公開日:2024年5月12日
更新日:2024年5月31日

卸売と小売の違いとは?メリットとデメリットを解説【D2C企業の事例付き】

商品は、メーカーなどの製造業から卸売業者へ、卸売業者から小売業者へ販売されることで、一般消費者が購入できる流れが一般的です。本記事では、商品流通に不可欠な卸売りと小売の違いをそれぞれのメリット・デメリット、企業のプロモーション事例とともに紹介します。

目次

卸売とは?
小売とは?
D2Cは小売の最新モデル
卸売のメリット
卸売のデメリット
小売のメリット
小売のデメリット
卸売と小売を組み合わせた販路拡大事例
まとめ

卸売とは?

「卸売」とは、製造元のメーカーから仕入れた商品を、店舗やECサイトなどの小売業者に販売することです。一般消費者に身近な食料品や日用品、生活雑貨だけでなく、企業向けの業務用・産業用の商品も扱っています。

メーカーと小売業者の仲介役となる卸売業者は、メーカーの販売活動や物流の手間・コストを下げる役割を担っています。

小売とは?

「小売」とは、卸売業者から商品を仕入れて、一般消費者に販売することです。コンビニやスーパー、ECサイトなどの消費者が商品を直接購入する店舗を小売業といいます。卸売業者から商品を仕入れる場合、小売価格(店頭で販売する価格)から割引された卸売価格で購入しています。

前項の卸売と小売の違いは、「誰に販売するか」です。卸売業者は小売業者に商品を販売するのに対し、小売業者は一般消費者に商品を販売します。ただし、近年は、卸売業者が直接消費者に商品を販売したり、小売業者が卸売業者を兼ねて販売をおこなうケースも見られるようになり、明確に区別することが難しくなっています。

D2Cは小売の最新モデル

D2Cとは、「Direct to Consumer」の略で、製造元のメーカーが一般消費者に直接商品を販売することを指します。似たような言葉に企業と消費者との取引を表すB2C(Business to Consumer)がありますが、B2CのなかにD2Cが含まれているという位置付けです。例えば、ECサイトでは、企業が直接一般消費者と取引を行うため、B2Cにあたりますが、企業が製造業でない場合は、D2Cではありません。

D2Cでは、従来、卸売業者や小売業者に任せていた商品の販売や顧客獲得施策を自社で行う必要がありますが、一方で、収益性の向上や自由に販売できること、顧客データを自社で収集・蓄積できるといったメリットが多く、D2Cを採用する企業が増えています。

卸売のメリット

販売数量が多いため、売上額が大きくなる

卸売の場合、一般消費者への販売と異なり、小売業へまとまった数量で販売するため、売上額が大きくなります。例えば、小売業の場合、ペットボトル飲料を10本販売するには、一人1本購入する計算だと、10人に販売しなければいけません。一方、卸売の場合は、販売単位を設けられるため、一つの小売業者に対して、まとめて10本販売することができます。取引先が少なくても、多くの売上を得られるのがメリットです。

特に、売れ筋商品や定番商品を見極めて、メーカーから確実に仕入れができるよう働きかけることが重要です。売れ筋商品や定番商品は、小売業者に営業をしなくとも、「欲しい」と思ってもらえるため、効率よく経営することができます。定番商品で売上のベースを作り、売れ筋商品で売上を伸ばしていくスタイルが理想です。

集客コストが低い

卸売は、販売網を構築さえできれば、長く付き合いを続けていくためのルートセールスがメインとなります。コンスタントに集客施策を取らなくてはいけない小売業と比べると集客コストは低くなります。

とはいえ、取引先がない状態からスタートし、販売網を構築することは労力がかかりますし、取引先が他社に乗り換えてしまう、閉店してしまうなどの可能性はゼロではありません。既存取引先と良好な関係を築きつつ、新規取引先の開拓も継続的におこなうことが安定した経営につながります。

商品開発が不要

卸売は、メーカーから商品を仕入れる立場のため、新商品を開発する必要がありません。消費者に売れる商品を見つけて、仕入れルートを確保し、小売業者に販売することが最優先です。開発コストがかからず、仕入れ商品の見極めと小売業者への販売に注力できるのが卸売の魅力です。

卸売のデメリット

在庫を抱えるリスクが大きい

卸売をするにあたり、最もネックになるのが在庫管理です。卸売はメーカーと小売の仲介者であることから、在庫調整が最も難しい立場です。メーカーは卸売業者から事前に発注された分だけ準備をすればよく、小売業者は過去の販売実績をもとに卸売業者に注文すればよいため、卸売と比べると在庫管理はしやすくなっています。

