夏本番に差し掛かり、いよいよ日傘が手放せなくなってきた今日このごろ。今回はレイングッズの企画・販売している“傘の小川”さんにポップアップストアの使い方や今後の展望についてお話を伺いました。
独自のブランドを展開しつつ、キャラクターものの傘のOEMなどを手掛ける“傘の小川”さん。
彼らは創業100年弱の老舗傘メーカーですが、直近ではポップアップストアの出店を積極的に行ってきています。
今回はブランドのお話から、ポップアップストアの捉え方、今後の展望まで、株式会社小川の営業担当、山田悟さんにお話をお伺いしました。
― ブランドを立ち上げた経緯を教えてください。
弊社は愛知県の名古屋市にありまして、創業87年になる会社です。今の社長が3代目でして、最初は小川商店から始まり、途中から株式会社小川に名称を変更しました。
当初から傘とレイングッズを販売しておりまして、カバ印の傘のカバーを作ったのが最初、日本で初めてビニール傘を作った会社とも言われています。
創業から直近まではOEMを請けることをメインに事業として進めてきております。10年くらい前からはOEM事業の不安定性などを理由に、技術を生かしたオリジナル商品の開発・販売を進めてきています。
また、現会長(前社長)がアメリカからスヌーピーが入ってきたときにライセンスを取得しておりまして、ピーナッツさんのブランドを使用した商品を作ってるメーカーとしても非常に長い歴史があります。
一番最初に作ったのがピーナッツさん、その後はサンリオさん、ディズニーさんなどのブランドも取得していまして、ライセンスを用いた形で事業を大きくしてきました。ロフトさんともお付き合いがあったりしたのはライセンスが取得できたことが大きいと考えています。
その中でこの4,5年の間は特にオリジナルブランドを推し進めてきていて、korkoやカバ印、ベーシックなレディース向けの日傘などを作ってきています。その流れで期間限定ショップも増えてきている状況です。
― オリジナル製品の事業は順調だったのでしょうか?
OEMですと販売されているお店の屋号が前に出るので、当初は商品を卸す得意先がなく、新参者としてやっていかなければならず、取引先を開拓する部分は結構苦労したと聞いています。
今でこそ、SNSやインターネットで調べれば大体の情報が出てきますが、当時はまだ情報としても多くなかったので、本屋で売ってる企業名鑑を購入して北は北海道、南は九州まで片っ端から足を運んでいたようですね…。
現在はSNSで流せばメディアの方が気づいくれたりはしますが、かつては状況が異なるので、苦労は多かったと思います。
― SHOPCOUNTERを利用された経緯を教えてください。
「自社のお店を立ち上げたい」というのが現社長の夢でして、オンラインショップはありますが、店舗はないので、実際に声を聞きながら運営できる直営店を持つことを目標としていいます。
その過程で、直営店まで行かなくても期間限定ショップを出すことで、お客様のトレンド感、何を求めているのか、傘のメーカーとしてこういう機能がある、とお伝えできる場が作り、お店運営を行う上でのノウハウ蓄積のために期間限定ショップを出店しています。
出店した最初の頃は本当に失敗だらけでした。初めはイメージとか雰囲気で出店していたのですが、例えば、「館の客層はこれくらい、だからこれがハマるだろう」って感じで出店してコケたりもしましたね…。
最初は3年位前のラフォーレ原宿さんでの出店でした。場所柄、「中高生が多いだろう」ということでキャラクター商品をメインに据えたら全然売上が上がらなく、だいぶ危機的な状況に陥りました。そこから、キャラクターじゃない商品も入れてみるか、ということで北欧風のものを売り出したら結構売れるようになったんです。
中高生にとって2~3,000円は高いので、傘の場合は親子連れが買っていくんです。その際は「高くても長く使えるもの」軸で北欧のものが売れたりするという背景が見えました。今から振り返ると、バリエーションを増やして、多様な層がいることを想定していれば、当時の出店も失敗せずに済んだのでは…?と思ったりもします。
最初はそのような失敗ばかりでしたね…。
ポップアップストアを事業として進める上では、心が折れたらおしまいだな、と強く思っています。 一回失敗してやらなくなったら終わりな気がしていますし、弊社の場合もあそこで折れたら終わってただろうなとは思います。
期間限定ショップって労力が非常にかかるので、事前準備や店舗での展開、終わったあとも分析が必要だったり、販売員さんとの関係性も含めてすごい大変だな、と思っています。
ただ、うまく行けば次もやろうと思える、もっとここをこうしたらもう少し上に行ける、などいろいろ考えるので、個人的にはお店を作るのが嫌いではないので、楽しくやれている部分もあります。
ラフォーレさんの失敗も全部含めて経験だな、と思っています。
― ポップアップストア出店する際に工夫したことはありますか?
