消費者の購買行動において、オンラインとオフラインの境界線が曖昧になる中、新たな実店舗の役割として注目を集めているのが「ショールーミングストア」です。
本記事では、ショールーミングの概要や注目されている背景、ショールーミングストアのメリット、事例を解説します。
1.ショールーミングとは
2.ショールーミングが増加した時期と背景
3.ウェブルーミングとショールーミングの違い
4.ショールーミングストアのメリット
5.OMOを設計したポップアップストアの事例
ショールーミングとは、実店舗で商品を確認した後に、オンラインで店頭価格よりも安く購入しようとする消費者行動を指します。この行動パターンから派生した「ショールーミングストア」は、従来の小売店舗とは異なり、主に商品の展示や体験に特化した店舗形態です。
ショールーミングストアでは、顧客は商品を実際に見たり触れたりすることができますが、その場での購入は行いません。代わりに、店舗内に設置されたデジタルデバイスや顧客自身のスマートフォンを使用して、オンラインで注文を行います。
ショールーミングの消費者行動が増加し、ビジネスモデルとして注目されるようになったのは、2010年代後半からです。この背景には、主に以下の要因が挙げられます。
インターネットとスマートフォンの普及により、ECサイトでのショッピングが一般的になりました。
消費者は、いつでもどこでも簡単に商品を購入できるようになり、商品特性や状況により、実店舗とオンラインストアを使い分けるようになっていきました。
スマートフォンアプリやウェブサイトの発展により、消費者は簡単に商品の価格を比較できるようになりました。
実店舗で商品を確認し、その場でオンラインの最安値を探す行動が主流になっていきます。
2020年以降、新型コロナウイルスの感染拡大により、多くの消費者が実店舗での滞在時間を減らし、オンラインでの購入を選択するようになります。
一方で、商品を実際に確認したいというニーズは依然として存在し、この両者のバランスを取る形態としてショールーミングストアが注目されました。
ショールーミングは単なる消費者行動から、ビジネスモデルとしても確立されていきました。特にコロナ禍以降、オンラインとオフラインの融合が加速し、ショールーミングストアの重要性がさらに高まっています。
ショールーミングとよく比較されるのが「ウェブルーミング」です。ウェブルーミングとは、オンラインで商品の情報収集・比較検討を行ったうえで、実店舗で購入する消費者行動のことです。
ショールーミング | ウェブルーミング | |
消費行動の起点 | 実店舗(オフライン) | ウェブサイト(オンライン) |
行動プロセス | 実店舗で商品を確認 → オンラインで購入 | オンラインで商品情報を収集 → 実店舗で購入 |
消費者の心理 | 商品を直接確認してから、最安値で購入したい・自宅に届けてほしい | 商品を十分に調べてから、実物をみて購入したい・すぐに手に入れたい |
小売業者に求められる対応 | ・実店舗での体験価値向上・オンラインとの価格差縮小 | ・ウェブサイトの情報拡充・実店舗でのサービス向上 |
ショールーミングとウェブルーミングは、購買行動に内包された異なる消費者心理を表しています。小売業者は、両方の行動パターンを理解し、それぞれに適した戦略を立てることが重要です。特に、これらの行動パターンを相互に活用し、シームレスな顧客体験を提供することが求められています。
ショールーミングストアは、従来の小売店舗とは異なる特徴をもつことから、多くのメリットがあります。以下に主なメリットを挙げます。
必要最低限の商品展示で済むため、大規模な店舗スペースが不要です。
都心部や商業施設の一角など、比較的小さなスペースでも出店が可能なため、場所代(賃料)がリーズナブルになり、初期投資や運営コストを抑えることができます。
販売用の在庫を持つ必要がないため、在庫管理のコストと手間を大幅に削減できます。
また、購入はオンライン上で行われることから、レジ設備や金銭管理が不要になり、セキュリティリスクの軽減やスタッフの業務負担軽減につながります。
在庫・金銭管理の負担がないため、スタッフは接客や商品説明に集中できます。また、店頭での購入を強制されるというプレッシャーがないため、顧客はリラックスして商品を見たり試したりすることができます。
これにより、スタッフは押し売りの印象を与えることなく、丁寧な接客やアドバイスが行えるようになります。
ショールーミングストアの概念を活かし、オンラインとオフラインを統合させ、シームレスな顧客体験を目指すOMO(Online Merges with Offline)戦略を実践している企業が増えています。
以下、OMOを設計したポップアップストアの事例を紹介します。
「niaulab(似合うラボ)」は、ファッションECサイトである「ZOZOTOWN」初のリアル店舗として2022年12月に東京・表参道にオープンしました。服を売らない体験型のリアル店舗で、「試着室に飛び込む」というコンセプトのもと、自分に「似合う」ファッションを見つける機会を無料で提供しています。
アダストリアグループが展開するレディースファッションブランド「Andemiu」は、20代後半〜30代の働く女性に向け、オン・オフ楽しめるファッションを提案しています。AndemiuがNTTデータとコラボレーションし、2024年3月8日の国際女性デーに豊洲センタービルアネックスにてポップアップストアを開催しました。
「道後一会」は、愛媛県松山市の道後温泉エリアに2022年に開設された、地域の特産品を扱うショールーミングストアです。水口酒造がプロデュースしており、カフェバーの併設による憩いの場の提供を行っています。
今回ご紹介した事例の特徴は、それぞれの業界や地域の特性に合わせてショールーミングを取り入れ、独自の価値を創出していることです。
実店舗での体験価値を高めつつ、オンラインとの連携を強化することで、顧客に新しい購買体験を提供できており、ショールーミングを上手に活用した成功事例といえます。
ショールーミングは、急速に変化する小売業界において、実店舗の新たな価値を示す大切な概念です。
ショールーミングストアを成功させるためには、顧客のニーズや行動を深く理解し、それに応じた戦略を立てることが重要です。オンラインとオフラインの長所を組み合わせることで、顧客により豊かな購買体験を提供し、一貫したブランド体験を提供するための鍵として、ショールーミングストアの考え方は今後さらに注目を集めていくでしょう。
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