「『西友が身近にあるしあわせ』をめざして」を使命として掲げ、約240店舗を展開する株式会社西友(以下、西友)。同社が2024年3月より導入した商業施設向けリーシングDXシステム「ショップカウンター エンタープライズ」は、これまで西友が"受け身"で対応していた催事リーシングのあり方を大きく変えつつあります。ショップカウンター エンタープライズの導入により、実際にどんな業務改善と収益向上があり、運用現場ではどんな苦労と成果があったのでしょうか──。西友・不動産開発本部の石島氏と髙山氏、そして導入支援を担当したカウンターワークス・長谷川による鼎談形式でお届けします。
株式会社西友
石島 健雄 不動産開発本部 不動産部 テナントマネジメント ダイレクター
髙山 翔平 不動産開発本部 不動産部 テナントマネジメント1G
株式会社カウンターワークス
長谷川 佑樹 Enterprise事業部 カスタマーサクセス
――まずは、西友の事業概要とお二人の仕事内容、今回ショップカウンター エンタープライズを導入された背景についてお教えください。
石島:西友は食品、衣料、住居用品を総合的に扱う小売業ですが、現在は特に食品に重点を置いています。よい品を適正な値段で提供できることを第一に考えて、お客様に「身近にあってよかった」と感じていただけるスーパーを目指しています。吉祥寺店のようにドン・キホーテといった大型テナントとも共存しながら、食品中心のモデル店舗としての役割を果たしている店舗もあれば、ザ・モール仙台長町店のようにショッピングモールとしての役割を果たしている店舗もあります。
その中で、私は主にテナントの契約管理、また日常のテナント運営の維持管理をしているチームの統括をしています。
髙山:私は石島のチームに所属しており、普段はテナントの契約、運営管理に加えて催事の窓口も担当しております。
本州では約240店舗あり、そのうち65店舗がショップカウンター エンタープライズを導入していますが、私含めて8名で全店舗の管理業務を担っています。
――それはかなり大変ですね。
髙山:はい。今後も人数を単純に増やすことなく、ショップカウンター エンタープライズを活用しながらより効率的な運営をやっていくということになるかと思います。
――ショップカウンター エンタープライズ導入の経緯について詳しく教えてください。
石島:導入前は、催事業務に積極的に取り組んでいたとは言えませんでした。限られた仲介業者にほぼ一任しており、申し込みがあれば受けるという受け身の体制で「いつもの出店業者、いつもの内容」で変わり映えがしないという状況でした。ですから最初にカウンターワークスから話を聞いたときに「面白い」と思いましたね。
――どのあたりに面白さを感じられましたか?
髙山:一般の方の目に触れる機会も出てくるという意味では、今までにないような、我々の固定観念では思いつかないような目新しいテナントからお申し込みいただけるんじゃないか。それはお店への来店動機に繋がってくるかもしれませんし、将来的に催事から通常の区画への常設出店にも結びつけられたりするかなと期待をしました。
石島:それに加えて、この催事業務をよりシステマティックにするには、人が替わったら機能しないという仕組みはもう脱却していかなければいけない。誰が来ても分かりやすいようなやり方にしなければという気持ちもずっと持っていましたので、その点でも魅力を感じました。
――実際に導入するまでのご苦労について伺わせてください。
石島:まず、新たなシステムを導入することは、セキュリティやガバナンスの観点からも社内でクリアするのが大変でした。システム、広報、マーケティング部署などそれぞれ専門知識が違うため、様々な部署に対して説明をするには時間と労力が掛かりましたね。
さらに導入に向けての店舗選定も少々苦労しました。催事に消極的な店舗や、やりたくてもスペースがないという店舗もあります。ですので場所の選定、サイトへの掲載の仕方、訴求など、実際に作業を始めるまでにはカウンターワークスにも協力いただきつつ、仕組みを変えながら進めていったという実感です。
――現場での実感について、高山さんはいかがでしょうか?
髙山:導入まではシステム部と何回も協議を重ねましたね。また現場視点の話で言うと、導入店舗が決まってからも、募集サイトに掲載する店舗の催事スペースの写真がうまく撮れなくて苦労しました。各店舗の店長に写真撮影を依頼したのですが、なかなか納得のいく写真が集まらず、最終的には私たちが直接撮影に行ったり、担当の長谷川さんに撮影をお願いしたこともありました。
長谷川:確かに導入初期の30店舗から65店舗へ掲載を拡大させた2024年の年末頃にそういった動き方をしてましたね。
髙山:写真の撮り方のマニュアルをもっと現場で徹底できればよかったかもしれません。店舗に撮ってもらう時にこの角度から撮った方がいいとか、全体を写した方がいいとかわかっているとよかったのかな。申し込んでくる方たちの視覚にどう訴えればいいか、サイトに掲載時のイメージをあらかじめ持つというのは各担当者にとって簡単なことではないですから。
――実際導入してみていかがでしたか?率直な感想を教えてください。
石島:いろいろなテナントとコンタクトができるようになって、取引先のバラエティが広がりました。今後もっと広がることを期待しています。食物販系はもっと問い合わせが増えるとうれしいですね。
髙山:管理画面上で「商談中/契約済/オンライン同意済」などフィルターがかけられて進捗状況が可視化されるので、非常に管理がしやすいです。チーム内での情報共有もスムーズになりました。以前は紙での管理でしたから、処理漏れや対応遅れがどうしても発生していたんです。
石島:当初慣れない部分もありましたが、長谷川さんがしっかりチェックをして、仕組みを整えたことで、店舗側への案内やテナントとの連絡も漏れなく行えるようになりましたね。テナントからもある程度、出店までのサイクルが認知がされてきて、それに合わせて余裕をもった申込をいただいているのかなと思います。問い合わせがあった時点でカレンダー上の空き日程がブロックされるので、同じ日程でのダブりなどもなくなりました。
――催事収入の変化はいかがでしょうか?
