公開日:2020年6月8日
更新日:2020年12月15日

ファッションテックで生き残れ。日々進んでいくアパレル業界のイノベーション

話しかけるだけで操作できる家電など、ここ10年ほどで私たちの身の回りの物はテクノロジーによって大きな進歩を遂げました。伝統が重んじられているアパレル業界においてもその傾向は変わりません。ファッションにテクノロジーを取り入れた「ファッションテック」は、今や業界内のキーワードになりつつあります。

時代に取り残されないためにも、具体的な事例や市場の展望とあわせて「ファッションテック」の詳細を確認しておきましょう。

◆そもそもファッションテックって?

ファッションテックは「ファッション」と「テクノロジー」から成る造語です。アパレル業界において、商品の開発や流通・販売にIT技術を活用する動き全般のことを表しています。そのため一口にファッションテックと言っても、その言葉が指している範囲は広大です。

この記事ではわかりやすさを重視し、ファッションテックを「テクノロジーを使った新商品」と「商品を“売る(買う)”テクノロジー」の2つに大きく分けて解説します。それぞれのテクノロジーがアパレル業界に与えた影響と合わせて、以下で詳細を見ていきましょう。

◆ファッションテックはアパレル業界に大変革を起こした

テクノロジーを使った新商品は主に、「ウェアラブル端末」と呼ばれる、身につけるタイプのコンピューターの開発を指しています。ウェアラブル端末の代表的な例としては、時計本来の機能に加えてメッセージの送受信や健康管理も可能な腕時計・「スマートウォッチ」や、録画・録音機能を備えた眼鏡・「スマートグラス」が挙げられるでしょう。

従来は素材とデザインという2つの要素しかなかったアパレルに、「機能」という新しい評価軸をもたらした点が、テクノロジーを使った新商品の大きなポイントです。

もう一方の商品を“買う(売る)”テクノロジーは、通販や3D試着など、インターネットを通してアパレルを入手できる仕組み・サービスを指しています。

このテクノロジーの功績は、これまで私たちが持っていた「アパレルは店舗に行って買うもの」という固定概念を崩し、どこにいてもアパレルを手に入れられる環境を作り上げたこと。
スマートフォンアプリでの注文など今までになかった販売チャネルを開拓して、アパレル業界に大きな変化をもたらしました。

◆ファッションテック企業の事例

ファッションテックについての理解を深めるため、企業が実際に展開しているサービス事例を押さえておきましょう。

■テクノロジーを使った新商品

◇Focals

カナダのスタートアップ企業であるNorth社が開発した『Focals』は、デザイン性と機能性を両立したスマートグラスです。一見しただけでは普通の眼鏡にしか見えない自然な外見で、度の入ったレンズにも対応しています。

スマートフォンと連携することで、ニュースや受け取ったメッセージの内容、天気予報を表示させることができるほか、指輪型のコントローラーで簡単な操作も可能です。

◇FOSSIL(スマートウォッチ)

アメリカの時計メーカー・FOSSIL(フォッシル)は、アナログの腕時計だけでなくスマートウォッチの開発も行っています。

文字盤の部分がタッチパネルになっているモデルはもちろん、文字盤と針をそのままに心拍センサーや歩数計などを組み込んだハイブリッドタイプも販売。時計メーカーとしての強みを活かし、アナログとスマートウォッチの「いいところ取り」を実現しています。

■商品を売る(買う)新テクノロジー

◇Bodygram

シリコンバレー初の『Bodygram』は、スマートフォンのみで全身のサイズを確認できる採寸テクノロジーです。カメラで身体の写真を2枚撮影し、年齢・体重といった情報を入力するだけで採寸が完了します。

ユニクロを始めとしたアパレル企業は自社のアプリをBodygramと連携し、採寸の結果にあった服を購入できる仕組みを構築しています。

◇GAP:Dressing Room

『GAP:Dressing Room』は、アパレルメーカーのGAPが提供していたバーチャル試着アプリです。ボディサイズを入力するとそれに合わせた3Dマネキンが表示され、販売されている服の丈の長さやシルエットを確認できます。

服のイメージを写真よりも正確に捉えられるため、自宅にいながら実店舗に行ったような感覚でショッピングを楽しむことが可能です。

◇ユナイテッド・アローズ(通販サイト)

日本のセレクトショップ・ユナイテッド・アローズは、実店舗に加えて通販サイトでもアパレルの販売を行っています。

自社が展開している複数ブランドの商品をまとめて掲載しているほか、トップス・アウター・ボトムス・アクセサリーなどカテゴリ別の絞り込みも可能にすることで、実店舗にはない買い物体験を提供しています。

◇BASE Live

『BASE Live』はショップがライブ動画を配信し、それを見た視聴者がリアルタイムに商品を購入する、「ライブコマース」と呼ばれる形式のサービスです。2020年3月まで、BASE株式会社により運営されていました。

ライブコマースの特徴は、ライブ配信ならではの臨場感です。動画を通してリアルタイムに商品の魅力を伝えることで、視聴者の購買意欲をそそることができます。視聴者からの質問にその場ですぐ答えられるのも見逃せないポイントです。

◇メチャカリ(MECHAKARI)

『メチャカリ(MECHAKARI)』は月額制で好きなだけ服をレンタルできる、いわゆる「サブスクリプション」型のサービスです。

届く服は新品のみ、返却する際はクリーニング不要、手元の服を返却すれば一ヶ月に借りられる数は無制限……など仕組みを工夫することで、「服のレンタル」に付きまといがちなマイナスイメージを払拭することに成功しています。

◆なぜファッションテックのトレンドを押さえる必要があるのか

ここまでファッションテックの概要や事例をご紹介してきましたが、これらを確認しておくことでどんなメリットがあるのでしょうか? 結論から言えば、「成長を続けるファッションテック業界でチャンスを掴める確率が高くなる」のが一番大きなメリットです。

そもそもアパレル業界は2018年時点で9兆円と、非常に大きな市場を持っています。通販をはじめとしたファッションテックが普及していくにつれ、市場全体に占めるファッションテック業界の割合は今後も増加していくでしょう。つまり、アパレルを買う人の数が変わらないのであれば、インターネットでの取引が増えた分だけ自然とファッションテック業界が成長していくのです。

またその際に使われるのがクレジットカードや電子マネーであれば、現金での買い物よりも購入のハードルは低くなります。ファッションテック業界はビジネスチャンスが多く転がっている「宝の山」と言えるでしょう。

◆ファッションテック業界はスタートアップ企業の起業家にとっても魅力的

少ない資本で事業をはじめるスタートアップ起業家にとっても、ファッションテックは見逃すことのできない業界です。

ご紹介した事例からもわかるとおり、ファッションテック業界で成功するためになによりも重要なのは「アイディア」。消費者に受け入れられるサービスさえ提供できれば、下剋上を起こすのも夢ではありません。

テクノロジーが日々急速に進歩していることも考えると、ファッションテックはスピーディーに事業の舵取りをできるスタートアップ企業にうってつけなのです。

◆今後も成長が続くファッションテック業界に要注目!

この数年で急速に発展し、今後も成長が続くと考えられているファッションテック。消費者にとっても起業家にとっても、しばらく目が離せない業界となるでしょう。皆さんも最新のトレンドをチェックし、ぜひチャンスを掴んでください。