ポップアップストアのみならず、店舗を出店する際でも魅力的な場所が「プライムエリア」。言葉を目にしたり耳にしたりすることがあっても、実際にどんな意味なのか知らないという方も少なくありません。
本記事ではプライムエリアの意味やその概況、そして東京都内にある5カ所のプライムエリアをご紹介します。
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プライムエリアとは、各地域において取り分け価値が高い土地や物件が集まるエリアを指す言葉。主に不動産業界で使われており、都心部かつ交通アクセスに優れた場所であることに加えて、商業施設やオフィスが多く集まっていることも特徴として挙げられます。
プライムエリアにはラグジュアリーブランドも集まっているため、買い物の利便性が高いだけでなく、消費者にとって非常に魅力的な地域といえるでしょう。
プライムエリアの物件は、需要が高いだけでなく価格も高い傾向にあります。その希少性と価値の高さが魅力となり、注目を集めています。
プライムエリアはコロナによるダメージが大きかったエリアでも、現在は出店が活発になってきました。出店が活発になった背景の一つが、インバウンドです。
インバウンドは2023年に回復し、訪日客の旅行消費額は過去最高額を記録。以前のようにドラッグストアでの爆買いは見当たらなくなったものの、インバウンド客の支持を集める商品を扱う店舗は、売上が大きく増加しています。
そのため、プライムエリアにもインバウンド客をターゲットにした店舗の出店が増えて来ました。
プライムエリアにも出店するラグジュアリーブランドは販売価格が値上げされたことで、国内における中間層の消費は勢いがややなくなってきているものの、代わりに円安の影響からインバウンド客による消費が増加。その結果、ラグジュアリーブランドが集まるストリートでは出店需要が高まっています。
特に、インバウンド需要が強いエリアではコロナ前を超える賃料水準の例もあり、大変賑わっています。
東京都内では、コロナのダメージが大きかった渋谷や原宿といったエリアにおいて新規出店が活発となっており、長い間空室だった区画にも次第に店舗が入るようになってきました。
エリアによっては募集件数が昨年比で減っているところもあれば、横ばいや増加しているところもあります。
ただし、店舗側の出店マインドが回復している一方で、募集区画の増加に対して需要が追い付いていないなどもあり、状況はエリアによって異なっているのが現状です。
東京都内における5つのプライムエリアについてご紹介します。
銀座は新規開発案件として数々のラグジュアリーブランドが名を連ねており、活発な動きが継続的に行われているエリア。銀座自体ブランドの旗艦店が集まる晴海通りや中央通りを中心に、マロニエ通りやみゆき通りなど数々のストリートで形成されています。
ブランド店が集まるストリートの中でも、2024年4月には中央通り沿いにある虎屋銀座ビルにて、バレンシアガが銀座で初となる旗艦店をオープン。さらに、2024年6月には銀座三越にエルメスが、GINZA SIXにはティファニーがオープンしており、ラグジュアリーブランドが続々と出店する銀座は注目を集めています。
また、銀座ではマロニエゲートにディスカウントスーパーマーケットのオーケーのオープンやダイソーも出店しており、これまでの銀座にはなかったタイプのお店も進出。銀座は、ますます注目を集めるエリアとなっています。
訪日外客数が2019年比で8割程度まで回復が進んでいる銀座では、ラグジュアリーブランドに加えて百貨店や飲食店も賑わいを見せているのが特徴。空中階に空室が多いこと・飲食店の夜の客足は完全には戻り切っておりませんが、インバウンドが後押しする形でエリアの勢いは取り戻しています。
インバウンドに関しては、今後も増加する見込みがあるのが銀座。インバウンド客をターゲットにしたラグジュアリーブランドの新規出店の勢いは、衰えないようです。
新宿は高賃料を維持している、新宿通りが際立つエリア。周辺の地域もインバウンドによる後押しもあることから、活気づいています。
エリア内にある伊勢丹新宿本店の売上高は、2023年暦年は2022年度を上回っており、過去最高額となりました。2024年に入っても、引き続き好調を維持しています。また、メンズ館には伊勢丹新宿本店において常設店となるルイヴィトンがオープン。勢いを増す伊勢丹に注目が集まります。
新宿にあるルミネをはじめとしたファッション専門店ビルが扱う衣料品は、23/19年比でマイナス5〜10%まで回復。衣料品だけでなく、飲食に関しても少しずつ勢いを取り戻しています。
長期空室となっていた新宿通りの物件は決定しており、バーバリーの閉店などがありましたが今では空室はほとんどありません。需要が供給に勝っている状況となっています。