卸売業者は、求められた商品を、必要なタイミングで、必要な分だけ小売業者に販売するために、一定の在庫を抱えるリスクは避けられません。在庫が足りないとなると機会損失になるだけでなく、他の卸売業者に乗り換えを検討されてしまう可能性もあります。

利益率が低く、仕入れに資金が必要

卸売は、「販売数量が多いため、売上額が大きくなる」とお伝えしましたが、売上額が大きい反面、利益率が低いというデメリットがあります。経済産業省が調査した業種別の売上高営業利益率(2021年度)は、製造業5.7%、卸売業2.7%、小売業3%で、小売業と僅差ではあるものの卸売業が最も低くなっています。

取扱商品によって利益率は変動しますが、利益を大きくするためには、取引先や取引商品数を増やして売上を拡大する必要があります。

小売のメリット

仕入れる商品群や数量、価格の自由度が高い

小売といっても、業界や経営形態(フランチャイズ・個人など)、販売形態(実店舗・ネットショップ)により状況は異なりますが、店舗のコンセプトやターゲット層、商品ニーズなどをもとにどの商品をどのくらい仕入れるか、いくらで販売するか、を比較的自由に決めることができるのが小売業の特徴です。

特に個人経営している店舗は自身の目指すショップイメージを実現しやすくなります。ただし、コンセプトをしっかり定めて方向性がブレないようにすることや商品ニーズを見極めることが求められます。

顧客の感謝の声を聞ける

小売の場合は、顧客と直接やり取りをすることになり、リアルな声を聞くことができます。実店舗の場合は、直接コミュニケーションができ、より顧客ニーズを汲み取りやすいのが特徴です。ネットショップでは、商品レビューやショップへの口コミを通じて、顧客の声を確認することができます。

中には厳しい意見も交じっていますが、よりよい店舗づくりのきっかけと捉え、感謝の声を原動力に運営していくことができる、やりがいを感じやすいメリットがあります。

小売のデメリット

さまざまなコストが発生する

実店舗の場合、賃料や外装・内装費、光熱費、人件費などの費用がかかり、特に建物の維持費が経営を圧迫する要因になります。ネットショップの場合は、建物の維持費はかかりませんが、在庫保管費用やサイト・サーバー代などが発生します。

集客のために販促をおこなう必要がある

小売業の特徴は、消費者に商品を直接販売することにあります。実店舗の場合は、お店に足を運んでもらわなければならないため、来店施策をおこなう必要があります。ネットショップの場合でも、ECサイトや大手ECモールへ出店しているショップへのアクセス数を増やす施策が必須です。

広告や割引・クーポン施策などの販促活動は、プロモーション費用が発生するだけでなく、企画立案や施策実行の時間・手間がかかることは小売業ならではです。

卸売と小売を組み合わせた販路拡大事例

GREEN SPOON

株式会社Greenspoon プレスリリースより引用
卸売共同開発によるコンビニ販売2024年4月2日(火)から沖縄県を除く全国のファミリーマート約15,900店にて、1日分の野菜/フルーツが摂れる2種のスムージーを数量限定で販売。
小売自社サイト自宅で手軽に野菜やフルーツがとれるヘルシーミールを冷凍でお届けし、食生活における「野菜担当」として累計サブスク会員13万人以上(※2024年3月時点)

野菜が無添加のスープ、サラダ、スムージーになって自宅に届く、ベジタブル・ワンステップミール「GREEN SPOON」は、約2年の開発期間を経て共同開発した商品をコンビニ大手のファミリーマート全国 約15,900店で販売を開始しています。

また、2024年5月8日(水)~5月21日(火)まで渋谷スクランブルスクエア 2階「Space2」にてポップアップイベントを開催しています。

ブランド発となる無料試食イベントも一部日程で開催しており、会場からオンラインで購入できる導線も設置、「GREEN SPOON」の目指す世界観と商品の美味しさを一度に体感できるポップアップストアも卸売のスケール感で認知度の高まるタイミングで取り組まれており、卸売と小売のメリットを生かしたD2C企業にとってお手本となる販促企画です。

まとめ

卸売と小売の概要と違い、それぞれのメリット・デメリット、プロモーション事例を紹介しました。商品流通の仕組みやそれぞれの特性を理解し、適切な戦略を展開することで、効果的な販売促進活動に取り組んでいきましょう。

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