランドはECを中心に展開しているサービスですが、お客さまからすると、まだ日本ではお酒をネットで購入すること自体にハードルがあると感じています。

また、私たちが扱っている商品は一般的な小売店では販売されていないオリジナル商品です。だからこそ、まずはリアルな場で体験していただき、クランドや商品への信頼感を持っていただくことが、オンラインでの購入にもつながるのではないかと考えました。

以前は飲食店事業も行っており、実際にお酒を飲んでいただける場をつくっていました。ただ、コロナ禍を経てEC事業に大きく切り替えていく中で、改めてオフラインでの接点が必要だと感じるようになりました。

そこで、実店舗を構えるのではなく、ポップアップストアという形で2023年からさまざまな場所に出店し、お客さまとの接点を増やしていくことにしました。

──酒ガチャをリアルで体験できることには、どのような価値があると考えていますか?

オンラインでは画面上で楽しんでいただく酒ガチャですが、オフラインでは実際にガチャマシンのレバーを回すことができます。

オンラインで楽しんでいただいていたものが、目に見える形で体験できる。そこにリアルならではの価値があると考えています。マシンがたくさん並んでいる様子を遠くから見るだけでも、少しワクワクしていただけるのではないかと思い、企画しました。

ECの商品をただ店頭に並べるのではなく、リアルだからこそ楽しめる体験として届ける。そこは、クランドのポップアップで大切にしているポイントです。

30回以上の出店で見えてきた、売上だけではないポップアップの価値

──これまでのポップアップ出店実績について教えてください。

これまでで累計30回以上出店しています。

基本的な出店期間は2〜3週間ほどです。年末年始やゴールデンウィークなど、お酒の需要が高まる時期には、同時に2拠点で開催することもあります。

面白いのは、出店期間の後半に売上が伸びるケースも多いことです。1週目に来てくださった方が、2週目、3週目にもまた来てくださるといったリピート需要によって、前半より後半の方が結果につながることもあります。

──ポップアップの取り組みは、社内ではどの部署が主導しているのでしょうか?

広報チームの取り組みとして進めています。

もちろん売上も見ていますが、それだけではない指標も必要だと考えています。ポップアップは、クランドを知ってくださる方を増やす場でもありますし、お客さまと直接接点を持てる場でもあります。その意味では、広報に近い取り組みだと社内では捉えています。

──売上以外では、どのような指標を見ていますか?

たとえば、LINEの友だち登録数や、ポップアップ経由でのオンライン購入数などを指標の一つにしています。

ポップアップストアでは、LINEの友だち登録をしていただくと無料でガチャを回せる企画を設置したり、店頭で購入してくださった方限定で購入できるオンラインストア上の施策を展開したりしています。

以前はXやInstagramなど、SNSのフォロー数を指標にしていたこともありました。ただ、オフラインで出会ったお客さまとその後もつながるには何がよいかを考える中で、現在はLINEが一番、その後につながりやすいのではないかと考えています。

店頭での出会いをその場限りにせず、オンラインでの継続的な接点につなげていくことは、EC事業者がポップアップを活用するうえで重要なポイントだと感じています。

店頭が、新たなビジネスチャンスにつながることも

──ポップアップ出店によって、印象的だった成果はありますか?

お客さまとの接点はもちろんですが、店頭で見てくださった企業の方からご連絡をいただくことが増えたのは、とても面白い成果だと感じています。

たとえば、商業施設の方から「うちにも出店してほしい」とお声がけいただいたり、「今度こういうイベントをやるので、酒ガチャのブースをつくってもらえないか」とご相談いただいたりしています。

お客さま向けの出店でありながら、企業の方との接点にもなっていて、BtoBのチャンスも広がっていると感じます。

──実際に次の出店につながったケースもあるのでしょうか?

あります。たとえば、ニュウマン新宿での店頭を見てくださったことをきっかけに、某百貨店での出店につながったケースがありました。

担当者の方はもともとクランドを知ってくださっていたのですが、その上司にあたる方が実際にポップアップストアを見てくださっていたことで、話が非常にスムーズに進みました。

店頭が盛り上がっている様子や装飾の印象を実際に見ていただけると、ブランドの魅力が伝わりやすいのだと思います。そうした意味でも、ポップアップはお客さま向けの場であると同時に、商業施設やパートナー企業にクランドの可能性を伝えるショーケースにもなっています。

──初めてクランドを知る方に向けて、店頭ではどのような工夫をしていますか?

