◆そもそもVMDって何? VMDはVisual Merchandising(ビジュアル・マーチャンダイジング)の略称で売り場などで、ディスプレイやレイアウトなどを工夫しお客様が商品を購入しやすい環境を視覚的に作り出す販売

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VMDはVisual Merchandising(ビジュアル・マーチャンダイジング)の略称で売り場などで、ディスプレイやレイアウトなどを工夫しお客様が商品を購入しやすい環境を視覚的に作り出す販売活動を指します。
お客様にとって、購買意欲を刺激されやすい環境は単純に「見栄えの良い売り場である」ということだけではありません。お店に来店してもらうための工夫、お店の中を見て回ってもらう工夫、実際に商品を手に取ってもらう工夫などが不可欠です。販売戦略におけるレイアウトや演出を担っていると考えるとわかりやすいでしょう。
お店の雰囲気作りやショーウィンドウ、ディスプレイに季節感を取り入れたり、ハロウィンやクリスマスといったイベントに合わせた演出をしたりすることも、お客様の注意を引くために効果的です。 このように「商品を購入しやすい環境を視覚的に作り出す」と言っても、その範囲は広く、販売活動の方法も多岐にわたります。
VMDで売上をアップしようと考えた場合、「でも実際には何をどうすればいいの?」と迷ってしまう方もいらっしゃるかもしれません。そこでVMDで押さえておくべき3つのポイントをご紹介します。
VPとはVisual Presentation(ビジュアル・プレゼンテーション)の略で、自社の商品に興味をもってもらうために、ブランドコンセプトやイメージを伝え、お客様にアピールすることを意味します。自社の商品に興味をもってもらうためには、お客様の視界に入らなければなりません。お店のショーウィンドウやディスプレイ、あるいはお店全体の雰囲気などを演出することで、お客様が「入りたい」と思える店内環境を作ることが大切です。
VPの良し悪しで、お客様の中でのお店の第一印象が決まると言っても過言ではありません。視覚的に注目を集めることを目指すと同時に、コンセプトやイメージを壊さないように気を付けましょう。
また、シーズンごとのテーマや特におすすめしたい商品などを、お店のショーウィンドウやディスプレイに反映することもVPに含まれます。こうした季節やイベントごとの変化も含め、定期的にVPに手を加えていくことは、お客様を飽きさせないためにも有効です。売上が停滞してきた場合に、テコ入れとしてVPを一新するのも良いでしょう。
PPとはPoint of Presentation(ポイント・オブ・プレゼーテーション)またはPoint of Sales Presentation(ポイント・オブ・セールス・プレゼンテーション)の略で、お店の商品の中でも、特に目立たせたいものやおすすめしたい商品、新商品などをポイントごとに配置し、お客様にアピールすることを意味します。その際、入り口やレジの近く、店内の中央や角などに商品を配置することで、お客様が自然と店内を巡回するように動線を作ることが重要です。
アパレルショップの場合であれば、マネキンなどの什器を使って、商品の演出を行います。おすすめしたい商品の魅力を最大限に引き出すようコーディネートするのはもちろんのこと、季節感を取り入れることや、より多くの商品と接点をもってもらえるよう意識することも大切です。
IPとはItem Presentation(アイテム・プレゼンテーション)の略で、商品を種類ごとに分類したり、整理したりすることで、お客様にとって見やすく選びやすい環境を作ることです。似た商品を近くに配置することで、お客様が気軽に手に取って比較しやすいようにするなどの工夫を行います。分類の仕方は、種類ごとに分けるだけでなく、テーマごとやシーズンごと、あるいは商品の色味や値段ごとに分けるなどさまざまです。
お客様に商品を購入してもらうためには、その前段階として、商品を手に取ってもらう必要があります。いくらお客様の目を引くことができても、手に取ってもらえなければ購買にはつながりません。
①VPでお客様にお店に興味をもってもらい、②PPで店内を回遊してもらうことで、おすすめ商品などを訴求し、③IPで実際に手に取ってもらう、というのがVMDのポイントとなります。
この流れからも、VPやPPに当たらない部分は、ほとんどIPの対象になることも覚えておきましょう。

