リアル店舗を出す際、多額の初期費用と家賃や人件費など毎月かかるランニングコストの負担が大きいことから二の足を踏むブランドも多いのではないでしょうか。 特に立地のいい物件ほど賃料が高く、コストを賄えるだけの売上をつくることができるかどうかの不安から出店を断念するケースも多々あります。
リアル店舗を出す際、多額の初期費用と家賃や人件費など毎月かかるランニングコストの負担が大きいことから二の足を踏むブランドも多いのではないでしょうか。
特に立地のいい物件ほど賃料が高く、コストを賄えるだけの売上をつくることができるかどうかの不安から出店を断念するケースも多々あります。
そこで今回は導入コストゼロでショールームをオープンし、年間売上を130%伸ばすことに成功したネット通販のワイシャツ専門店ozieの戦略について代表の柳田 敏正氏にお話を伺いました。
ozieはネット通販のワイシャツ専門店。
オリジナルのワイシャツを多品種少量生産で企画販売しています。
毎週新しい商品を投入し、ネット通販の強みを生かして常時500点という豊富な品揃えを実現しているのが特徴です。
2002年にオープンしてからECのみで展開してきたozieですが、2014年に六本木一丁目にショールームをオープンしたところ年間売上が130%アップ。
今回はozieショールームの成功の秘訣に迫ります。
▲今回お話を伺ったozie代表の柳田 敏正氏
ozieはECサイトをオープンしてから長らくECのみで販売していましたが、近年男性のファッションへの意識が高まっていることもあってサイズ感や生地の質感を確かめて購入したいというご要望を多々いただいてきました。
とはいえリアル店舗を出すためにはスペースの確保はもちろん、人件費も含めたランニングコストを賄えるだけの採算がとれることが前提となります。
まだこれから認知度を高めていきたいという状況の中で、出店に適している一等地の路面店舗をもつことは現実的ではないと思い出店方法を模索していました。
そこで「コストをかけることなくお客様に商品を体験してもらえるリアルの場」をもつために導入したのがオフィス併設型のショールームです。
オフィス移転のタイミングにあわせて、ほとんどコストをかけずにオープンしました。
▲ショールームの様子。無駄な装飾は省き、シンプルなつくりに。
まずは「駅から近い」ということを重視しました。
実際にozieのショールームは六本木一丁目駅から徒歩1分という立地です。
その代わりエリアはショッピングに適した繁華街エリアではなく、現在のショールームがある六本木を含め品川や田町、新橋などの「オフィス街」を中心に探しました。
これはオフィス街にある雑居ビルの上層階であれば安い賃料で借りることができるためコストを抑えることができるというのが大きな理由です。
すでにozieのことをご存知で購入を検討されている見込み顧客の方々をターゲットとしていましたので、駅からすぐの物件であれば雑居ビルの上層階でも十分に集客できると考えました。
もちろんオフィス街という立地とターゲット顧客であるサラリーマン層の相性のよさもあります。
実際にお昼休みを利用して立ち寄っていただいたり、急な来客でネクタイが必要になった方が購入に訪れてくださったりといった方も多々いらっしゃいます。
▲店内にずらりと並ぶシャツ。お客様が試着されたシャツは一度店頭から引き上げて工場でプレスしなおすという徹底ぶり。
はじめから「売上ゼロでも継続できる」ことを前提として仕組みづくりをしたので、売上などの目標は一切おいていません。
あえて売上の目標をおかないことでお客様の満足を追求する接客ができ、それが結果として売上につながっているように感じます。
唯一目標として掲げているのは「続けること」。
そのためにショールームのオープン時間も原則として就業時間内のみとしています。
最近は月に何度か土日のオープンも実施していますが、「スタッフの負担を増やさない」ようバランスをとりながら運営しています。
実はオープンして半年ほどは来店がない日が続くこともありましたが、ここ1年の間に1日2、3人ずつコンスタントに来店いただけるようになってきたのは地道にショールームを運営し続けてきたからだと思っています。
売上目標を掲げると多少スタッフに無理を強いてでもその目標を達成しようとしてしまいがちですが、私たちとしては直接的な売上を作ることよりも長くショールームを運営し続けることを重視しているため無理のない運営を心がけています。
»ショールームに来店したお客様の購買行動とは?など気になる後編はこちらから!
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