初めて来店される方が酒ガチャを体験するケースはとても多いです。

そのため、スタッフからの声かけでは、お客さまの心理的な不安を取り除くことを意識しています。たとえば、「必ず購入金額よりも高いお酒が当たります」「外れがありません」「いくつかマシンがあるので、お好みによって当たる種類を選べます」といった説明を積極的に行っています。

酒ガチャはランダム性が魅力ですが、購入する側にとっては少し不安にもなり得ます。その不安を取り除きながら、ワクワク感は残す。そのバランスを大切にしています。

──店頭でのお客さまの反応は、どのように社内にフィードバックしているのでしょうか?

店頭スタッフには、お客さまの年齢層や反応などを積極的に共有してもらっています。

ECでは購入データを見ることができますが、店頭ではスタッフの目線で、お客さまの雰囲気や反応を把握できます。そうした情報を日々振り返り、EC上のデータとも比較しながら、ポップアップならではの客層や傾向を見ています。

実際に、ポップアップストアの方が年齢層はやや高い傾向にあります。ただ、それでも20代の割合は高いです。

──20歳以上の若い世代から支持されている理由を、どのように分析していますか?

お酒に対する購入ハードルを下げられていることが大きいと思います。

若い方ほど、お酒に対して「何を選べばいいかわからない」と感じている部分があるのではないでしょうか。一方で、ガチャというランダムな体験に対しては、比較的抵抗が少ないようにも感じています。

もちろん、30代、40代以上の方でも、普段は指名買いをするけれど「たまにはこういうのもいいかもね」と楽しんでくださる方もいらっしゃいます。自分では選ばなかったかもしれないお酒に出会えるという点では、幅広い方に新しい体験を提供できていると感じています。

──店頭で印象に残っているお客さまの声はありますか?

ある大学生の女性のお客さまが、購入後に「ここって酒屋さんだったんですね」とおっしゃったことがありました。

お話を聞くと、普段お酒は好きだけれど、酒屋さんに入ることにはハードルを感じていて、いつもコンビニやスーパーで購入していたそうです。ただ、本当はもう少しこだわったお酒を自分で買ってみたいという気持ちもあったと。

クランドの売場は近寄りやすく、購入のハードルが低いことに安心感を持っていただけたようで、その声はとても印象に残っています。

私たちがつくっている空間が、お酒に詳しくない方や、酒屋さんに入り慣れていない方にとっても、自然に立ち寄れる場所になっているのであればうれしいですね。

出店場所選びで重視していること

──これまで出店してきた中で、特に相性が良いと感じる場所はありますか?

相性が良いと感じているのは、東京ソラマチのような商業施設です。

日常的に利用する場所というより、デートや家族のお出かけなど、少し特別な日に訪れる方が多い場所なので、クランドのような少し特別感のあるお酒と相性が良いのではないかと考えています。

また、最近では何度も出店していることもあり、近隣に住んでいる方が「クランドが出店しているから」と来てくださるケースも増えてきました。

──駅ナカや商業施設との相性については、どのように感じていますか?

過去の実績を見ると、駅ナカや商業施設は非常に相性が良いと感じています。

目的を持って来店される方だけでなく、待ち合わせまで少し時間がある方や、予定が早く終わってふらっと立ち寄る方など、非目的での接点が生まれやすい場所の方が、購入につながりやすい傾向があります。

一方で、お酒を扱うポップアップならではの難しさもあります。施設によっては、お酒自体が出店NGだったり、食品の取り扱いが難しかったりする場合があります。また、お酒は重量があるため、バックヤードや倉庫の条件も重要です。

出店できる場所かどうか、設備が整っているか、客層が合っているか。そうした条件を見ながら、相性の良い場所を探していくことが大切です。

──今後のポップアップ出店について、どのように考えていますか?

これまで出店を重ねる中で、クランドを知らなかった方との接点や、商業施設・企業の方との新しいつながりが生まれてきました。

今後も、リアルの場だからこそ届けられる体験を大切にしながら、お酒に詳しくない方や、これまで酒屋さんに入りづらいと感じていた方にも、クランドやクラフト酒との新しい出会いを楽しんでいただきたいと考えています。

ポップアップは、クランドにとって単なる販売の場ではありません。お客さまと出会い、会話し、ブランドを知っていただき、その後のオンラインでの接点にもつなげていく場です。

EC発のブランドだからこそ、リアルの場でどんな体験を届けられるのか。これからも出店を通じて、その可能性を広げていきたいです。


ブランド情報

クランド

クランドは、オリジナルのクラフト酒を取り扱うオンライン酒屋・お酒の通販サイトです。日本酒、梅酒、果実酒、焼酎、クラフトビール、ワインなど、幅広いジャンルのクラフト酒を展開し、「新しいお酒との出会い」を提供しています。


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