公開日:2016年5月18日
更新日:2023年11月30日

元・セレクトショップVP担当が教える店舗づくりのコツ

ポップアップストアを開催したいと思った時、初めにぶつかるのが商品の見せ方を含めた店舗の空間作りです。 そこでこの記事では、元・大手セレクトショップのディスプレイ担当が教える、空間作りのコツをご紹介します。

ポップアップストアを開催したいと思った時、初めにぶつかるのが商品の見せ方です。

ただ商品を綺麗に見せるだけではなく、VMDの知識を用いて「いかに商品を見せるか」の戦略を立てることで、商品の魅力を視覚的に伝えることができます。

参考:「VMD(ビジュアルマーチャンダイジング)」とは?

そこでこの記事では、元・大手セレクトショップでディスプレイ担当として店舗の空間作りを行ってきた古田諭氏に、空間づくりのポイントを伺います。

<古田諭氏プロフィール>

学生時代よりセレクトショップに勤務し、大手アパレルメーカー、業界最大手のセレクトショップにてVPを担当。店舗内の空間作りはもちろん、ウィンドウディスプレイの制作も多数てがけてきた。2011年より、(株)ikigotoにてブランディング事業に従事。

“奥行き”を意識することで、空間を広く見せる!

▲(株)ikigoto 古田諭氏。

―空間作りを考える際に、まずスペースの選び方も重要だと思うのですが、よい空間作りのためにスペース選びの時点でチェックしておいた方がよいことなどありますか?

古田氏:まずは基本中の基本として、「全体の寸法を正しく把握すること」が重要です。スペースを見た体感だけではなく、幅、奥行き、高さなど細かく寸法をチェックしておく必要があります。
特に重視するべきなのは「奥行き」です。同じ平米数でも、幅より奥行きがある方が広く見えやすいのでおすすめです。

―どうしても予算の関係で手狭なスペースしか使えない場合もあると思うのですが、広く見せるためのポイントを教えてください。

古田氏:広く見せるためには、「空間を断絶しないこと」が重要です。
例えば、マネキンや棚など高さのあるものはすべて奥や壁際に寄せ、手前は低めの棚やテーブルのみ設置するようにします。

逆に広いスペースを利用する際には、空間を仕切りたいときもあると思いますが、その際も胸の位置くらいの高さの棚で自然に区切ると、開放感を保ちつつ空間イメージを変えることができます。

まず揃えたい什器は、使い勝手のいい低めのカウンター

―空間づくり初心者が陥りがちな失敗などはありますか?

古田氏:やはり、コンセプトを決めないままに空間づくりをして、失敗しているところが多いように感じます。空間づくりをする際には、誰にどのアイテムを打ち出すかを、毎回明確にしておく必要があります。たくさんある商品ラインナップの中でも、特に打ち出したいものを決めて、それを中心に全体の設計を考える必要があります。

また、売りたいものと見せたいものは、それぞれディスプレイの仕方も変わるので、その2つを明確に決めておくこともおすすめですね。売りたいものは、ラックや棚からすぐに手に取りやすいように陳列することが重要ですが、見せたいものは、棚の上などあえて取りにくい場所において「いかにキャッチーに見せるか」にとことんこだわるといったメリハリをつけるのが基本です。

―これから什器を揃えるといった方が、まずはじめに持っておいた方がよいおすすめの什器があれば教えてください。

古田氏:「腰の高さくらいのカウンター台」は、使い勝手がいいのでおすすめですね。先ほどお話しした「空間を断絶しない」という意味でも、背の高い棚より腰の位置くらいの什器を揃える方が、狭いスペースでも使いやすいと思います。

また、棚ではなく足元に空間ができるカウンター型であれば、足元をストック場所にしたり、大きな商品を陳列したりと使える幅が広がります。これからポップアップストア出店を考えている方は、ひとつ持っておくと便利な什器だと思います。


▲空間づくりを考える際は”三角形”を意識するのがポイント。
Photo credit: mah_japan via Visualhunt.com / CC BY

―商品陳列の際に、覚えておくだけで上級に見せるテクニックがあれば教えてください!

古田氏:商品の高さを出す際に「三角形を意識する」というテクニックは、簡単に取り入れやすいと思います。例えば、棚の上に商品を陳列する際に同じ高さのものを3つ並べるのではなく、小さなもの・大きなもの・小さなものという順番で並べると、真ん中のアイテムに注意がむきやすく、メリハリを感じさせることができます。

このとき、必ずしも頂点が真ん中である必要はなく、右端や左端に頂点をもってきてもOKです。何かを並べる際に、同じ高さのもので揃える方が綺麗に見えると思いがちですが、同じ高さで揃えると焦点がぼやけてしまい、目線が素通りしてしまいます。ご紹介した三角形の法則を使い、あえてバランスを崩すことで、お客様の注意をひきやすくなります。

店舗内は左回りにストーリーをつくる

―入りやすい店舗と入りづらい店舗は、どこで差がつくのでしょうか?

古田氏:まずは「ガラス張りで店内が見えること」が重要ですね。曇りガラスだったり、外から中が見えないお店は、入りづらい印象を与えてしまいます。ガラス張りのスペースでも、狭い歩道沿いにすぐドアがあるところは入りづらいスペースです。狭い通り沿いの場合は、歩道から数十センチ奥まっているところを選びましょう。

また、せっかくガラス張りのスペースでも、中でスタッフ同士が会話をしていて内輪な雰囲気がでていては台無しです。基本的なことですが、スタッフ同士で会話に夢中にならないよう気を付けましょう。

―店舗内の滞留時間を延ばすコツを教えてください。

古田氏:滞留時間を延ばすには、いかに店舗内を一周していただくかを考える必要があります。「一般的に人は左回りに動く」と言われているので、左回りにストーリー設計をすると、自然に一周したくなる空間になります。

また、リーズナブルなものは手前に、高価なものやお客様の興味を引きそうなものは奥に陳列することで、商品を手にとって見ながら店舗の奥まで行って一周したくなる空間にすることができます。

魅力的な空間を作って、お客様に効果的なアプローチを!

商品を魅力的に見せるためのコツを知ることで、より多くのお客様に商品の魅力を伝えることができます。今回ご紹介したポイントをもとに、より商品のよさが伝わる空間作りを目指しましょう!

海外のディスプレイアイデア集もご紹介しています。あわせてチェックしてみてください。

海外に学ぶ!黒板を活用したディスプレイアイデア集
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