公開日:2024年11月1日
更新日:2024年11月1日

初心者必見!撮影スタジオの開業ガイド【保存版】

撮影スタジオはこれからも市場の拡大が予想されるため、新たな事業の一つとしても考えたいジャンルです。本記事ではさまざまなシーンで利用されている撮影スタジオについて、市場動向や準備知識、スタジオの物件選びや必要な機材、サービス設計と料金体系、スタジオ運営の実務やリスク管理といった開業のために必要なことについてご紹介します。

目次

1.撮影スタジオ開業の市場動向と準備知識
2.スタジオの物件選びと必要機材
3.サービス設計と料金体系
4.スタジオ運営の実務とリスク管理

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1.撮影スタジオ開業の市場動向と準備知識

撮影スタジオ市場の現状と将来性

日本フォトイメージング協会 フォトイメージング市場動向(2024年版)より引用

日本フォトイメージング協会が公表している2024年フォトイメージング市場動向によると、アマチュア写真の出力ビジネスは2020年度に新型コロナウイルス感染症が拡大したことで市場が落ち込んだものの、2022年度は写真需要が増えたことでコロナ感染前の2019年度市場の95%まで回復したと推測されています。

デジタルカメラの出荷状況については2023年が912,000台と前年からやや減っていたものの、2024年の1月〜6月の累計は前年の実績を上回るペースでの出荷となりました。

デジタルサービスの市場動向としては、2023年度はデジタルプリントやフォトブックは数量が減少しましたが、単価自体はアップしており市場規模としては微増。

さらに写真の需要として、お気に入りの写真をプリントして部屋に飾ったり、透明なケースに入れたりすることが人気です。
加えて、キーホルダーにしたり、スマホに挟んで持ち歩いたりする若者も増えています。

撮影スタジオの現状としては、急速な伸びはないものの新型コロナウイルス感染症の拡大以前まで回復したことや、デジタルカメラの出荷状況やデジタルサービスの市場動向から、緩やかながらも増えていると推察できます。

撮影スタジオの将来性としては、従来の写真の現像やプリントのサービスに加え、ヘアメイクや衣装レンタルといった関連サービスの提供が求められています。

また、写真のデジタル化や修復といったサービス、新たにフォトスタジオで撮った特別な写真をSNSで共有するというニーズも生まれていることも注目すべき点です。

従来の写真の現像やプリントにこだわらないサービスを取り入れる撮影スタジオに、将来性があると予想されます。

開業形態の選択と必要な手続き

開業形態特徴
自宅のスペースを有効活用改装の融通がしやすく、空き部屋以外にも屋上や庭だけなどの利用もできる。
店舗の空きスペース所有する店舗の空いているスペースを撮影スタジオにして貸し出す。
店舗ならではの雰囲気を撮影スタジオに活かせる。
ホテルや飲食店ホテルや飲食店の空いているスペースを撮影スタジオに活用。再現VTRなどの需要があるだけでなく、ホテルや飲食店の閑散期は撮影スタジオにより利益を上げられる
会社の空いているスペース自社の空いているスペースを撮影スタジオに。自社保有なら改装の融通もしやすい上に、自社のPR戦略にも利用可能。
賃貸物件を転用清掃や簡易的な補修は借主が行う。通常の補修やメンテナンスは所有者が行う。大掛かりな部屋の模様替えは所有者の承諾が必要。物件によって利用の際の細かな条件がある(禁煙やガムテープは使用できないなど)

撮影スタジオを開業するうえで必要な申請は、下記となります。

種別詳細
税務署への開業届の提出事業開始のために必要。管轄の税務署まで開業届を持参か郵送、e-Taxにて送信
建築確認申請建築基準法に則った用途変更の確認申請。新築や増改築する際や、自宅などを撮影スタジオにする際に必要
消防法に基づく手続き消防法に基づいて火災報知機や消火器の設置、災害の際の退避ルート確保が必要。詳細は所轄の消防署の予防課などに問い合わせ

ターゲット層の設定

撮影スタジオを開業するうえでは、ターゲット層の設定が必要不可欠といえるでしょう。なぜなら、ターゲット層を設定することで、撮影スタジオの内装空間に必要な設備や機器などが決めやすくなるからです。

