2023年・2024年に改正する景品表示法は、多くの業界に影響を与えます。景品表示法という言葉を耳にすることがあっても内容を把握しきれていない方に向けて、本記事では改正の背景や目的、概要、仕組み、影響を受ける業界などについて詳しくご紹介します。
1. 改正の背景と目的
2. 改正されたポイントの概要
3. 景品表示法の基本的な仕組み
4. 改正の影響を受ける業界と企業
5. 改正に伴う企業の対応策
景品表示法の改正こと、「不当景品類及び不当表示防止法の一部を改正する法律案」が可決成立したのは、2023年5月10日。可決された背景には、通信販売やインターネット広告市場の拡大が影響しています。
近年、過度なインターネット広告に関連した問題が増えているため、事業者の法令遵守と消費者保護を目的として、今回の改正が行われたと考えられるでしょう。
景品表示法の改正は、事業者による自主的な取り組みの促進や違反行為に対する抑止力の強化をすること、さらに円滑な法執行が実現できるように各規程の整備をすることを目的としています。
景品表示法が改正されたポイントの概要について、2023年と2024年に分けて解説します。
◇2023年
2023年に改正された景品表示法のポイントは、ステルスマーケティングの規制です。なぜステルスマーケティングが規制されたのかというと、ステルスマーケティングは商品やサービスに関して実際には異なる印象を抱かせ、消費者の判断を歪めるだけでなく誘導する不適切な表示になるからです。
通常の広告は、一般の消費者はある程度誇張や誇大を含んでいると考えるため、広告内容を差し引いて適切に判断し、商品やサービスを選択・購入します。
しかし、ステルスマーケティングの場合は広告が広告だと分かりにくいため、消費者は誇張・誇大がない感想だと誤解してしまいます。その結果、実際に手にする商品や受けるサービスが優れたものだと不当なイメージを抱かせ、判断や選択を歪めてしまうのです。
欧米では規制されていたものの、日本では対象外だったステルスマーケティング。そんなステルスマーケティングは消費者を不当に誘導する表示であると問題視され、2023年10月1日から施行された景品表示法により不当表示に指定され、規制の対象となりました。
◇2024年
景品表示法は2023年に続いて、2024年にも改正実施の予定です。さまざまな改正が行われる中、有利誤認表示や措置命令に至ることが多い優良誤認表示は悪質な事業者に対して、罰則が強化。新設された罰則では、事前の措置命令を経ずに刑罰として100万円以下の罰金が科せられます。
改正の背景には、表示と実際の商品やサービスとの間に乖離があることや、景品表示法に違反していると知りながら、違反行為を行う悪質な事業者の存在があります。
<優良誤認表示の例>・実際の商品やサービスよりも優れていると表示する・同業他社の商品やサービスよりも別段優れていないのに、まるで優れているかのように偽って宣伝 |
上記のような悪質な行為を抑止するべく、優良誤認表示を行う事業者に対して、罰則が強化されました。
優良誤認表示は故意ではなく誤った表示をした場合も該当するため、注意しなくてはなりません。
景品表示法の正式名称は、『不当景品類及び不当表示防止法』といいます。消費者がより良い商品やサービスについて自主的かつ合理的に選べる環境を守り、消費者の利益を保護することを目的としてつくられました。
景品表示法は商品やサービスに関する品質・内容・価格などについて虚偽の表示をすることや、度を越えた景品類の提供を規制する法律です。
景品表示法では、「不当表示の禁止」と「景品類の制限および禁止」がされています。
◇不当表示の禁止
不当表示の禁止は、消費者が商品やサービスを選ぶ際に、実物や実際のサービスよりも優れた品質や有利な条件があるように見せかける表示を防止するためのルールです。不当な表示を禁止することで、消費者が自主的かつ合理的な選択をスムーズに行えるようにしています。
不当表示の禁止は優良誤認表示に加えて、下記も禁止されています。
有利誤認表示 | 消費やサービスの価格に加え、その他の取引条件に関しての不当表示 |
指定告示 | 不当表示として内閣総理大臣が指定したもの |
◇景品類の制限および禁止
事業者が提供する景品が過大になると消費者は景品に惑わされ、自主的かつ合理的な判断ができれば買わないような商品・サービスの購入を防ぐためのルールです。
そもそも、景品類の提供自体は禁止されているわけではありません。景品表示法では、一般懸賞や共同懸賞、総付景品といった各景品の総額や最高額を規制しています。
◇景品表示法の仕組み
景品表示法に違反するような表現や景品類の提供が実際に行われていると疑われた際は、消費者庁などが必要な調査を実施。その結果、景品表示法に違反する行為があると認められると、内閣総理大臣が事業者に対し措置命令や課徴金納付命令を行います。
措置命令や課徴金納付命令を行う際、必要があると認められると内閣総理大臣は事業者に対して、必要な資料の提出や報告について命じることも可能です。
