新型コロナウイルス感染症(COVID-19)には、長期化も踏まえた視点で対応する必要が出てきています。今回はウィズ(with)コロナにおける飲食・小売事業者の取り組みと、アフター(after)コロナの展望について事例をまとめました。(2020年の記事)
COVID-19は、現時点で沈静時期が変化することから不透明であり、 潜伏期の感染者、無症状感染者からの感染可能性も示唆されていることから、再開後も外出自粛が再開・長期化されるリスクがあります。
そこで、今回は長期的な目線も踏まえた対策として、ウィズ(with)コロナの環境下における取り組みと、アフター(after)コロナについても展望をまとめています。
withコロナの取り組みについては、これまでに飲食事業者や小売の事業者が行ってきたものをおまとめしました。大きく言うと、下記のような動きが展開されてきています。
□飲食事業者の取り組み
・営業時間短縮の中で、デリバリー・テイクアウト対応が進行。
・お取り寄せ、レシピ販売、未来のお食事券など、オンラインを中心にPR・販売を行い、ファン作りにも活用される事業者が増えてきている。
・「家で過ごす時間をどう支えるか」を基に上記の活動を展開されている様子。
□小売事業者の取り組み
・オンラインストアでの販売を進行するも多くが売上を下げてしまっている状況。
・短期的にはマスク生産など必需品販売でソーシャルグッドに売上を伸ばすアパレルブランドが増加中。
・家で過ごしやすくするモノとして動画やSNSでの発信を増やして売上を回復する・伸ばすブランドも。
次から、上記の詳細とその具体例をご紹介していきます。参考になれば幸いです。
①「デリバリー」で非来店での販売を伸ばす
営業自粛・時間短縮を受け、非来店方式で販売できる UberEats ・出前館などの「デリバリー販売」を開始・強化する店舗が拡大。
1) 国税庁 感染症に関する対応等について – 在庫酒類の持ち帰り用販売等をしたい料飲店等の方へ
②「テイクアウト」で近隣通行者からの販売を伸ばす
地域住人・止むを得ず外出されている方向けに、POTLUCK・PICKSでの「テイクアウト強化」を行う店舗も増えています。
③「お取り寄せ」で非来店での販売を伸ばす
お取り寄せ需要に合わせて、オンラインストアでの商品販売を行う事業者様が増加。
④「既存のお客さまから応援」いただく
一定数ファンがいるお店は「favyサブスク」「来店予約チケット販売」で収益獲得を行う形を展開する方もいらっしゃいます。
⑤「レシピ」で認知や非来店販売を伸ばす
家での自炊ニーズの高まりに合わせて、レシピを基にしたPRを行う方もいらっしゃいます。一方、レシピ本の販売やデリバリーへつなげるためのマーケティング活動が多く、レシピそのものの有料販売は少ない状況です。
①「おうちで過ごしやすい服」として訴求を転換、コロナ以前の売上まで回復
― Shapermint (US,補正下着ブランド)
補正下着もコロナの影響で当初は売上が減少。一方で既存のお客様が、補正下着を自宅で過ごすルームウェアとして着用していることに注目。「おうちで過ごしやすい服」として一気に広告投下して売上が30%回復。コロナ以前の水準まで回復するアイテムも増加した。
おうち時間を過ごすための情報提供する有料コミュニティを展開で売上を伸ばす等非物販領域での収益化も模索。
参考:How Shapermint pivoted its marketing strategy to focus on loungewear – ModernRetail
②「服」の素材を、「マスク」に転換、需要に応える商品提供に活路
― ALLYOURS (東京,アパレルブランド)
アパレル販売低迷にいち早く危機感を感じ、服の素材を使った布マスクを展開。SNSを中心に大きな話題となり、販売したマスクは即日完売。不定期ながら継続的にマスク販売をしつつ、新規顧客・ベースの売上を増やしながらShapermint同様に家で過ごす時間に着目し、下記のようなアパレル売上も伸ばす試みを展開しています。
③オンラインのフィットネス動画でファンを急増、家での健康維持の波を作る
― Lululemon (Canada,フィットネス衣類)
コロナの情勢の中で大きく伸ばす「フィットネス」の領域。その中でもオンラインレッスンなどで大きくファンを伸ばしており、おうちでできるワークアウトなど健康維持の波を継続的に創出。中国・Wechatで数万人のフォロワー増、instagramのライブレッスンには17万人が参加するなど、顧客基盤を大きく伸ばし、店舗閉鎖中でもオンラインでの購入を促進できる状態に。
参考:Coming Out Stronger: Lululemon’s Winning Formula – WWD
④「良いおうちの風景」をアイテム・メディアで演出、新生活期にしっかり需要創出
― 北欧 暮らしの道具店 (東京, 雑貨ブランド)
新生活に差し当たり、雑貨ブランドの中でも大きく需要を伸ばしている同店。おうちの時間が増える中で、instagramのフォローが急増しており、検索数も増加傾向に。
・短編ドラマ
・ラジオ
・プレイリスト
など、ホッとできるコンテンツも充実させ、アプリで展開していくなど既存顧客との繋がりをより強めています。
ここまでwithコロナの文脈で事例を紹介してきましたが、ここからは新型コロナウイルス感染症の感染拡大が終息に向かうと仮定したとき、どのような変化が起こりうるのか、afterコロナの観点で考えてみます。
まず、オンラインの流通額が伸びており、Adobeによるとアメリカでは2/26〜3/21までのオンライン購買数は昨年比で+63%と急増しています2)。日本でもデリバリーやネットスーパーの利用が急増していることから、これまでオンラインでの購入を行って来なかった人も、よりオンラインでの購入を利用する流れが強まると感じられます。
また、オンラインの需要が増えるので、企業のオンラインストアへの投資も増える流れが生まれます。コロナウイルスの拡大後、中国の小売企業でも67%がオンラインチャネルの拡大の意向を見せていると、ニールセン・カンパニーの調査3)でも語られています。日本でもオンワードが常設店を2019年から1400店舗閉店し、今後、オンラインでの販売強化を行っていくなど、よりオンラインでの競争が増していくでしょう。
これらを踏まえ、これから何をしていくべきでしょうか?
重要なのは、「お客さまの生活に向き合うこと」だと考えます。
『家での生活をオンラインからどう充実させていけるか』
『家での自粛にも疲れや飽きが訪れた収束後、どういった形で楽しめる接点を作っていくと喜んでもらえるか』
そのような視点を持ち、お客さまの生活に向き合うアイデアを出していく必要があると考えています。この記事がそれらの参考になれば幸いです。
SHOPCOUNTERでは今後も、アイデアを支える情報や、柔軟に借りられる場の提供を行い、誰もが価値を届けられる世界を目指します。
2) アドビ、初のDigital Economy Indexを発表 – Adobe
3) 【ニュース】新型コロナウイルス海外での影響(10) ~中国の小売企業 迅速な動きで危機がチャンスに~ – ニールセン・カンパニー
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