商業施設向けリーシングDXシステム「SHOPCOUNTER Enterprise」(以下SCE)を導入いただいた企業様に、それまでにどのような課題やニーズを持たれ、SCEのどういった点を評価いただき導入に至ったのか。また今後どういった変化に期待するのか、JR九州駅ビルホールディングス株式会社の森様に、担当の太田代・松倉とともにお話を伺いました。
JR九州駅ビルホールディングス株式会社 営業戦略部 営業支援課チーフ 森 聖弥
―まず、御社の事業概要および施設をご紹介ください。
森:JR九州駅ビルホールディングスは、九州エリアの各拠点にグループ会社を持っています。7つある大型駅ビル「アミュプラザ」、そして中小型駅ビル「えきマチ1丁目」の計8社です。
各グループ会社がそれぞれ運営管理からポップアップストアのテナント誘致などを実施しており、我々ホールディングスは、その8つのグループ会社の経営指導がメインになります。私が所属する営業戦略部はグループ会社共通で実施する企画・プロジェクトの推進を主に行っています。今回、スケールメリットを生かしたSaaSとしてSHOPCOUNTER Enterprise(以下SCE)の導入を決めました。
―最終的に導入に至るまでの経緯について、きっかけから教えてください。
カウンターワークス Enterprise事業部 セールス担当 太田代:僕が以前、鹿児島のあるテナントを担当していたときに、森さんが「アミュプラザ鹿児島」にいらっしゃったので、お付き合いは3年前からになります。
森:そうそう。当時はテナント側のセールス担当者として太田代さんとお付き合いさせていただいていましたね。当時、ポップアップストアの出店支援プラットフォームの「SHOPCOUNTER」をご紹介いただきましたが、その当時はまだSCE認識してませんでした。ホールディングスに異動となり、御社の別の担当者とちょうど1年前ぐらいから複数回ミーティングを重ねたうえで、我々が今まで感じていた課題をSCEでかなり改善されるなと、大変魅力的に感じたんです。
―ホールディングス側あるいは8つのグループ会社が抱えていた課題やニーズはどのようなものだったのでしょうか?
森:ポップアップストアについての課題は大きくリーシング面と管理面の2つあります。リーシング面での課題は3つありました。
1つ目はD2Cブランドなどテナント候補との接点が、博多以外の「アミュプラザ」ではなかなか見つからないということ。各担当は、SNSなどを使って様々な方法でアプローチをかけていたのですが……。
次に優良テナントの水平展開というのができていない。例えば博多で集客もあり売り上げも作っていただいたテナントの出店が博多以外に広がっていかない。担当同士の横の繋がりがあまりなかったというところが課題でしたね。
3つ目は、テナントが固定化してしまっているということです。コロナ禍でその影響がかなり進んでしまったのは致し方なかった部分はありますが、いつ行っても同じようなテナントばかりですと、お客さまにとっては新鮮味に欠けたポップアップになってしまいます。
―今の3つの課題感は、グループ8社の共通認識としてあったのでしょうか?
森:我々ホールディングスと各現場では課題認識の差がありました。現場ではテナント候補との接点が見つからないであったり、固定化しているといった課題は認識しているものの、水平展開という課題までは認識できていませんでした。各社の担当者ベースとなると、そこまでの視点は持てなかったんですね。
太田代:森さんは、鹿児島でポップアップストアのリーシングも担当されてからホールディングスに異動されたんですよね。そのため、現場の課題をふまえた上で全体を俯瞰する視点を持ち、問題点を的確に把握してSCEの導入へ協力的に動いてくれました。そこは我々がご提案させていただく中で、大変なアドバンテージとなりました。
―決定に至るまでに他社のツールで比較検討していたようなものはありましたか? SCE導入の決め手は何だったでしょうか?