内閣総理大臣による措置命令に違反すると、事業者は2年以下の懲役か300万円以下の罰金が処されます。内閣総理大臣からの資料の提出や報告などの命令に違反(虚偽の報告などを行う)すると、事業者は1年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金が処されます。
景品表示法の改正は、小売業や飲食業、美容業、マスメディアなど、ジャンルを問わずさまざまな業界や企業に影響を与えます。
その理由は、景品表示法の対象が商品や容器の表示だけでなく、チラシやポスター、インターネット上における広告、テレビ、新聞、雑誌など、あらゆる媒体における表示や広告を含んでいるからです。
今回景品表示法の改正で規制の対象となったステルスマーケティングを防ぐべく、インフルエンサーを活用する業界や企業は特に注意をしなくてはなりません。
例えば、投稿を依頼した際は必ず「PR」の表記をする、目に入りやすい場所にPRを記載するよう事前に伝える、投稿内容のチェックをする必要があります。
ステルスマーケティングでPR表記をせず、景品表示法に違反した事例は次の通りです。
<ステルスマーケティングの違反例>令和6年8月8日に消費者庁は、RIZAP株式会社が運営する「chocoZAP(チョコザップ)」に関する広告表示について、景品表示法に基づく措置命令が出されました。 インフルエンサーに対価を支払ってInstagramにて投稿を依頼したものの「PR」の明示がなく、自社サイトで第三者の口コミであるかのように表示していた。(参照元:丸の内ソレイユ法律事務所「【ステマ】RIZAP株式会社(チョコザップ)に対して景品表示法に基づく措置命令が発出されました」より) |
ステルスマーケティングを行うと企業やブランドの評判を傷つけ信用を失い、ビジネスにも悪影響を与えます。SNSやインフルエンサーを活用したマーケティングを行う企業は、景品表示法の改正を正しく理解し、広告であると分かりやすく表示しなければなりません。
また、景品表示法の改正を受け、広告や表示の表現にも気を配る必要があります。優良誤認表示は業界や・企業問わず違反しているケースがあるため、表現には細心の注意を払いましょう。
優良誤認表示に違反した一例が下記の通りです。
<優良誤認表示の違反例>令和6年2月28日に消費者庁は、イモトのWiFiを手掛けるエクスコムグローバル株式会社の表示について、景品表示法に基づく措置命令を出しました。合理的な根拠のない「満足度No.1」と記載された広告が、景品表示法の違反に当たります。・自社のウェブサイトなどに「お客様満足度No.1」「顧客対応満足度No.1」などと記載(参照元:日本経済新聞「「イモトのWiFi」や飯田GHDに措置命令 NO.1表示巡り」より) |
改正された景品表示法に違反していないか、表示や表現、マーケティングの施策などについて一層の検証とチェックをする必要があります。
景品表示法の改正に伴い、事業者は下記の対策を行いましょう。
◇正確な表示を徹底
扱う商品やサービスにおいて、品質や性能、効果は誇張せず、事実に基づいて正確に表示するよう徹底します。特に誤解を招く表現を使わず、データや科学的な根拠をもとにした情報提供を心掛けましょう。
◇広告や表示におけるチェックや見直しを実施
商品やサービスにおける広告・表示内容に関して、社内のコンプライアンス部門や法務部門によるチェックの徹底や、広告や表示の内容を定期的に見直すことで、景品表示法に適合しているか確認します。社内だけでなく、第三者機関に監査を依頼するのもよいでしょう。
◇従業員への教育やガイドラインを作成する
景品表示法の基本的な内容や具体的な規制内容について、従業員に教育を徹底。景品表示法に関するセミナーを受講してもらうのも、選択肢の一つです。
その他にも、景品表示法に違反しないためのガイドラインの整備も行いましょう。さらに、法令違反があった際は懲戒処分になることを、就業規則や社内規則に明記するのも一つの方法です。
社内報などを利用して、自社に関連のある法律や景品表示法に違反した事例を掲載し、周知を徹底することも効果的といえます。
◇景品に関する条件を遵守
景品類は各種ルールに従い、法令で定められた金額や上限を遵守し、過度な景品の提供をしないように気を付けます。
◇広告や表示を分かりやすくする
広告や表示は、消費者にとって分かりやすくする必要があります。例えばインフルエンサーを活用する際は広告であることをはっきりと示し、消費者に誤解を与えないことが重要です。
その他にも、下記の対応をするとリスクを避けられます。
・消費者から寄せられた意見や問い合わせをもとに表示内容のチェックや改善を行う
・万が一の際に迅速に回収できる体制を構築
・景品表示法に関する知識を持った従業員のみが広告表示内容の作成や決定をする
2023年・2024年に改正された景品表示法は、数多くの業界・企業に該当するものです。自社のためだけでなく消費者のためにも、誤認されるような表示は避けなければなりません。
本記事を参考にポップアップストアの担当者のみならず、チームや社内にも景品表示法の改正に関して共有し、法令順守を徹底してください。
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