また、ターゲット層を設定することで、撮影スタジオを運営するうえでの方向性に関しても決めやすくなります。

ターゲット層を設定する際は明確にし、一層細分化することが必要です。例えば、子どもをターゲットにする・コスプレをする方をターゲットにするなど設定することで、必要な設備や機器、備品のイメージができるだけでなく、競合店舗との差別化を図れます。

2.スタジオの物件選びと必要機材

理想的な立地と物件の条件

撮影スタジオの理想的な立地は、利用者のことを考えるとターミナル駅が近くにある・最寄り駅から徒歩5分圏内が理想です。動画撮影も考えると、道路や線路沿い、飲食店などの環境音が少ない場所がよいでしょう。

撮影スタジオの物件の条件に関しては、次の条件が挙げられます。

・被写体から5メートル以上距離が取れる
・自然光がたっぷりと入る
・天井が高い

●自然光について

自然光は最も優先すべき条件で、質や量も重要です。物件自体の向きだけでなく、東西南北どの面から光を取り入れられるか、窓の大きさや場所も大切です。理想は南西に窓があり、2面以上から光が入りかつ窓の数が多いだけでなく大きいと良いです。条件が良くても、北向きは不向きです。

●駐車場についてもチェック

機材搬入がしやすいように駐輪場があるか(できれば最低3台停められる規模)もしくは近くにコインパーキングなどがあることもチェックしましょう。

●フロアについて

フロアに関しては、階層が多いと往復に負担が掛かるだけでなく、運営費もかさみます。理想はワンフロア、次点で2階がよいです。2階の場合はエレベーターがあると、スタッフや利用者の負担が軽減できます。

●面積は50㎡以上あるとよい

面積に関しては、50㎡以上あれば働くスタッフも快適に利用ができ、1日で撮影も複数回対応可能です。

50㎡あれば、撮影ができる空間が2箇所で、事務所や衣装室、トイレ、さらにはスタッフとお客用の空間も割り振れます。

通常の物件は30㎡が多いですが、撮影スタジオとして利用すると2つ同時に撮影することが困難です。撮影件数が少ない場合は30㎡でも運営できますが、それ以上になってくると50㎡あった方が対応しやすくなります。

必要な内装工事と費用

撮影スタジオの内装工事では、ターゲットのニーズや好みに基づき、他にはないコンセプトの背景や照明、家具を揃えることが重要です。

撮影スタジオにコンセプトに合った洗練されたインテリアや照明を配置することで、独自性を確立するとともに利用者に特別な体験の提供ができます。

<内装例>ニューボーンフォトに対応したスタジオなら、ナチュラルなインテリアや装飾品を揃えることで写真に温かみや神々しさが出る

その他にも、撮影スタジオは競合性にない設備があることも大切です。撮影の合間に利用できる休憩室やキッズスペースを設ける、くつろげるソファやコーヒーサーバーなどを設置することで、利用者が快適に過ごすことができかつ同業他社にはない特徴にもなります。

費用に関してですが、撮影スタジオの内装工事の費用は相場が坪単価で15万~35万円ほどです。費用の割合に関しては、次の通りになっています。

種別割合
デザイン全体の10%ほど
内装全体の50%ほど
設備、機器、什器全体の30%ほど
諸経費全体の10%ほど

撮影スタジオは内装の費用がほとんどを占めております。設備や機器、什器はこだわればこだわるほど工事費用が増えるため、注意しましょう。

費用を節約する際は相見積もりや居抜き物件を利用する、補助金や助成金などの活用により費用が抑えられます。

<補助金例>小規模事業者持続化補助金の活用

基本的な撮影機材と備品リスト

撮影スタジオを開業するうえで必要な基本的な機材は、次の通りです。

<撮影機材>
・カメラ・照明器具(ストロボやLEDパネルなど)
・三脚・レフ版照明器具に関しては、撮影スタイルや目的などに応じて適切なものを用意します。
 また、撮影スタジオとして必要な設備は下記になります。
・衣装
・美容系の備品
・鏡
・メイク道具
・ヘアーセット道具
・パソコン
・画像を格納するストレージ(HDDなど)
・撮影用の家具・棚・内装(壁や床など)
・エアコン・撮影のための背景設備など。

