経済産業省が発表している商業統計をご存知ですか? イベントや展示会の出店エリアを検討する際にチェックしたいのが、商業統計に記載された「年間商品販売額」。この記事では、年間商品販売額を比較して、ポップアップストアの出店により適したエリアを考察します。
5年に一度経済産業省が発表している”商業統計”をご存知ですか?
商業統計は経済産業省が卸売業、小売業を対象に5年に一度行う調査。
これは国内の事業所すべてが対象となる全数調査です。
小売業はその事業者数と売場面積、年間商品販売額、駐車台数を1セットにして規模別、業態別に分けて集計されます。
この中でも”年間商品販売額”はそのエリアにどれだけの人が買い物に来ているかを推し量ることができる重要な指標です。
以前出店戦略のキホンvol.4 商業統計を活用するの中でも紹介した商業統計ですが、今回地域経済分析システムRESAS(リサース)に年間商品販売額の項目が加わり、それぞれの区を比較分析しやすくなりました。
そこで今回はRESASを使った年間商品販売額比較から見るエリア特性についてご紹介します!
RESASでは年間商品販売額の時系列推移をエリアで比較することができます。
※最新年は2007年となっているのでご注意ください
年間商品販売額の中でもアパレル系のショップが分類される”織物・衣服・身の回り品小売業”のトップは東京都渋谷区。
次いで新宿区、中央区、港区の順となっています。
渋谷区はデータから読む!ファッションが一番売れるエリアとは?でもご紹介したファッションが売れるエリア上位の表参道・渋谷・代官山エリアを擁する区なので納得の結果です。
次に”飲食料品小売業”で見ると港区がトップとなっています。
飲食料品小売業はレストランやカフェ、ケータリングなどの飲食サービスを除く飲食料品を小売する事業所のこと。
デパ地下や食料品の専門店などが該当します。
グラフを見てみると特徴的なのが中央区の伸び率。
これは2000年代に入って一気に流行した”デパ地下”の影響が大きそうです。
銀座・日本橋を擁する中央区は百貨店の聖地とも言えるほど百貨店が多く、デパ地下はいつも多くの人で賑わっています。
三越や松屋などの百貨店だけではなく、通常は食品を取り扱っていない有楽町のマルイ、ルミネもこのエリアではデパ地下のようなフロアを作っていることからも、このエリアでの飲食料品小売業の需要を感じます。
※有楽町のマルイ、ルミネの所在地は中央区ではなく千代田区。
今後ますます年齢層があがる銀座・日本橋エリアでは衣料品よりもギフトを含めた食料品の方が需要が高まる可能性も考えられます。
販売額だけではなく、増減率で比較するのも重要です。
販売額の増減率はそのままそのエリアの勢い、成長率といえるからです。
“織物・衣服・身の回り品小売業”での伸び率を見ると2004年に港区が大きく伸びています。
これは2003年に開業した六本木ヒルズの影響が大きそうです。
一方で中央区の増減率が大きく落ち込んでいるのは2005年以降に百貨店の業績が大きく落ち込んだことと相関があるように思われます。
グラフは2007年までの数値のため、渋谷ヒカリエや東急プラザ原宿表参道が開業した2012年のデータは渋谷区の増減率が大きく伸びていることも予想されます。
一方”飲食料品小売業”では中央区の年間販売額が年々増加の一途をたどっています。
販売額でも2位の新宿区に肉薄していましたので、そろそろ新宿を追い抜いて販売額2位になっている可能性も高いのではないでしょうか。
2007年までの推移を見ていくとアパレルの渋谷エリア、食品の銀座エリアとそれぞれのエリアの特徴が際立って変化してきている様子が感じ取れます。
今回はポップアップストア出店が多いアパレル・食品を中心に比較しましたが、RESASでは他にも機械器具小売業(自動車や家電製品など)、その他の小売業(文具、医薬品など)といった分類もできます。
また都内だけではなく日本全国の自治体を比較することもできますので、様々な地域や分類で比較しエリアの特徴をつかんでみることをおすすめします。
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