森:ポップアップの募集から管理まで一括で、SCEと同レベルで展開されているSaaSは他にはないという認識です。実は我々も、テナント候補との繋がりを持っておきたいと考えて、自社で簡易的な問い合わせフォームは作ってはいました。それにより、今までお付き合いがなかったテナントとの接点にはなりましたが、その後の管理面で言うと、結局Excel等の管理で終わっていたんです。ポップアップに関しては、1社最低2名から5名ぐらいでリーシングを運用していたので、5名となるとExcelでの管理では限界がありますね……。
経理システムは独自に導入したこともありますが、アップデートしようにも、費用も工数もかかってくる。SCEでは随時アップデートしてくれるのが大きな魅力です。
さらに、上長の視点でいえば、今までは、誰がどのテナントと話をしていて、手続きがどこまで進んでいるかという進捗状況が担当者の報告ベースでしかなかったので、漏れやバッティングなど人的ミスの可能性もありましたし、他のグループ会社との水平展開まで進まないんです。その部分がSCEで改善できると考えました。
SCEの評価ポイントでいえば、リーシング面ばかりではなく管理面もかなり魅力的だったことが、導入の決め手となりました。
―導入は、社内ではスムーズに決まったのでしょうか?
森:ホールディングの社長は、アナログのものは全てなくしていこうという方針なんです。ですから、SCEの導入によって業務のDX化がかなり進むことを説明すると「やったらいい」と前向きに言ってくれたのですが、グループ会社8社の決裁権は各社にあるので、その合意形成を取るというところでは苦労をしました。各社の足並みがそろっていたわけではなく、賛成する会社のみで始めようかという意見もありましたが、それでは「8社での情報共有」という我々の最終目標が、達成できない。
各社の部長・課長に対して、どれだけSCEというSaaSを導入することで課題が解決できるかというところは、私だけではなくカウンターワークスの方々も一緒に地道に根気よく説明をしてもらいました。
グループ会社間で情報共有ができていないという課題は先ほど言いましたが、実は各社内部の課題でもありました。担当が変わると引き継ぎがなく、ゼロからテナントを開拓するといったことが常態化し、せっかくのテナント情報という財産が継承されていない。そこはちゃんと変えていかないといけないよねと説得を重ね、最終的には8社合意に至りました。
―リーシングまわりの業務のDX化による、会社の収益のインパクトはかなり大きいのでしょうか?
森:そうですね。我々も具体的な数字としてはまだ特定できていないところではありますが、初めてポップアップに出店するテナントとのやり取りって、かなり多いんです。今回のSCEの導入で、そこが相当システマティックに効率化されるので、収益インパクトはかなり大きいのかなと期待しています。
我々ホールディングスとしては、DX化によって圧倒的に減る各社の業務量をリーシングの時間に注力してほしいと望んでいます。もう一つ期待するところは、グループ内での情報共有ですね。まずはスモールスタートで社員各自にこのシステムを理解してもらって、触ってもらいたい。ホールディングスとしては、このシステムや新しく作るテナント募集サイトを重点的にPRしていこうと考えています。サイトのPV数や、各社の作業状況を管理しつつ、定量的な目標を立てていきたいですね。
―松倉さん。太田代さん。今までのお話を聞いていて、いかがですか? 弊社としてどう期待にこたえていきますか?
カウンターワークス Enterprise事業部 カスタマーサクセス担当 松倉:はい! まずはテナントからの申し込みを獲得できるよう、九州駅ビルホールディングスさんの施設の魅力や、区画の魅力を伝えられるような募集サイトを作っていきたいですね。
九州駅ビルホールディングスさんのようにグループ会社ごとでルールまで違う進め方をしているところは私たちにとって初めてなので、これまでの導入企業とは違う大きなチャレンジとなります。その中でどれだけホールディングスさんの目標である水平展開というところに向けて、システム、運用ルール含めて近づいていけるか、一番気合を入れているところです。
太田代:そうですね。8社各社がこのSCEを導入して「情報共有ができ、水平展開をし、知見の蓄積ができるようになってよかったよね」と言い合う未来をずっと想像しながらやっています。そこはリーシングにおける基盤部分にもなり得ると思うので、今回の事例をやりきったら、九州駅ビルホールディングスさんはもちろん、カウンターワークスにとってもいい未来が待っているんじゃないかなと、個人的には強く思っています。
―導入以降の展開について、イメージをお持ちでしたら教えてください。
森:8社あるが故に何かしら課題はこれからも出てくると思うので、カウンターワークスさんと定例で振り返りを行い、改善したい部分は率直に相談をさせていただいて、いろいろアップデートしていければと思っています。
松倉:もちろんです。よろしくお願いします!
太田代:しっかり伴走させていただきます。
―このたびは貴重なお話ありがとうございました!