昨今、商業施設におけるポップアップストアのメリットが強く見出されてきています。今回はCOUNTERWORKSとして数回イベント利用させていただいているOOTEMORIについてインタビューしています。現在SHOPCOUNTERには掲載されてないものの、商業施設のスペース活用事例としてぜひ参考にしてみてください。
ポップアップストアのメリットが強まってきた昨今、SHOPCOUNTERにも数多くの商業施設のスペースを掲載いただいています。
今回は、商業施設の公開空地活用の事例として、OOTEMORIを担当している、東京建物株式会社の中井さまにお話を伺いました。
現在、SHOPCOUNTERには掲載されてないものの、COUNTERWORKSとして数回イベント利用させていただいているスペースです。
スペース活用の良い事例となっておりますので、参考にしていただければ幸いです。
― OOTEMORIのコンセプトや目的を教えてください。
ご利用いただいているスペースがあるOOTEMORIは、女性向けをターゲットにしたコンセプトを打ち出して開発されました。
OOTEMORIのある大手町タワーにはみずほ銀行さんの本店が入っており、歴史的にも金融の中心地であるため、周辺の店舗はだいたい男性のビジネスマンが好むような居酒屋が多かったんです。ただ、近年では働く人々も多様になり、外国の方も増えてきていますし、同時に女性の数も増えてきています。
そういうマーケットになってきているのであれば、「周辺にはない女性向けの施設にしていこう」として、例えば女性が仕事終わりに来てもらって気分を上げてもらう、というコンセプトでOOTEMORIは成り立っています。
また、OOTEMORIの近くには地下鉄5路線が通っていて、施設内にある連絡通路は1日6万人くらいの通行量があるなど、交通の結節点になっています。
このような当たり前にある場所を女性が集まりやすくする方向で賑わいをつくっていけば、エリア全体が盛り上がるのではと考えています。商業ビルは一人勝ちが難しいので、エリアの中で個性を出していくことがエリアにいい刺激になると考えて運営しています。
― 今回利用させていただいているスペースについて教えてください。
今回ご利用いただいているスペースを、我々は「プラザ」と呼んでいますが、ここは公開空地と定義されています。
施設として街の賑わいを作るなど近隣の方に有益な空間として活用される場所です。
公開空地は好き勝手に利用できるわけではなく、基本的には公益に帰するもののイベントなどに利用できる場所です。
大手町タワーの公開空地は他とは異なり、屋内にあるという特徴を持っています。屋外ですと、マルシェなどの開催が天候に左右されやすいですが、屋内ならその心配はありません。
また、プラザは“しゃれ街条例”によって通常の公開空地より活用しやすい場所で、制限が少ないので、比較的自由にイベントの開催が可能です。
―COUNTERWORKSとはいつからやり取りが始まったのですか?
COUNTERWORKSさんとはコロナが広がる以前からやり取りがあり、はじめはOOTEMORIの区画を含めて、御社であればコンセプトを立てつつ、ブッキングできるのではないか、という話をさせてもらっていました。
大きなきっかけが4月に実施したマスク・消毒用アルコールの販売イベントでした。
それらを販売する業者はいるが、販売する場所がない状況で機会を提供する公益性の高いものとして、実施に至りました。OOTEMORIのこの場所がうまく機能した感じがありましたね…。
基本的にはこのような公益性が高い・季節性のある企画を実施していて、これらはこの場所が周辺に対して、いい影響を与えられるものと考えています。
― コロナの影響によって方針の変化はありましたか?
コロナでは商業施設の売上が落ちこんでしまっていたため、我々としては商業施設をいかに盛り上げていくかが大事でした。
テナントさんもOOTEMORIという場所に対して、価値やポテンシャルを感じて出店いただいているので、「何ができるだろう」と、以前よりも強く考えるようになりましたね。
その一部として、「プラザから商業施設に人が流れるようなことができないか」という考えに至りました。今までプラザは休憩スペースとして利用されていて、持て余している感じがあったため活用方法を模索していたんです。
そこから実際のイベント開催を通して、全体的に減ってしまった人々をプラザにいかに集めてくるか、という方向で検討を進めています。
イベントを幾らか開催した結果でいうと、通路として直線的に人が移動していたものが、少し人がふわっと滞留するような感じになったと思います。
今後はイベントをやっている認知もしつつ、各路線へ通行する際のハブのような役割が作れればと考えています。
これまでイベントとしては、マスク・消毒アルコール販売→ファン・日傘の販売→陶器市とやらせていただいていますが、大きく効果が見えてくるのはこれからだと思っています。
ただ、通路であった場所とポップアップストアという形態がマッチしていることは間違いないと捉えています。
違った目線としては、これまで訪れなかったような客層が商業へ来てもらえるような、そのようなドアノック的な効果も期待していきたいです。
― COUNTERWOKRSとの取り組みの中で気づきがあれば教えてください。
ポップアップストアという業態に対して感銘を受けています。
いわゆる“催事”は、商業施設を飽きさせないためのもの、というイメージがありますが、ポップアップストアの場合は新たな店舗が回転している印象で、主体的な要素も強いのでは、と感じています。
ちょっと表現しにくいのですが、催事は目的性が強くなりにくいが、ポップアップストアは強い目的性を持たせることができる、という印象です。
ポップアップストアが魅力的に思うのは施設のMDに対するいい意味での異物感なので、本屋に行くとある強制的な出会いのような、「あの場所に行けばすごい出会いが見つかる」という場所にプラザもしていきたいです。
今開催している陶器市に関しては年齢性別関わらずお客さんが来ており、意外に40代や50代の方も多く訪れています。
昨今の外に出かけにくい状況で、「お店側が僕らの日常空間に来てくれた」という印象があります。閉塞感がある中においては刺激になりますし、それが故にのぞきたくなる部分もあるのだと思います。
プラザは通勤で使う場所であるからこそ、「普段日常的に利用する場所にお店がある」という普段あまり外出しづらい利用者の方々に安心感を与えてあげられているのでは、と想像しています。
― withコロナにおいて求められていることはなんだとお考えですか?
人の動きが多様化すると、ウイルスは拡散されやすくなると思うので、特定された場所にいろんなコンテンツを流し込んであげるような考え方が必要だと考えています。
そうすることで、経済活動の割にはコロナを拡散しにくい動線になっている環境が作れると思っています。
直近ではそういう考え方で、今利用されている方の需要をどのように満たしていけるか、という方向でも企画を考案しています。
― 今後どのような企画をやっていきたいですか?
これまでも季節性のあるイベントは開催しており、例えばクリスマスはテナントで入っていただいているお店にツリーなど出してもらうなど、商業チックな要素でのイベントはテナントさんとタッグを組んでやっています。
ただ、これを年中やるのは難しく、特に春夏秋におけるイベントはテナントさんだけと協業するのは難しいので、そこを一緒にCOUNTERWORKSさんとは良きパートナーとしてやっていきたいと考えています。
施設の魅力向上を目的に、その顔となるプラザをどう面白くしていくか、施設としても大手町に対してもいい場所となるようなイベント開催を考えていきたいです。
以前よりもこのプラザ活用のノウハウが蓄積された印象があるので、やりたいと思ったことを少しずつ実現していければと考えています。
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