公開日:2015年12月15日
更新日:2019年7月19日

Amazonスキャンサーチが小売業界にもたらす影響とは?

2015年12月にAmazonが発表した「Amazonスキャンサーチ」は、カメラで商品をスキャンしてAmazon内で商品検索ができるというものです。この記事では、そんなAmazonスキャンサーチが与える影響について考察します。

12月4日にAmazonが発表したiOS向けAmazonアプリの新たな機能「Amazonアプリ Todayウィジェット」。
スキャン検索自体は7月にすでにリリースされていたものの、今回のアップデートによりiPhoneやiPadのロック画面を解除することなく、ワンクリックでカメラを立ち上げてAmazonで探したい商品をスキャン検索できるようになったことから小売・流通業界で大きな話題になりました。

一人の消費者として見るととても便利な機能に思えますが、商品を販売する側にとっては大きな脅威となりそうな amazonスキャンサーチ 。
今回はamazonスキャンサーチが与える影響について考察してみます。

amazonスキャンサーチ とはなにか

そもそもamazonスキャンサーチとはどういったサービスなのでしょうか。

amazonスキャンサーチは、iPhoneの通知センターからカメラを起動し、スクリーン内に商品を表示させることで商品ページに飛び購入することができる仕組みです。名前がわからない商品の検索もワンクリックででき、amazonの画面上で価格比較をしながら買い物をすることができます。

▲amazonスキャンサーチ操作イメージ

出典:アマゾン ジャパン株式会社公式リリース
今回特に注目されたポイントは、通常のカメラとは異なりシャッター音がならない点です。

これまでも携帯電話の普及により本屋で雑誌のページを撮影して購入せずに帰るといった行動が問題視されてきましたが、amazonスキャンサーチではシャッター音がないため店員側も撮影に気づくことが難しく防止のしようがないといった点が特に小売業者の中で不安視されています。

スキャン機能といえば、2013年10月にスタートトゥデイがコーディネートアプリの「WEAR」機能のひとつとして、商品のバーコードから詳細情報を得るスキャン機能を搭載して話題になったことが記憶に新しいかと思います。

WEARのスキャン機能は小売店側からの理解を得るのが難しくサービスリリース後半年でスキャン機能の提供を終了しましたが、今回はamazonという巨大プラットフォームがローンチしたサービスだけにその後の動きが注目されます。

amazonスキャンサーチ が小売業界にもたらすもの

現在amazonスキャンサーチの動向に最も関心を寄せているのは本屋・家電量販店をはじめとする専門小売や日用品を販売するスーパー、ホームセンターではないでしょうか。

メーカーの視点で考えれば、店頭以外の場所に販路が伸びるのは大きなメリット。
商業施設や小売店に支払うマージンをamazonや楽天などのネットモールと比較しても、後者の利率の方が圧倒的に低いため「売りを立てる」場所はもはやリアル店舗ではなくECサイトに誘導した方が得という見方もできます。

現在多くの商業施設で固定の賃料ではなく「売上歩率」というかたちで売上金額の◯%を受け取るという方法が主流ですが、店舗のショールーミング化が進んでいく中でリアル店舗での売上をつくるのは至難の技と言わざるをえません。

今後は出店人気が高い商業施設ほど、店頭の売上歩率のみに頼ったビジネスモデルから脱却していく必要がありそうです。

今のところamazonスキャンサーチが対象としているのはamazonで販売されている書籍や消耗品などの最寄品が中心のため、すぐにファッションや嗜好品の分野にとって脅威になることはないように思われます。

しかし、今後amazonスキャンサーチが普及することによって店頭でスキャンしてECで購入するという流れが一般的になった場合、その流れが他の分野にも波及することは必至です。
前述のWEARもLINE社と提携してかたちを変えたサービスのリリースが来年に控えていますし、その他のファッションテック系企業も「ショールーミング」を見据えたサービスをそれぞれ開発しはじめています。

amazonスキャンサーチはほとんどの小売店舗にとって大きな脅威になる存在ですが、こういった世の中の流れを否定するのではなく、うまく時流にのった施策を打ち出していくことで次の新しい一歩を踏みだすことができるのではないでしょうか。

メーカーであれば今後のリアル店舗とECサイトをつなぐO2O施策の一環として、小売店舗であれば商品を見て体験してもらう「コト」消費の場としての価値をあげるきっかけとして、amazonスキャンサーチが小売業全体に与える影響は今後ますます大きくなっていきそうです。


Photo credit: deveion acker