AIDMA(アイドマ)とは、「Attention(注意)」「 Interest(関心)」「 Desire(欲求)」「 Memory(記憶)」「 Action(行動)」の頭文字を取った言葉で、前の章で紹介した3つのポイントとも近い考え方です。AIDMAは、お客様が商品を買うまでの購買プロセスを5つの流れで説明しています。
お客様がお店の存在を知らない状態であり、まずは外観のディスプレイなどでお店に注意を引く段階です。購買プロセスのファーストステップで、ここでつまずくと新規顧客を獲得することができません。逆に言えば、すでにお客様がお店のことを知っている場合は、この段階は飛ばされることになります。VMDから見た場合、VPが重要となる場面です。
お客様の注意を引くことに成功したものの、まだ具体的な商品自体には興味をもたれていない状態です。この段階では、お客様の商品への関心を高めることを目指します。なるべく多くお店の商品を見てもらうために、PPのクオリティーが問われる場面です。レイアウトを工夫したり、POPを使ったりすることで、おすすめの商品をアピールしていきましょう。
お客様の関心は高まっていますが、「買おう」とはまだ思われていない状態です。お客様のニーズを喚起することで、購買につながるように促します。
商品が目につきにくいレイアウトや、手の届かないようなレイアウトでは、商品をアピールするのに効果的とは言えません。棚の位置を目線の高さにするなど、手の届きやすいところに商品を陳列することで、実際に手に取って商品を見てもらえるようにレイアウトしましょう。
お客様に「欲しい」と思っていただけた場合でも、即購入につながらない場合も珍しくありません。お客様が態度を保留したままお店を出てしまった場合、印象が弱いと忘れ去られてしまう可能性があります。そういったことを防ぐためにも、お客様の中に欲しい商品を強く印象付けることが大切です。
お客様の中に商品を買うだけの動機があり、購入するまであと一歩の段階。ここまでくれば、あとはお客様の背中を押して購入を促せばよいでしょう。ただし、店員のセールストークによっては逆に購買意欲が減退する場合もあるため、最後まで気を抜かずに丁寧な接客を心がけましょう。

ウィズコロナ/アフターコロナと呼ばれるこの時代において、今まで通りの商品コンセプトにフォーカスしたVMDの考え方では集客率向上につながり難い可能性も高いと考えられます。
その理由として、コロナ禍がもたらしたECサイトの利用率や購入率の増加傾向が強くなったことがあげられます。
またD2Cブランドとして店舗を持たずにオンラインのみで販売を行っている企業やブランドのショップスタッフによるInstagramでのLive配信やその他オンラインサービス上での接客なども行われており、画面を通してでのコミュニケーションが活発になっているのも事実です。
しかし、オンラインを上手く使用したECサイトの利用率が増えているとは言え、オフライン上にある実店舗の存在が不必要になるわけではありません。店舗の役割は「ブランド体験を提供すること」です。実際に手に取って商品を見られる。試着ができる。色味や素材を確認できる。そのような事ができる空間ということに価値があり、それこそがECサイトでは伝えることができない魅力なのです。
それでは、アフターコロナにおける実店舗のVMDとはどのような考え方なのかを説明していきます。
ウィズコロナ/アフターコロナの時代においては、マネキンや棚、什器、導線の間隔を空けるようにするなど、感染対策を行っている店舗は多くなってきました。外からの見え方としてもディスプレイの間隔を空けることで、来店している方たちの距離も空き、安心で快適な店舗と感じるようにします。
来店してくださった方同士の動線を考えて店内の什器類の配置を設計している店舗もよく見かけるようになりました。特にレジ前やレジ待ちの列などは足元にお客様同士の間隔の取り方を促すような目標などを置いている店舗がほとんどです。
来店前の消毒や店頭に置くハンドサニタリーのボトルのパッケージをブランドのロゴを記載されたものにしたり、ブランドのイメージカラーと統一したデザインにすることは、ブランドのイメージ戦略として、とても重要なことです。よりブランドロイヤリティを上げるような取り組みをしていくのであれば、商品を購入してくれたお客様に対して、ブランドロゴの入ったマスクやマスクケースなどのノベルティを作ってお渡しすることもいいでしょう。
お店で商品を売るなら、ディスプレイやレイアウトは必ず考えなくてはいけません。しかし、何の戦略もなしに商品を並べただけでは、せっかくの売り場を活かせていないと言えます。VMDを意識することは、より良い売り場を作るために重要です。お店の視覚的な側面を改善するために、今一度VMDを見直してみてはいかがでしょうか。
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