リーシング業務を劇的に改善し、エリアの活性化を目指す京王SCクリエイションの取り組み

株式会社京王SCクリエイションは、2024年7月に京王電鉄から分社化し、カウンターワークスの「ショップカウンター エンタープライズ」を導入。9月より運用を開始しています。分社化の背景や「ショップカウンター エンタープライズ」導入後の効果などについて伺いました。

株式会社京王SCクリエイション
山路 直 営業推進部 聖蹟桜ヶ丘事務所 京王聖蹟桜ヶ丘SC・京王高幡SC・京王多摩センターSC支配人
大塚 捷人 営業推進部 聖蹟桜ヶ丘事務所 京王聖蹟桜ヶ丘SC・京王高幡SC・京王多摩センターSCサブマネージャー

株式会社カウンターワークス
長谷川 佑樹 Enterprise事業部 カスタマーサクセス

■エリアを活性化し、サスティナブルコミュニティを創っていく

―京王SCクリエイションは、2024年4月に設立され、7月に京王電鉄から分社化・事業開始となったとのことですね。その経緯からお教えください。

山路:元々は京王電鉄・開発事業本部内の一部署であるSC営業部が沿線のショッピングセンターの運営を行っておりました。京王聖蹟桜ヶ丘ショッピングセンターを皮切りに、トリエ京王調布、キラリナ京王吉祥寺と、近年は管理する物件数が増えてきた一方で、京王電鉄内でのジョブローテーションにより、地元(※)の方との交流や、テナントさんと培った人間関係が途切れてしまう・運営のノウハウがうまく承継されていかないという課題がありました。

また新宿の京王モールや、高架下やリトナードなどの物件は異なるグループ会社が運営していたこともあり、テナントさんからは、どこが窓口なのか誰が運営しているのかわかりづらいというお声も頂戴しておりました。これらの課題を解決するために、沿線の商業施設を一括で管理する新会社・株式会社京王SCクリエイションを2024年4月に設立、2024年7月に事業を開始いたしました。

SCは、もちろんショッピングセンターの略でもありますが、地元の方々と共にサスティナブルなコミュニティを創っていきたいという想いから、京王SCクリエイションという会社名となりました。今後は商業専門人材としてプロパーの社員採用・育成を行い、地元の皆様との連携を深め、より一層魅力的な商業施設となるよう励んでいきたいと考えています。

※地元=現在居住・往来していない方も含め、その場所に対して想いを馳せている方々も巻き込みたいという考えから「地域」ではなく「地元」と表現しています

―その地元との連携・取組み内容についてもう少し詳しく教えてください。

山路:会社名に込めた想いにもある通り、ただショッピングをする場所を運営している・開発しているみたいな会社ではいけないと考えています。

テナント構成については一見すると一般的なショッピングセンターと大きく変わりはありませんが、日々のプロモーションやイベントに対して、地元の皆様のお力をお借りしています。例えば、地元の学生さんにイベントの企画段階から入ってもらって内容を詰め、当日は授業の一環として一緒にイベント運営するといった取り組みです。

定期的に開催しているビールまつりというイベントでは、大学生が自らショッピングセンターでホップを育成し収穫をしてくれています。また、ビールの味・副原料からラベルデザインまでも一緒に決め、実際に醸造まで共に実施しています。「私」や「私の友達」など主語は無数にありますが「私(私の〇〇)が△△をしているショッピングセンター」のように、この施設を「自分ごと」として捉えてもらえるような取り組みを意識しております。

―地元愛には確実につながりそうですね。

大塚:はい。地元との連携というのはかなり大きな要素です。ショッピングセンター単体で収益をしっかりとあげないといけないのはもちろんですが、弊社はすぐに利益に繋がらなくても、地元や京王グループ各社も含む沿線への波及効果があれば、信頼とか愛着といったロイヤルティ向上に寄与し、最終的には施設の売上にも返ってくるという考え方が根底にあります。分社化によって商業施設運営の効率化だけを求められているわけではなく、そこは弊社の良い文化かなと思っています。

―ポップアップ、常設含めて出店する側から見ての施設の魅力はどのように捉えていますか?