石島:導入店舗は当初30店舗だったのが、いまは65店舗にまで増えましたので、催事収入は右肩上がりに増加しています。なかには、一ヶ月のうち60~70%が催事で埋まる店舗も出てきました。もちろん、そうではない店もありますから全体的にどうやってうまく運用していくべきかという課題感は常にあります。
長谷川:弊社の集計によれば、お問い合わせが発生してから成約までの率は以前の50%から80%ほどにまで改善しており、現場の皆さんがうまくご活用いただいているのを日に日に実感しています。
――ショップカウンター エンタープライズ導入によって催事に消極的だった店舗に変化はありましたか?
石島:このような実績をみて、これまで絶対に催事の受け入れをやらなかったであろう比較的小規模な店舗が我々からの「やってみませんか?」という提案に対しても、協力的にスペースを募集サイトに登録し、催事を受け付けてくれるようになっています。いざ、催事スペースで出店があるとお客様の反応も「何をやっているんだろう?」となる。お客様から「今度いつ出店するんですか?」といったポジティブな声が寄せられるケースもあり、来店動機のひとつになっていると感じますね。
髙山:特にたい焼きやたこ焼きといった食物販系の催事は集客効果も高く、店舗やお客様双方に喜ばれていますよ。リピート出店も生まれていて、販促面でも良い循環が生まれつつあります。
※生成AIにて一部加工した画像です
――導入後の課題はどのように感じられていますか?
石島:はい。催事の問い合わせ件数が増加しているということで、その分、当然工数も増えています。現場の業務効率をここからさらにどう高めるかは引き続きの課題です。
――今後、ショップカウンター エンタープライズをどのように活用していきたいとお考えですか?
石島:最終的には、全店でショップカウンター エンタープライズを導入したいと考えています。数字の面だけで言うと想定よりもずっといい状況で来ていると実感をしています。ただ、数だけ増やして手が回らないという状況は避けたいので、効率的な運用体制を確立してからの段階的な拡大を目指しています。また、将来的には、常設区画の紹介などにも使っていければと思っています。
髙山:今後は、重複作業を省けるよう、たとえば日数を選択したら自動で催事の料金が出るなど、より自動化された機能が増えるといいですね。作業がシンプルになればなるほど引継ぎもスムーズにいき、誰でもすぐに作業ができると思いますのでそうなれば嬉しいです。マニュアル化やUI改善も含めて、誰でも使いやすい設計を期待しています。
また、ショップカウンター エンタープライズ導入をきっかけにして、新たなテナントとかなりコミュニケーションを取る機会が増えて、いろいろな選択肢が出てきました。取引先も増えてくるというところは今後を考える上でもプラスの要素かなと思っています。
石島:西友は、食品スーパーを母体にして集客を上げていく、テナントも集客効果を上げていく、お互いに相乗効果があるような形で施設全体が活性化するよう取り組んでいきたいですね。
――最後に、カウンターワークスや長谷川についてご評価いただける点があれば教えてください。
石島:長谷川さんには、本当によくサポートしていただいています。かなりスピード感を持って動いていただいているので、運用も整備されてきました。まだまだ改善点はありますが、日々の対応の丁寧さに感謝しています。
髙山:価格設定の改定時などにも、こちらの提案に対してアドバイスをいただけて、非常にありがたいです。今後も一緒に改善を重ねて、より良い運用にしていければと思います。
長谷川:この1年間はまずは収益を伸ばしましょうということでやって来ました。次のフェーズは、効率化。これはシステムの開発も含めて、貴社にあった形でのフローの改善をやっていきましょう。さらに、今までは収益目線の催事にコンテンツを寄せていましたが、これからは、食物販用の受け入れプランを作るなどもう一工夫する余地はあるかなと思います。オペレーションが大変にならないように、手前で安定基盤をしっかり作ってからそちらのフェーズに移行していきましょう!
石島:シンプルに効率化を考えて、使わない機能は消し、必要なモノだけ残して混乱しないようにしながら、出来ることはどんどん取り入れてやっていきたいですね。
ひばりが丘団地店の催事スペース
――西友にフィットしたショップカウンター エンタープライズにどんどん進化して、ますます可能性が広がりそうですね!本日は、ありがとうございました。