撮影機材以外にも必要な備品をリストにまとめました。

<必要な備品>
・Wi-Fi
・アイロン一式
・アイロン台
・ハンガー
・ハンガーラック
・ドライヤー
・脚立
・スタンドミラー
・椅子類(スツールやハイスツール、チェアなど)
・踏み台
・ラック
・Bluetooth対応 ワイヤレススピーカー
・カードリーダー
・折り畳みテーブル
・小物類
・掃除機・ほうきなど。

3.サービス設計と料金体系

基本料金の設定方法

撮影スタジオの基本料金は、1時間当たりの料金に加えて最低利用時間、割増料金、写真撮影とムービー撮影で異なる料金を設定しましょう。

<料金例>
・1時間当たりのレンタル料金が5,000円
・最低利用時間が3時間

撮影スタジオは平日の料金を基本とし、土日祝日や早朝・深夜は割増料金を加算します。
あわせて延長料金も決めておきましょう。

さらに撮影する対象が写真かムービーかでも料金に差が生じます。
ほとんどの場合は、ムービーの料金がより高めの設定となっているため、撮影とムービーで料金に差をつけましょう。

付帯サービスの検討

撮影スタジオを開業する際は、付帯サービスも検討しましょう。
なぜなら、利用者が撮影スタジオを選ぶ際は料金だけでなく、付帯サービスの充実度もチェックしているからです。

付帯サービスの例としてはヘアメイクや衣装のレンタルが挙げられますが、まずは同業他社と被らない付帯サービスを考えましょう。
大手が行うサービスを取り入れても、立ち上げ間もない撮影スタジオを利用者が選ぶことはほぼありません。

同業他社が行っていない付帯サービスを提供することで収入アップが見込めるだけでなく、利用者に非日常体験を提供でき、選ばれる撮影スタジオになれます。

競合分析と差別化ポイント

撮影スタジオを開業するうえでは、競合分析と差別化ポイントを考えることが必要不可欠といえるでしょう。理由としては、競合を分析せず撮影スタジオの運営を始めても、集客や売り上げを伸ばすことができず、失敗してしまうからです。

競合分析とは、自社が提供する商品・サービスを扱う同業他社やライバル店について調査と分析を行うことです。

同業他社の撮影スタジオが扱うサービスや強み・弱みを客観的に把握するだけでなく、自社の立ち位置や特徴もあわせて分析。
同業他社よりも自社が優位な点を洗い出し、撮影スタジオとして提供するサービスや利用者へのアプローチを考えましょう。

競合分析を行ったうえで、同業他社との差別化を行うことも重要です。差別化を図れず、品質は同じ・低価格でサービスを提供しても価格競争に巻き込まれ、撮影スタジオの運営は失敗してしまいます。

差別化ポイントとなる一例は、次の通りです。

・同業他社とは異なるロケーションや雰囲気、テーマで撮影が可能なことを提案
・写真に付加価値(他にはない加工やデザインなどを取り入れる)を付け、同業他社にはない体験と感動も提供・メイクやスタイリングも行う
・得意な写真撮影をアピールなど

利用者のニーズや市場のトレンドも分析し、競合他社とは異なる独自性を打ち出して差別化することが、撮影スタジオの開業を成功に導くためには必須といえます。

4.スタジオ運営の実務とリスク管理

予約・顧客管理システムの導入

フォトスタジオを開業する際は、予約・顧客管理システムを導入しましょう。
予約・顧客管理システムを導入することで業務の効率化が図れる以外にも、スタッフの負担の軽減や接客に集中することができ、顧客の満足度も向上を望めます。

予約・顧客管理システムの導入により、下記のメリットが得られます。

種別詳細
業務効率化撮影スタジオの予約受付や変更、キャンセルがシステムにより自動化でき、スタッフの負担を軽減。アナログだとミスや時間がかかることも効率良く行える
利用者満足度の向上システムにより24時間・365日いつでもオンラインで予約ができ、利用者の満足アップと取りこぼしがなくなる
データ分析が可能予約の状況や顧客の情報が管理できるうえデータ分析も可能とし、データに基づいた利用者が喜ぶ戦略が打ち出せる
コミュニケーションの充実スタッフが接客に集中でき、利用者とのやり取りが円滑して満足度アップも図れる
売上の向上空いている枠をリアルタイムに把握でき、適切な施策を行うことで売り上げの向上が図れる