大塚:そうですね。弊社の施設はほとんどが生活密着型です。例えば同じ電鉄系のデベロッパーと比較しても、京王電鉄は駅間距離が短い分、ある程度駅をご利用になる方が分散をしますので、より頻度高くご利用いただけることを目指した生活密着型のショッピングセンターにならざるを得ない部分もあり、MDとしても意識をしています。

故に、売上の波が少ない、いい意味で安定している施設が多く、長く地に足をつけて商売していただくには良い沿線なのではないでしょうか。テナントさんからも非常に商売がやりやすいとご評価いただいています。実際、テナントさんの入れ替わりも少なくて、京王聖蹟桜ヶ丘ショッピングセンターの全テナントの内、約30店舗は、1986年の開店当時から変わらずご出店いただいているんですよ。

京王聖蹟桜ヶ丘ショッピングセンター

―リーシングでのチーム構成や編成の特徴について、教えてください。

山路:京王線沿線に複数の施設がある中で、それぞれの担当者が館ごとにリーシングをしています。施設の特徴や、施設を利用されるお客様を一番よく知っている担当者自身がリーシングをすることでお客様・テナントさんの期待にも応えられると思いますし、またやりがいがあると思うんです。

うちの事務所では聖蹟桜ヶ丘、高幡不動、多摩センターの3つの区画数が合計200ぐらいありますが、年齢も性別もバラバラの8人で担当しています。その8人はリーシングだけでなく、自分の担当するフロアがあって、日々店長とコミュニケーションをとったり、また販促担当も兼ねているスタッフはイベントの企画の打合せをしたり。テナントさんのES(従業員満足度)を考えるテナント会の担当を兼ねているメンバーもいますので、リーシング担当というよりは、上記3施設の営業面に関わることを8人で担っているという状況ですね。

情報の一元化・可視化、さらに業務のデジタル化にショップカウンター エンタープライズの魅力を見る

―弊社のショップカウンター エンタープライズを利用しようと考えたのは、どういう経緯だったのでしょうか?

山路:単に区画を埋めるということで言えば、有難いことに店舗の入れ替え自体が少ないですし、自分たちでも出来てしまいます。ただ、そこに個性を出していくためには、マンパワーや時間などリソースが必要だなということを大いに感じていました。

例えばですが、食のお店を探そう!となったとして、この8人が日常業務を兼務しながらリーシングの情報も仕入れて、「美味しいけれども路地裏でひっそり商売している知られざるお店」を探してくるってなかなか難しいですよね。個性を出したり、地元に根ざしたリーシングをしていくにはやはりマンパワーが足りていないなと。

もう一点、商業施設運営会社としてのシステムが整ってないというのは弊社の課題であると感じていました。ショップカウンター エンタープライズを導入する前は、それぞれがテナントさんへ商談に行って、帰社後Wordでその日の報告内容を記載して、サーバーへ保管していました。そのルールもあるようで統一がなかなかしきれておらず、例えばファイル名の付け方が違うので後からきちんと検索ができない…という状況でしたね(笑)。仮にこのような課題を解決したいとシステム導入の提案をするにしても、従来の電鉄直営方式では3~4年でジョブローテーションをしてしまうメンバーがほとんどでしたので、業務内容や課題がわかってきた頃に異動してしまうというジレンマがありました。最後までなかなかプロジェクトをやり遂げられる環境になっていなかったかなと。

ショップカウンター エンタープライズについては、導入によりいままで以上に私達もまだまだ発掘しきれていない出店候補者様からのオファーをいただけるのではという期待感、そしてポップアップ出店契約業務やリーシング情報の共有、定借も含めた契約タスクの管理などの面において大きく業務効率化が図れるのではと感じたと共に、既に他デベロッパー様での導入実績もあるため、要件定義から導入運用までが短期間で可能であった点は決断する際に大きなポイントとなりました。

―今回ショップカウンター エンタープライズをご導入いただく上での一番の評価ポイントは何だったのでしょうか?

山路:例えば「新店の契約業務」のという項目を作っておけば、新店と契約する際にやらなければいけないタスクリストが自動で出てきます。またその進捗管理を個店毎に確認・チェックでき、担当者以外のメンバーもその状況を確認することができます。いちいち口頭で教えたり共有していたものが、誰もがわかるようにデジタル化できるというところは一番の魅力だと思いました。

実は以前一度ショップカウンター エンタープライズをご提案いただいたことはあったのですが、そのときはまだ分社化するタイミングよりもだいぶ前で、かつ機能面でまだ不足しているのではと感じる部分がありました。ただ、先行して導入されていた某商業施設の懇意にしていただいてる方から改めて勧められたこともあり、お打合せをしたところ、当時よりもサービス内容が進化しており、一気にコトが進みました。

―業界全体で横のつながりがあるんですね。サブマネージャーとして現場により近い立場の大塚様は、初めてショップカウンター エンタープライズの導入を聞いたときにはどのように感じられましたか?

大塚:導入に関して一番魅力に感じたポイントはオンライン同意書ですね。いままでの契約は、紙ベースでの契約だったため双方が捺印するために郵送するなど、やり取りが煩雑な部分が多かったのですが、入店までの確認事項・契約まで全てオンラインで完結する。これが導入されれば、他の業務や今までできなかったことに集中できると感じて、かなりいい取り組みだなと思いました。

DX化で月70時間の業務削減に繋がり、新たな企画を考える時間が生まれた

―導入に関しては、どの程度準備期間があったのでしょう?