傘という商材はただ置いてあるだけだと、お客様にはあまり良さが伝わらない事が多いんです。なので、なるべくわかりやすいようにPOPを含めた販促物系に気をつけています。
現場で売っていただく販売員さんも傘のことは分からない場合も多いので、特にPOPに細かめに説明を入れることを意識しています。
事情により、時間が割けず、POPがプライスカードのみになってしまっている場合もありました。ただ、その際は目につかないことが原因で、思うように売上が上がらない場合も多く、POPは売上にも直結していると考えています。
例えば、手書きで書いたPOPにラミネートしたものを置いたら、一個一個に特徴をつけたのでお客さんの目にも留まりやすくよく見ていただいていた印象です。
販促物も含めて限られた時間の中で、どれだけ自分がこの事業に関われるか、みたいなものを意識しています。
― ポップアップストア出店に関して大変だったことはありますか?
販売員さんとのコミュニケーションは大変だな、と感じています。
基本的にはメーカーの人間として話をするんですが、販売員さんは別にうちの社員ではなく、彼らなりの働き方のようなものがあるので、それに対してメーカーの人間だからといってなんでも頼みすぎてしまうのは良くないんですよね。
仕事の話以外のコミュニケーションだったり、販売員さんが話しやすい雰囲気を作ることが重要だな、と思っていて、何でも話していい空気を意識しています。
過去には結構厳しいことも言っていて、そのときには販売員さんにボイコットされたり、「山田さんとはやりたくない」と言われたこともありまして…。
その経験から、関係性がうまくいくかどうかが売上にも影響することを知り、山田さんのために1本でも多く売ってみようと思ってもらえるかどうかが肝だなと感じています。現場は販売員さんがすべてなので、彼らにどれだけ気持ちよく売り場にいていただけるかがポイントだなと思っています。
「メーカーの人」って言われるのは実際結構ショックですし(笑)
― SHOPCOUNTERを通してよかったところと課題点があれば教えてください。
SHOPCOUNTERさんは ご提案自体がうちに合うものを選んでくれるので助かっています。これまで大きな失敗もないですし…。
あとは、来場者数や周辺店舗の状況など、知りたいことに対して調査をしていただき、いろいろ聞いてもそれらに対して答えてくれるのはありがたいですね。
お取り組みを強化していきたいので、まずは僕らも実績を作っていきながら、強いディベロッパーに出店できればいいなと思っています。
理想で言うと、販売員さんの手配を弊社のような特殊な商材にも対応できるようにしていただけると良いなと思っています。実は傘という商材は特殊で、価格帯もバリエーションがあるので、その中で傘の知識を持っている人が少ないんです。かつ、アパレルと違って、基本1人に1本とか2本持つ程度なので、自然と学ぶことも少なく…。そのような人材をきちんと手配できれば嬉しいなと思っています。
― 今後の展望を教えてください。
ブランドとしては、例えばどっかのスポーツチームとかテーマパークなどとコラボレーションができたらいいなと思っています。
あとは、東京の方が考える一等地でプロモーションとポップアップをかけあわせた期間限定ショップを出すなど、挙げたらキリがないのですが…笑
さまざまに拡げながら、最終的に直営店を持つことを果たせたらいいなと思っています。
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