日常的な運営業務と注意点

撮影スタジオの日常的な運営業務や注意点は、さまざまあります。

運営業務一覧表

運営業務詳細
予約管理撮影日時や利用人数、内容などについて確認して受付。
予約管理が不十分で予約のスルーや二重予約になると、信用問題に発展します。
清掃撮影スタジオは安全・綺麗な状態に保つ必要があります。
撮影スタジオは埃が溜まりやすいため、隅々まで丁寧に掃除を行う必要があります。
機材や設備のメンテナンス撮影スタジオの機材や設備はメンテナンスが不可欠です。
経年劣化するため、専門業者を呼んで定期点検、清掃業者や外注業者にも適宜依頼して内装や外装をクリーニングする必要も出てきます。
公式サイトやSNSの更新撮影スタジオを運営するうえでは情報発信は必要不可欠です。
SNSの投稿や公式サイトの運営を実施します。
営業やマーケティング何をすれば利用者が集まるかを考えて、広告やキャンペーンを企画・運用します。
ロケハン対応撮影の前にロケハンを行いたい方への対応も業務。見学をして貰い、質問や要望に対応します。
撮影時の立会い機材の使い方が分からない・トラブルにスムーズに対応するべく、当日の対応も業務の1つです。

撮影スタジオの注意点

開業した直後、不慣れな中で少ない人数で効率的に撮影スタジオを運営する際は、効率的に業務ができずミスが発生し、利用者の信頼を失うケースもあります。

予約管理に関しても手作業で行ったり、複雑なシステムで行っていたりすると、重複やミスが発生しやすいです。予約のミスは、利用者の不満や信頼性の低下に繋がることもあります。

撮影や画像編集など各作業が遅延してしまい、利用者へのサービスが遅れてしまうのも要注意です。利用者を待たせた結果、満足度の低下により口コミや評判の悪化に発展することもあります。

トラブルを起こさないためにも予約や顧客管理が効率的に行えるシステムなどを導入し、スタッフの負担を減らしつつ割くべき場所にリソースを割いたり、作業のプロセスを見直し改善したりして、運営業務を滞りなく行いましょう。

トラブル対応と保険加入

撮影スタジオではトラブル対応も多いです。特に物品の破損や床や壁が傷つくといったトラブルに対応しなくてはなりません。

破損は利用者責任なのか、経年劣化などの撮影スタジオ側が原因なのかわからず、主張が食い違いトラブルに発展することもあります。その際は防犯カメラで撮影しておくと、トラブルを防げます。

防犯カメラを利用する際は、申し込みフォームや契約書などに「トラブル回避をするべく、防犯カメラを設置しています」などと記載をし、了承を得るようにしましょう。

また、利用者の不注意で機材を破損する可能性もあります。そのため、他の撮影スタジオでも導入している機材の保険を任意加入できるよう、準備しましょう。

収益向上のための運営施策

撮影スタジオを続けるために、収益向上のためにさまざまな運営施策を行う必要があります。撮影スタジオにおいて理想的なのは、予約が埋まっていてかつ空き時間が少ないといった状況です。

そのためには、例えば長時間利用した際は料金を割引するなどして、長い時間をレンタルしてもらうようにするのも、空き時間を少なくする工夫の一つです。

撮影スタジオを安定して続けるためには、継続している利用者の存在が必要不可欠です。利用者に継続して撮影スタジオを利用してもらうためにも、ホームページにて定期的に記事を公開する・メールマガジンを送る、他のお客さんを紹介した時の紹介割引を行うといった施策もよいです。

専門性の高い記事やメールマガジンは、利用者に喜ばれるコンテンツです。継続して提供することで、利用者をスタジオのファンにし、安定した利益を生むことが期待できます。

まとめ

撮影スタジオには従来の撮影やプリント以外にも新たに生まれたニーズに対応しつつ同業他社と差別化を図ることで、利用者に他にはない価値や特別な体験が提供でき、経営も安定するでしょう。

撮影スタジオはSHOPCOUNTERを通じて貸し出すことも可能なため、幅広く利用者を募る際はぜひご相談ください。

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