その他にも、新宿はインバウンドの増加により、伊勢丹新宿本店だけでなく東急歌舞伎町タワーといった商業施設の売上も好調。ラグジュアリーブランドやシューズ、リユースも活発となっており、インバウンドに強い業態の出店も積極的です。
2024年秋には、ユニクロ新宿本店が新宿の中心部に新たにオープン予定という明るい話題もあります。
渋谷はセンター街や井の頭通り、文化村通りといった数々のストリートが駅から扇状に広がり、さまざまな店舗が立ち並ぶエリア。多くの人々が訪れることから、多彩な業態が成立しているのも、渋谷ならではの特徴です。
渋谷はアニメや音楽といったカルチャーが集客を牽引することで、インバウンドの集客は新宿を抜いて日本一となりました。免税売り上げがおよそ3割とインバウンド客も重要な要素となっているのが、渋谷PARCO。売り上げに関しては、2023年3~8月の前年同期比が63.8%増となり、過去最高である159億円を記録しました。
渋谷は店舗の出店も活発なのも特徴。井の頭通りにおけるフランフランの跡地の1階にはヴィンテージショップがオープンしたことで、ここ数年に渡り空室だった問題が解消。チャールズ&キースのグローバル旗艦店であるチャールズ&キース渋谷がZARAの向かいに移転したり、ベルシュカ跡地にKOMEHYOがオープンしたりと、数々の店舗が出店しています。
店舗だけでなく、商業施設のリニューアルや新施設も開業しているのが、渋谷エリア。QFRONTの全面改装や、Shibuya Sakura Stageと渋谷アクシュが開業しており、渋谷において新たな集客核となる店舗が続々と誕生しています。
渋谷は大型開発や再開発が予定されているだけでなく、リユースショップや飲食店も続々とオープンしており、今後もますます注目を集めるエリアです。
インバウンドの増加にあわせて、ファッション関連の出店が回復しているのが表参道。銀座と並ぶブランドストリートを持つ表参道は依然として活発な動きを見せており、ティファニーをはじめラグジュアリーブランドの開業が今後も続きます。
ラグジュアリーブランドではその他にも、セリーヌやシャネル、ロエベ、マルタンマルジェラといったブランド店の改装や増床が実施。2024年4月にオープンした東急プラザ原宿「ハラカド」には、クリスチャンディオールも今後オープン予定です。
コロナ禍では空室が目立った明治通りやキャットストリート、竹下通りといった各ストリートには、新規店舗の出店が増加。アパレルやシューズ、コスメなどの店舗が出店しています。その他にも、キャットストリートの裏ではプラダ ビューティといった、ラグジュアリーブランドのコスメ業態が見られるようになり、活気づいています。
表参道はラグジュアリーブランドだけでなく、キャットストリートや竹下通りに広がるジャパンカルチャーを目的に来訪する方も多く、銀座とは異なるインバウンド需要があるエリアです。
その他にも、表参道には高級時計のゼニスブティックやグランドセイコーブティックをはじめ、数々のジャンルの店舗が出店。今後もさまざまな店舗が出店していく表参道に、関心が寄せられています。
サンシャイン60通りからサンシャインをメインに、賑わいを見せているのが池袋。駅の周辺には大型の商業施設が集まっており、ファンションの買い物をする方々は駅周辺にある百貨店や専門店を中心に利用しています。
池袋で駅以外の場所にあるファッション店は、主に東口のサンシャイン60通りや駅前の明治通り沿いに集中しているのが現状です。
池袋では路面店が集まる範囲は、東京の他の主要なエリアと比較して小さくまとまっているのが特徴。駅前のファッション関連店舗が減少傾向にある一方で、中古やリユースに関する店舗の開業が続いています。特に南池袋や西池袋エリアには、中古やリユースの店舗が集まっているのです。
商業施設としては、西武池袋本がヨドバシカメラに引き渡されたのちに改装が始まり、2025年にリニューアルオープン予定。リニューアルに向けて、一部店舗の閉店が始まっています。
池袋は他のエリアよりもインバウンド客が相対的に少なかったですが、キャラクターグッズを扱う店舗を中心に増加傾向があり、今では存在感を増しています。
今後はアミューズメント系の店舗の出店が進んでいくと考えられ、エリアとしてはサブカルチャーに一層強くなると予測。また、長期計画ではあるものの西口駅前の大型再開発計画も発表され、関心を集めています。
大型商業施設やラグジュアリーブランドをはじめさまざまな店舗が出店し、国内外の注目を集めているのがプライムエリア。他のエリア以上に関心を引きやすいプライムエリアは、ポップアップストアの出店先としても考慮したい場所です。
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