長谷川:月から3ヵ月ほど準備期間がありました。ほかの導入企業ですと準備期間は1ヵ月程度のところも多いですが、それに比べてゆとりあるスケジュールだったと思います。週1でミーティングに皆さんに出席いただいて進めていくことができました。

大塚:自分はプロジェクトの途中から参加したため勉強不足なところもあって、前提条件を知らなかったりしたのですが「そもそもこれって何でしたっけ?」と長谷川さんに都度聞きながら進めることができました。長谷川さんが常に道しるべとなってくださり、それに向かって何をいつまでにやればいいかをはっきり明示してくれるのでとてもやりやすかったです。

―長谷川さんからみて、京王SCクリエイションの印象はいかがでしたか?

長谷川:テナントさんのことをよく考えてらっしゃるんだなというのは強く感じました。接する担当者皆さんそうだったので、それが京王SCクリエイション様のカラーであり、強みにも繋がっているんだと思います。

カウンターワークスのEnterprise事業部でカスタマーサクセスを担当する長谷川

―導入してみて半年となりますが効果についてはいかがでしょうか?

山路:吉祥寺事務所に所属しながらも笹塚と下北沢を担当しているスタッフのケースになりますが、そのスタッフは笹塚と下北沢にいる時間が多く、双方の捺印ならびに郵送や書面の確認をするための物理的な移動時間がなくなっただけことが非常に大きかったようですね。催事の運営・契約業務のみでも毎月70時間程度の業務削減に繋がったそうです。

―大塚さんはいかがですか?

大塚:初期段階のお問い合わせ対応や、その都度現地に行ってのご案内も少なくなったので、かなり時間短縮になっています。催事店舗様の入店から契約までの業務だけでも大体月20時間くらいは減っているでしょうか。

山路:経理でいえば、催事の請求書も入金の問い合わせもバラバラだったのが一本化されて消し込み作業が楽になりましたね。売上・賃料を確認し、請求書を先方へ発行・郵送し、また期日には着金確認をして……という作業が1件当たり少なくとも10〜15分かかっていましたから、先述した事例なども合わせるとトータルで月100時間以上は減っているんじゃないでしょうか。

やり取りが増えるとどうしても請求や着金確認の漏れなどが出てきますが、それがなくなったという声が聞かれます。あとから「請求漏れがありました」みたいな連絡をするのは時間がとられるだけではなく精神的なストレスにもつながりますから、そういうことがなくなった効果は非常に大きいですね。

日々仕事に追われている中、いわゆる作業やルーチン的な時間が削減されたことで、何をすべきか・何をしていくかなどを考える、まさにクリエイティブな時間ができたのはとても良いことだと思っています。

ショップカウンター エンタープライズをもっと使いこなし、さらに劇的にリーシングを変えていく

―今後、ショップカウンター エンタープライズを上手く活用するための計画であったり、弊社への改善要望がありましたら教えてください。

山路:一部のメンバーはまだ十分使いこなせていないため、まずはシステム自体を社内でしっかりと浸透させていき、一層の情報の連携を図ることで、これから先、入社したり着任したりするであろう将来のメンバー達に役立つ土台が築いていけるのかなと思っています。

長谷川:催事関連の工数削減が進み、効率的な運用ができるようになってきているので、あとは常設の管理面でもう少し商談などの記録を共有できる状態にできるといいですよね。来期以降は催事のボリュームをさらに増やしていく。施設の数も、単純稼働率という意味でも、ボリュームアップしていくためにどういう募集サイトにしていくかというところが、まだこれからですかね。

山路:サイトに載せている施設数・区画をもっと増やし、「京王線沿線で何かやりたいときは、このサイトに行けばどこでイベントが開催出来るかがすぐにわかる」というような形に早くしたいです。

長谷川:例えば、駅の売店の跡地とか活用しきれてないところを募集できないかといった協議は進めていますが、さらに新宿・渋谷など集客力ある施設も含めて載せるようにしていきたいです。

山路:もっとこのシステムを活用してできること、我々も理解しきれていない機能があると思うので、カウンターワークスさんには悩み相談会みたいなものを定期的に開いてもらえると嬉しいですね。

長谷川:はい。今ある機能をしっかりと弊社からお伝えしていくことも非常に大事だと考えています。その上で今はないけれども、これからこういう機能があったらリーシング業務が劇的に変わっていくぞみたいな、何か大きなテーマの話を一緒に議論できたら僕はすごく嬉しいなと思っています!

―京王SCクリエイションが、未来をはぐくむコミュニティをしっかりと醸成していく。そのお手伝いをカウンターワークスがしっかりと伴走していきたいですね。本日はありがとうございました!

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